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現代数学解説
文献あり

Hirsch 微分トポロジーの問題1.2.13 直積多様体、1.2.14 カスプの平坦化

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問題1.2.13 直積多様体のベクトル束

 自然な微分同相$T(M×N)\approx TM×TN$がある。

 前提として、各点$(x,y)\in M×N$の接空間$T_{(x,y)}(M×N)$は明らかに$T_x(M)\oplus T_y(N)$と同一視ができる事に注意する。
 これにより、$T(M×N)$は集合として$\{(x,y,v,w)|(x,y)\in M×N,v\in T_xM,w\in T_yN\}$と表せる。
 また、一般に、各局所部分$U\subset M$に対して$U×\mathbb R^m \approx TM|_U$。(ベクトル束の一般論。)

 開集合$U\in \mathbb R^m,V\in \mathbb R^n$に対して、$F:U×V×\mathbb R^{m+n}\to (U×\mathbb R^m)×(V×\mathbb R^n)$を、$(x,y,v,w)\mapsto (x,v,y,w)$で定義すると、これは明らかに微分同相である。
 よって、多様体$T(M×N)$の各局所座標$\phi$$TM,TN$の局所座標$\psi,\xi$に対して、$(\psi^{-1}×\xi^{-1})\circ F \circ \phi$により、$T(M×N)\to TM×TN$の局所同相変換を得る。
 これは、チャートの取り方によらず同じ値を取るので、そのまま張り合わせで大域的に拡張でき、よってそれを$\tilde F:T(M×N)\to TM×TN$とおく。
 その構成から、$F$は局所微分同相な全単射なので、逆関数定理より逆も滑らか。
 故にこの$F$により微分同相$T(M×N)\approx TM×TN$を得る。

問題1.2.14 カスプの平坦化

 $G\subset \mathbb R×\mathbb R$$y=|x|^{1/3}$のグラフとする。このとき$G$は包含写像$i:G\to \mathbb R×\mathbb R$$C^\infty$級となる$C^\infty$級微分構造を持つ。

 カスプあるから$C^\infty$多様体にならないじゃんという気持ちが先行して、絶対に翻訳ミスか誤記かのどれかだろうと原文を見たところ、ちゃんと同じ問題で、????????となった。
 でもよく考えると、embeddingにしろとか言われているわけではないので、カスプの尖りは気合いで引き伸ばせば行けるか?とも思い直したりなど。
 所詮はこの尖りも(逆数的とはいえ)多項式レベルなので、指数関数とか、より強力なものを持ってきて原点付近で無下限術式を構成すると良さそう(?)

 原点付近で定義されている実数値$C^\infty$関数$f$を、
$f(x)=\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} \mathrm{sgn} (x)e^{-1/x^2} ,(x\neq 0)\\ 0,(x=0) \end{array} \right. \end{eqnarray}$
で定める。
 いま、$G$には原点以外では普通のチャートが入っているとして(つまり、第一成分への射影によるチャート$(U_+,\pi_+),(U_-,\pi_-)$($U_+,U_-$はそれぞれ$G$$x$座標がプラスの部分とマイナスの部分のこと。))、原点付近のチャート$(U(\subset G),\phi)$を以下のように入れる:
$U$$G$$|x|$が"十分に小さい"範囲で定義されていて、
$$ \phi(x,y)=\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} f^{-1}(\mathrm{sgn}(x)y),(x\neq0) \\ 0,(x=0) \end{array} \right. \end{eqnarray} $$
と定める。このとき特に、$\phi(f(x)^3,|f(x)|)=x$である。
 よってこれによる座標変換は、$U_+\cap U$上で$\pi_+\circ \phi^{-1}(x)=f(x)^3,\phi\circ \pi_+^{-1}(t)=f^{-1}(t^{1/3})$
となり、$C^\infty$である。(2つ目の変換は、$U$を十分小さく取っているので可能。)
 マイナス側の座標変換も同様にして$C^\infty$級である事がわかるので、これにより$C^\infty$級の微分構造が入る。
 いま、包含写像$i$について、プラス側、マイナス側のチャートによる表現は自明に$C^\infty$級。よって原点周りのチャートについて確認をすれば十分。
 これについては、$i\circ \phi^{-1}(x)=(f(x)^3,|f(x)|)$であり、$f$は原点付近で平坦なので$|f(x)|$$C^\infty$。よってこの表現についても$C^\infty$級。
 すなわち$i$の各座標表現が$C^\infty$になるため、$i$は与えた微分構造により$C^\infty$級になる。

 これは流石に“おお”だろ。カスプが平坦になるんだから。

参考文献

[1]
M.W.Hirsch(松本堯生(訳)), 微分トポロジー, p23
投稿日:7日前
更新日:5日前
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