こんにちは。rynoと申します。
第6回数楽杯問1問2問3のwriterを担当しましたので、
解説を残したいと思います。
これはめんたいパークのタラピヨ(右面)
$\displaystyle{\frac{2025^5}{(-2025)^0+(-2025)^1+(-2025)^2+(-2025)^3+(-2025)^4}}$の整数部分を求めよ.
$$\text{与式}=\frac{2025^5\cdot(2025+1)}{(2025^5+1)}=2026-\frac{2026}{2025^5+1}$$
であり、明らかに
$$0<\frac{2026}{2025^5+1}<1$$
なので、求める値は$\mathbf{2025}$である。
中心がそれぞれ$O,O'$である2円$\omega,\Gamma$が2点$A,B$を共有している. 線分$AB$は$\omega$の直径であり, $O'$は円$\omega$の外部にある. 線分$O'A$と弧$AB$の交点を$C$,$B$を含まない弧$AC$上の点を$D$とすると半直線$BD,BC$が, 円$\Gamma$と$B$でない点$E,F$で交わった. このとき, $\angle APO=\angle FCD$をみたす線分$O'A$上の点$P$を通る直線$OP$が線分$BE$の中点を通ることを示せ.
半直線$AO',DC$と円$\Gamma$の交点を点$A',D'$とする。$\angle DCA=\angle DBA=\angle EBA=\angle EA'A$より$EA'/ \! /DC$が成り立つ。また、$\angle AEA'=90^\circ$より$CD \perp AE$が成り立つ。よって$\angle FCD=\angle BCD'=\angle CAE$であるから、$OP'/ \! /AE$が必要である。点$O$は線分$AB$の中点であるから、 中点連結定理より直線$OP$が線分$BE$の中点を通る。$\blacksquare$
$n$を正の整数とする. $1$から$9$までの整数からなる列$a_1, a_2, \cdots, a_n$であって, あるとなり合う2項間に仕切りを入れる操作を適当に0回以上繰り返すことで, どの部分列も定数列かつその定数以上の項数を持つようにできるものをよい列であるとし, このような仕切り方の総数を各よい列の得点とする. 項数が$n$であるようなすべてのよい列について, それらの得点を足し合わせたものを$c_n$とするとき, 任意の$n$に対して
$$c_1 +\cdots+c_k+\cdots+c_n\leq {}_{n+1} \mathrm{C}_{2}+\cdots+{}_{n+k} \mathrm{C}_{2k}+\cdots+{}_{n+n} \mathrm{C}_{2n}$$
を示せ.
定数列かつその定数以上の項数を持つような列を$R$列と呼ぶことにする。また、多項式$f(x)$における$x^k$の係数を$[x^k]f(x)$と表すこととする。
項数$k\geq1$の$R$列は$\displaystyle{[x^k] \sum_{j=1}^{9} \sum_{k=j}^{\infty} x^k =[x^k] \frac{1}{1-x} \sum_{k=1}^{9} x^k =[x^k] \frac{x (1 - x^9)}{(1 - x)^2}}$個存在して、$i\geq1$個の$R$列で作られる項数$j$の数列は$\displaystyle{[x^j] \left\{ \frac{x (1 - x^9)}{(1 - x)^2} \right\}^i}$ 個存在するので、$\displaystyle{c_k=[x^k] \sum_{i=1}^{\infty} \left\{ \frac{x (1 - x^9)}{(1 - x)^2} \right\}^i=[x^k]\dfrac{x\left( 1-x^9\right)}{(1-x)^{2}-x\left( 1-x^9\right)}}$が従う(*)。
ここで、数列 $F_n$ を以下で定まる数列として、補題1,2を示す。
$$
F_1 = F_2 = 1, \quad F_{n+2} = F_{n+1} + F_{n}
$$
任意の$n$に対して$c_n\leq F_{2n}$が成り立つ。
$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
