こんにちは、Physics Lab. 2026素粒子班班長のChuffです。本日は、素粒子班の紹介をします。
素粒子物理学は、物質や宇宙の起源を解明し、自然界の相互作用を統一的に理解しようとする学問です。これまで幾多の貢献が積み重ねられ、いまも探究が続けられています。
自然界には、強い力、弱い力、電磁気力、重力の4つの力が知られていますが、それらを統一的に扱い、あらゆる物理現象を説明する「万物の理論」は未完成です。初期宇宙は高温高密度の極限状態にあったと考えられており、その理解には、ミクロな理論を記述する量子力学と、マクロな重力を記述する一般相対論を統合した究極の理論が必要とされます。
特殊相対論を取り入れ、時空の対称性を反映させたのが場の量子論であり、素粒子の標準模型が記述されます。標準模型は現在知られている17種類の基本粒子とその相互作用を説明しますが、ニュートリノの質量の起源や重力を扱えないことなど、課題が残されています。また、そもそも素粒子の種類や性質がどのように決定されているのかという根源的な問いも存在します。
標準模型を超えて、ミクロの素粒子の法則とマクロの重力理論を統合する試みとして、超弦理論は最も有力な候補といわれています。弦理論では、基本単位は点状粒子ではなく一次元的な弦であり、素粒子の種類は弦の振動モードの違いとして現れます。弦理論では、4つの力が統一的に扱われ、ゲージ場やフェルミオン、重力子などが自然に現れます。
素粒子物理学を学ぶ過程では、力や質量の起源、真空とは何か、スピンや時空、対称性とは何か、といった素朴な疑問が本質的理解につながる面白さがあります。知れば知るほど新たな問いが生まれ、探究心を強くかき立てる分野です。
現状、「場の量子論 -不変性と自由場を中心にして-」(坂本眞人 氏)を読む班と「ゲージ場の量子論」(九後汰一郎 氏)を読む班がたち、実質 場の量子論班として毎週活動しています。物理学科生の、基礎を大事にする堅実さと謙虚さが素粒子班という名称の圧をまだ打ち破っておらず、爆発的人気には至っておりません。
いずれ、熱場の理論や共形場理論、ひいては弦理論などの班もたつことを楽しみにしております。
さて、今月末はクリスマスですね。
え?みなさんは、何か予定があるとでも言うんですか?
それにしても、アドカレというのはいいですね。物理学科にいながら、まるで正攻法でクリスマスを楽しみにしているかのように振る舞うことができます。
さて、気分だけでもということで、コラムを用意しました。
cutoffで隠された先に潜む、未知の領域Planckスケール。どうしても、気になってしまいますよね。近づきたくてもなかなか近づけない。もし興味だけで下手に突っ込んだら、自分の至らなさと、壁の高さを感じて玉砕してしまいそう…まさに、高嶺の花!
今日はそんな気になるあの子に、思いを馳せてみましょう。
まず、Planck スケールではどんな物理描像が成り立つのかを考えてみましょう。
実は、普段は当然のように想定している粒子描像が、以下で説明するように破綻します。
Planckスケール以上では、位置のゆらぎの目安であるCompton波長$\lambda \sim 1/m$
が質量のホライズンサイズ
$h_g \sim \frac{m}{m_{\mathrm{pl}}^{2}}$
より短くなります。ここで、$m$は粒子の質量、$m_{pl}$はPlanck質量スケールです。
すると、「粒子」の素励起の情報がホライズンサイズに閉じ込められ、喪失してしまいます。つまり、粒子がブラックホールになってしまうのです。これが粒子描像の破綻です。
では、そのようなPlanckスケールでの物理をどうやって記述すればよいでしょうか?
結論から言うと、スケール不変性をもつ理論を使うのが適当です。時空のスケールがあると仮定した理論の適用によって、粒子がブラックホールになってしまったので、スケールそのものが存在しない世界としてうまく扱える可能性があります。
スケール不変な理論には名前があり、共形場理論といいます。Planckスケール以上の世界をうまく記述するには、スケールの異なる世界をゲージ同値として扱う方法があります。ゲージ対称性として共形不変性を導入することで、Planckスケール以上の物理を記述しようとする試みです。
さて、簡単な動機をご紹介しましたが、我々がこの理論を理解するには、学ぶべきことがたくさんありそうです。
基本的なことを固めつつ、楽しく新しい知見の箱を開けていきたいですね。
またお会いしましょう。