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整数問題で素数や階乗があると嬉しい理由

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この記事はあくまで素数や階乗の扱いがわからない方のためのものになります
ですので、ある程度の経験がある方にとっては殆ど無意味なものになります。
ですが、2個目の問題は個人的に簡単ではありますが、とても美しい、というか教科書に載せていいレベルのいい作問だと自負しているので、それだけでも見ていただければ幸いです。

はじめに

この記事においては、私がいくつかの問題を通して感じた整数問題における素数、階乗の存在の嬉しさについて文章といくつかの問題を用いて解説するものになります。高校生以下の方を読む対象として考えていますので、学校の答案でも使いやすいように、定理などは扱いません。
というかこれら問題の出来が良かったから書いたんですけど
注意事項として、「整数問題で素数や階乗があると嬉しい理由」と題しましたが、筆者も整数問題については得意とは言えないので、この記事において書かれている内容が全ての素数や階乗を扱う問題にいえるとは限りません。

言葉による説明

まぁ問題をいきなり解き始めてもよくわからなくなるだけなので、ここで一旦言葉による説明を挟みます。
私の考える素数や階乗の嬉しさとは以下のようなものです。

素数

素数の因数はその数と1しかない。つまり、素数が含まれるある積においてその因数としてその素数が必ず含まれる

階乗

階乗とはある数までの全ての自然数の総積である。つまり、その数までの全ての数を因数に持つ。

問題を解いてみる

先ほど説明したことを用いて問題を解いてみましょう

素数

最初に素数の嬉しさを用いた問題です。
$n\in \mathbb{N}$とはnが自然数であることを意味します。

$p,n\in \mathbb{N}$
$特にpは素数とする$
$p^{n}+1=平方数$
$以上を満たす(n,p)の組を全て求めよ$

以下に回答を書きますが、そこまで難しくないので一度考えてみて下さい。

回答(ちょっと省略)

まず、この問題においては平方数を考えているため、これを$x\in\mathbb{N}$$x^{2}$と置く、そして式変形を加えると、式は$p^{n}=(x-1)(x+1)$となる。ここで、素数の定義から、素数の因数はその数と1しかないため$p^{n}$のある因数は$0\leq k\in\mathbb{N} \leq n$たる$k$で、$p^{k}$と置ける。つまり、$x$は自然数であることから、$x+1$は自然数で、そのため、$x-1$も自然数であるから、$x-1=p^k,x+1=p^{n-k}$とおけ、$p^{k}\leq p^{n-k}$である。$(x+1)-(x-1)=p^{n-k}-p^k=p^k(p^{n-2k}-1)=2$であり、$p^{n-2k}-1$$p^{k}\leq p^{n-k}$より、自然数である。そして、2の因数が2と1しかなく、それぞれを$p^k,p^{n-2k}-1$に代入することで解が出る。実際に$(n,p)=(1,3),(3,2)$が解で、これらは条件を満たし、それ以外にないこともわかる。

説明

この問題においては素数の嬉しさを2回使いました。最初は、素数のn乗の因数を表すとき、これがなければ、そもそも問題の解は簡単には表せなかったでしょう。次に、2という素数の素因数が有限であること。例えば、この問題の$+1$が、$+4$$+36$に置き換わっていたなら、この部分ですぐに解を出すことはできなかったでしょう。
このように、素数は因数がとても少なく、問題によっては、今回のように、積の形と素数を等号で結べば、すぐに問題を解くことが可能になります。それ以外でも、和の形であれば余りに着目することで、求める値を限定することができます。そのため、素数が登場すると意外に問題がシンプルになることも多く、嬉しい存在です。

階乗+素数

諸事情(というか筆者の作問能力のなさ)により、階乗と素数を含む問題を出します。

$n,m,p \in \mathbb{N}$
$また、特にpは素数とし$
$n \geq m,m \neq 1である$
$このとき、n!+m=p^{2}を満たす$
$(n,m,p)の組を全て求めよ$

例によってこれもすぐに解説を書きますが、一度考えてみて下さい。

回答(ちょっと省略)

最初に階乗の定義から、$n \geq m$ならば、$n!$が因数に$m$を含むことが自明なので、左辺は$m$で括れる。このとき、$m(\frac{n!}{m}+1)=p^{2}$であり、素数の定義から、$m=1またはm=pまたはm=p^{2}$であり、$m=1$は定義から不適、$m=p^2$を代入すると、$n!+p^2=p^{2}$つまり、$n!=0$で階乗の定義からこれも不適、よって$m=p$であり、代入する。$n!+p=p^{2}$これを式変形し、$n!=p(p-1)$であり、$n!$$p$を約数に持つことがわかる。勿論階乗の定義から、このとき、$n!$$p-1$も約数に持つため、$n=p$であり、この等式を満たすのは$p-1=1またはp-2=1$を満たす$p$である。この式を計算することで、$p=m=n=3,2$であり、これは定義を満たすので、解は$(n,m,p)=(2,2,2),(3,3,3)$である。

説明

この問題では、階乗の嬉しさである、その数までのすべての自然数の総積であるということを使うことで、左辺から$m$を括りだし、未知数を減らすことができました。このように、階乗とは確かにその値自体を扱うのは難しくとも、存在するだけで色々なことが可能になるワイルドカードのような存在です。

終わりに

この記事を通して、素数や階乗の嬉しさについて、私なりに感じていたものを言語化した形になりますが、勿論これだけではなく、さらなる便利さがあるかと思います。もし、この記事で触れていないこと(まぁ定義にしか触れていませんが)で、使えるものがありましたら、コメント等で教えて下さると助かります(主に私が)。

追記
解答は全部同値変形してると思うんですけど、不安なので、間違ってたら教えてください

投稿日:25日前
更新日:25日前
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tokara
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