F_{2n+4}=F_{2n+2}+F_{2n+3} \\
F_{2n+3}=F_{2n+2}+F_{2n+1} \\
F_{2n+1}=F_{2n+2}-F_{2n}
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$
の辺々を足すことで$F_{2n+4}=3F_{2n+2}-F_{2n}$が成り立つ。さらに、(*)より
$$\left\{(1-x)^{2}-x\left( 1-x^9\right)\right\}\sum_{k=1}^{\infty} c_kx^k=x\left( 1-x^9\right)$$
の係数比較が許されて、$c_{n+2}\leq 3c_{n+1}-c_n$もまた成り立つ。ゆえに、補題1が示された。$\Box$
任意の$n$に対して$\displaystyle{F_{n}=\sum_{k=0}^{n-1}{}_{n-k-1} \mathrm{C}_{k}}$が成り立つ。
$n=2$のとき:
$\displaystyle{\sum_{k=0}^{2-1}{}_{2-k-1} \mathrm{C}_{k}={}_{1} \mathrm{C}_{0}+{}_{0} \mathrm{C}_{1}=1=F_2}$より成り立つ。
$n=3$のとき:
$\displaystyle{\sum_{k=0}^{3-1}{}_{3-k-1} \mathrm{C}_{k}={}_{2} \mathrm{C}_{0}+{}_{1} \mathrm{C}_{1}+{}_{0} \mathrm{C}_{2}=2=F_3}$より成り立つ。
$n=m,m+1(m\geq 2)$のとき、題意が成り立つと仮定すると、
$n=m+2$のとき:
\begin{align}
\sum_{k=0}^{m+2-1}{}_{m+2-k-1} \mathrm{C}_{k}
&={}_{m+1} \mathrm{C}_{0}+{}_{1} \mathrm{C}_{m}+{}_{0} \mathrm{C}_{m+1}+\sum_{k=1}^{m-1}{}_{m+1-k} \mathrm{C}_{k}\\
&={}_{m} \mathrm{C}_{0}+{}_{0} \mathrm{C}_{m-1}+{}_{0} \mathrm{C}_{m}+\sum_{k=0}^{m-2}{}_{m-1-k} \mathrm{C}_{k}+\sum_{k=1}^{m-1}{}_{m-k} \mathrm{C}_{k}\\
&=\sum_{k=0}^{m-1}{}_{m-1-k} \mathrm{C}_{k}+\sum_{k=0}^{m}{}_{m-k} \mathrm{C}_{k}\\
&=F_{m}+F_{m+1}\\
&=F_{m+2}
\end{align}
より成り立つ。ここで、パスカルの定理を用いた。以上より、$n\geq 2$に対して帰納的に与式は成り立つ。$\displaystyle{\sum_{k=0}^{1-1}{}_{1-k-1} \mathrm{C}_{k}={}_{0} \mathrm{C}_{0}=1=F_1}$より$n=1$でもこれは成り立つから、補題2が示された。$\Box$
これより、
\begin{align}
\sum_{k=1}^{n} c_k\underset{(\text{$\because$ 補題1})}{\leq} \sum_{k=1}^{n} F_{2k}&=\sum_{k=1}^{n} (F_{2k+1}-F_{2k-1})\\
&=F_{2n+1}-1\underset{(\text{$\because$ 補題2})}{=}\sum_{k=1}^{2n}{}_{2n-k} \mathrm{C}_{k}=\sum_{k=1}^{n}{}_{n+(n-k)} \mathrm{C}_{k}=\sum_{k=1}^{n}{}_{n+k} \mathrm{C}_{(n-k)}=\sum_{k=1}^{n}{}_{n+k} \mathrm{C}_{2k}
\end{align}
が成り立つ。以上より、題意は示された。$\blacksquare$
これはドラえもん
お疲れ様でした。因みに、問3は一般に正の整数からなる数列と拡張すると$c_n=F_{2n}$となります。面白いですね。
自作問題の中では過去1面白いです。
そうに決まってる。