概要
を正整数とする。全単射を作ります。割り算するだけで難しくはないですが、きちんと書こうとすると微妙なズレが手間です。特に逆関数の計算手順を明示しておきたい。そのためのメモです
0からの場合
はでよい。逆関数はで割り算して商と余りを取ればいいはず。
1からの場合
とりあえず順番に書いてみる。こういう対応関係をつくる。第二成分を先に動かしています。
このことから求めたい写像はだと思われる。これが全単射を示そう。
証明
単射
商集合の代表元をでとればよい。で納得するならそれでよい。全射性のヒントにもなるので計算してみよう。とする。よって両辺にをかけて、を得る。
さて剰余の大きさを見ると、よりである。整数の割り算の一意性から単射と言えた。
全射
定義域と値域の濃度を計算すると、一致していることは簡単にわかる。またどちらも有限集合。よって単射性より全単射、特に全射。でもいいが。今回は作り方みたい。ここで単射性を示すときにみた方法を使おう
を としよう。をで割り算する: と書ける。と置く。
との範囲の確認ついては省略する。
逆関数
に対しての逆写像の値を計算する手続きは次のようになる。
- をで割り算する。商と余りををとする。
- とする
- とする
応用
前提
行列のテンソル積について既知とする。
問題
を次実行列とする。を次の単位行列とする。テンソル積を計算する。
の成分はクロネッカーのデルタを用いてとかける。前節までの記号を使うと今はとなっている。先の逆関数をとしよう。とする。となる。
いくつかの計算
| | | | | | |
1 | 1 | | 1 | 1 | 1 | 1 |
2 | 1 | 0 | 1 | 1 | 1 | 2 |
s | 1 | 0 | 1 | s | 1 | 1 |
s+1 | s+2 | 0 | 2 | 1 | 2 | 2 |
s+3 | 3 | | 2 | 3 | 1 | 3 |
メモ
- 余りをでなく、にして割り算を実行すれば作れないかと思うが、商もになってほしくないためそれは合致しない。
- 適切に商と余りを1だけずらせばよいはずですが、場合分けで書くと計算がちょっと手間です。その部分は割り算に全てお任せしたい。