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競技数学解説
文献あり

SURANYI's inequality

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始めに

どうも,Weskです.
最近,あまり知られていない(?)不等式を知ったので,英語の勉強も兼ねて日本語に起こそうと思います.

ミスがあったら(どうせある気がしますが)教えてください.

Suranyi's inequality

まず,次のような有名不等式があります.等号成立条件は略します.

Schur's inequality

$x,y,z,r≧0$に対し,$$x^r(x-y)(x-z)+y^r(y-z)(y-x)+z^r(z-x)(z-y)≧0$$

これから紹介する不等式は,これの一般化(r=1の時)です.
Suranyi's inequalityと呼ばれているらしいです.

Suranyi's inequality

$x_k>0(k=1,2,…,n)$に対し,$$(n-1) \sum_{k=1}^{n}x_k^n+n \prod_{k=1}^{n}x_k≧( \sum_{k=1}^{n}x_k )(\sum_{k=1}^{n}x_k^{n-1})$$

数学的帰納法を用いる.
$n=2$の時は当然成り立つ.
以下,nの時成り立つと仮定し,n+1について成り立つことを示す.
題意の不等式は対称式かつ斉次式であるので,$x_1≧x_2≧…≧x_{n+1}$かつ$x_1+x_2+…+x_n=1$として良い.示すべき不等式は,$$n \sum_{k=1}^{n+1}x_k^{n+1}+(n+1) \prod_{k=1}^{n+1}x_k≧( \sum_{k=1}^{n+1}x_k )(\sum_{k=1}^{n+1}x_k^{n})$$
これを書き換えると,$$n\sum_{k=1}^{n}x_k^{n+1}+nx_{n+1}^{n+1}+n x_{n+1}\prod_{k=1}^{n}x_k+x_{n+1}\prod_{k=1}^{n}x_k-(1+x_{n+1})(\sum_{k=1}^{n}x_k^{n}+x_{n+1}^n)≧0$$
帰納法の仮定より,$$nx_{n+1}\prod_{k=1}^{n}x_k≧x_{n+1}\sum_{k=1}^{n}x_k^{n-1}-(n-1)x_{n+1}\sum_{k=1}^{n}x_k^{n}$$
であるので,残る式は,
$$(n\sum_{k=1}^nx_k^{n+1}-\sum_{k=1}^nx_k^n)-x_{n+1}(n\sum_{k=1}^n x_k^n-\sum_{k=1}^n x_k^{n-1})+x_{n+1}(\prod_{k=1}^n x_k+(n-1)x_{n+1}^n-x_{n+1}^{n-1})≧0$$
この不等式を2部分に分けて示す.
まずChebyshev's inequalityより,$$n\sum_{k=1}^n x_k^n-\sum_{k=1}^n x_k^{n-1}≧0$$が成り立つ.
次に$nx_{k}^{n+1}+\dfrac{1}{n}x_k^{n-1}≧2x_k^n$だから,これを加えていくことで次を得る.
$$\prod_{k=1}^n x_k+(n-1)x_{n+1}^n-x_{n+1}^{n-1}=\prod_{k=1}^n(x_k-x_{n-1}+x_{n+1})+(n-1)x_{n+1}^n-x_{n+1}^{n-1}≧x_{n+1}^n+x_{n+1}^{n-1}\sum_{k=1}^{n}(x_k-x_{n+1})+(n-1)x_{n+1}^n-x_{n+1}^{n-1}=0$$
ところで,$$n\sum_{k=1}^{n}x_k^{n+1}-\sum_{k=1}^{n}x_k^n≧\dfrac{1}{n}(n\sum_{k=1}^{n}x_k^{n}-\sum_{k=1}^{n}x_k^{n-1})$$であり,$x_{n+1}≦\dfrac{1}{n}$であった.

以上より示したい不等式が得られたので,帰納法が回り,示された□

これにおける$n=3$が定理1(Schur's inequality)と一致します.

また$n=4$についての式から,次の結果が得られます.

Suranyi's inequality(n=4)

$x_1,x_2,x_3,x_4≧0$に対し,$$2 (\sum_{k=1}^{4}x_k^4+2 \prod_{k=1}^{4}x_k)≧ \sum_{1≦i< j≦4}x_ix_j(x_i^2+x_j^2) $$

また定理3と$x_i^2x_j^2≧2x_ix_j$から,次がわかります.

Turkevici's inequality

$x_1,x_2,x_3,x_4≧0$に対し,$$\sum_{k=1}^4x_k^4+2\prod_{k=1}^4x_k≧\sum_{1≦i< j≦4}x_i^2x_j^2$$

つまりこの不等式は,Turkevici's inequalityの一般化でもあります.

ここまでの結果を用い,問題を幾つか解いてみましょう.

三角形$ABC$の各辺の長さを$a,b,c$$\dfrac{a+b+c}{2}=s$とする.
外接円・内接円の半径をそれぞれ$R,r$とする時以下を示せ.
1)$R≧2r$ (Eulerの不等式)
2)$s^2≧r^2+16Rr$
3)$(4R+r)^3≧s^2(16R-5r)$

解答(略)
いずれの問題についても,Suranyi's inequalityにおけるn=3を用いればよい.

1)$x_1=a,x_2=b,x_3=c$とすれば示せる.

2)$x_1=s-a,x_2=s-b,x_3=s-c$とすれば示せる.

3)$x_1=r_a,x_2=r_b,x_3=r_c$とすればよい(いずれもA-/B-/C-傍接円の半径)

参考文献

投稿日:11日前
更新日:11日前
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Weskdohn
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