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現代数学解説
文献あり

『代数函数論』定理1.6

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$$\newcommand{Akn}[0]{\mathbb{A}_k^n} \newcommand{mfo}[0]{\mathfrak{o}} \newcommand{mfp}[0]{\mathfrak{p}} \newcommand{Pkn}[0]{\mathbb{P}_k^n} $$

まず復習から

$K$を体とし,$P$をその上の素因子とします.
$P$$K$における付値環及び素イデアルを$\mathfrak{o}, \mathfrak{p}$とします.
$K$$P$で完備化したものを$K_P$と書きます.
$P$$K_P$に拡張することができます.
$K_P$における$\mathfrak{o}$$\mathfrak{p}$の閉包はそれぞれ拡張した$P$$K_P$における付値環及び素イデアルと一致します.
記号の乱用ですが,拡張した$P$$K_P$における付値環及び素イデアルも$\mathfrak{o},\mathfrak{p}$と書くことにします.
これらについて次の定理が成り立ちます.

展開定理

$t$$\nu_P(t)=1$なる$K_P$の任意の元とする.このとき,$\nu_P(a)=i_0$なる任意の元$a$
$$a=\sum_{i=i_0}^\infty u_i t^i, \quad u_i\in\mathfrak{o}/\mathfrak{p},\quad u_{i_0}\neq 0$$
という形に一意的に展開できる.

$\nu_P(a)=i_0$なる$a$に対し,$a^\prime=at^{-i_0}$とおけば,$\nu_P(a^\prime)=0$より,$a^\prime\in\mathfrak{o}$$a^\prime\notin\mathfrak{p}$である.よって$a^\prime\equiv u_0$(mod$\mathfrak{p}$)なる$u_0\neq 0を\mathfrak{o}/\mathfrak{p}$から取ってくることができる.
今,$u_0,u_1,\cdots,u_{n-1}$$\mathfrak{o}/\mathfrak{p}$から適当に選んで$$a^\prime\equiv u_0+u_1 t + \cdots + u_{n-1}t^{n-1},\quad \text{mod}\,\mathfrak{p}^n$$
とすることができたならば,
$$b=\frac{a^\prime-(u_0+u_1 t + \cdots + u_{n-1}t^{n-1})}{t^n}$$
において,$a^\prime-(u_0+u_1 t + \cdots + u_{n-1}t^{n-1})\in\mathfrak{p}^n$より,$\nu_P(b)\ge0$が成り立つ.よって$b\in\mathfrak{o}$$b\equiv u_n$(mod$\mathfrak{p}$)なる元$u_n\in\mathfrak{o}/\mathfrak{p}$を取ると,$\mathfrak{p}=(t)$だったので
$t^nb\equiv t^nu_n$(mod$\mathfrak{p}^{n+1}$)が成り立つ.よって,
$$a^\prime\equiv u_0+u_1 t + \cdots + u_{n-1}t^{n-1}+u_n t^n\quad \text{mod}\,\mfp^{n+1}$$
が成り立つ.
こうして$u_0$から始めて$u_0,u_1,\cdots$を次々定めていけば
$$a^\prime = \sum_{i=0}^\infty u_i t^i$$
となり,
$$a=\sum_{i=0}^\infty u_i t^{i+i_0}$$
が得られる.書き直せば定理の主張の形にできる.
次に一意性を示す.定理の形になったと同時に,
$$a=\sum_{i=j_0}^\infty u_i^\prime t^i,\quad u_i^\prime\in\mfo/\mfp,\quad u_{j_0}^\prime\neq 0$$
ともなったとする.$\nu_P(u_{i_0})=\nu_P(u_{j_0}^\prime)=0$より$j_0 = \nu_P(a)=i_0$はすぐにわかる.よって$a^\prime = at^{-i_0}$の二つの展開
$$a^\prime = \sum_{i=0}^\infty u_{i+i_0}t^i = \sum_{i=0}^\infty u_{i+i_0}^\prime t^i$$
を比較して,
$$a^\prime \equiv u_{i_0}\equiv u_{i_0}^\prime\quad\text{mod}\,\mfp=(t)$$
今,$u_i,u_i^\prime$$\mfo/\mfp$から選んでいたので,$u_{i_0}=u_{i_0}^\prime$が分かる.
よって
$$\frac{a^\prime-u_{i_0}}{t}=\sum_{i=1}^\infty u_{i+i_0}t^{i-1} = \sum_{i=1}^\infty u_{i+i_0}^\prime t^{i-1}$$
より
$$\frac{a^\prime -u_{i_0}}{t}\equiv u_{i_0+1}\equiv u_{i_0+1}^\prime\quad \text{mod}\,\mfp$$
が分かり,同様に$u_{i_0+1}= u_{i_0+1}^\prime$となり,以下同様にして次々に同じであるとわかる.

終わりに

間違ってたらごめんなさい...

参考文献

[1]
岩澤健吉, 代数函数論
投稿日:6日前

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投稿者

はじめまして!楽しい記事を書ければと思いますので、よろしくお願いします。

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