$f:S^1\to \mathbb R $を$C^1$級写像、$y\in \mathbb R$を$f$の正則値とする。
(a)$f^{-1}(y)$は偶数個の点からなる。
(b)$f^{-1}(y)$が$2k$個の点からなるとき、$f$は少なくとも$2k$個の臨界点を持つ。
(c)$g:S^2\to \mathbb R$を$C^1$級写像、$y\in g(S^2)$を正則値とする。$g^{-1}(y)$が$k$個の成分をもてば、$g$は少なくとも$k+1$個の臨界点を持つ。
正則値に関する問題なので、正則値定理を使えという事ですね。
(a)正則値定理より、$f^{-1}(y)$は0次元$C^1$級部分多様体であり、特に部分位相として離散集合となっている。
コンパクト空間上の離散集合は有限集合になる(各点を開被覆で覆えばよい)ので、よって$f^{-1}(y)$は有限個の点の集合である。
ここで、$f^{-1}(y)$の点を角度0の点から反時計回りに$\theta_1,\theta_2,…,\theta_k$と名前を付ける。この時$f-y$を考えると、各点$\theta_k$上で$0$かつ微分が非ゼロなので、中間値の定理と微分の連続性より、各隣接区間$(\theta_1,\theta_2),(\theta_2,\theta_3),…,(\theta_k,2\pi +\theta_1)$において$f-y$は符号が入れ替わる。
よって特に$(\theta_k,2\pi +\theta_1)$の“次”の隣接区間である$(2\pi+\theta_1,2\pi +\theta_2)$と$(\theta_1,\theta_2)$の符号を比べると、$k$は偶数である事がわかる。
(b)各区間$[\theta_i,\theta_{i+1}]$に問題1.3.8と同様の論法を使えば、少なくとも一つの臨界点がある事が言える。よって少なくとも$2k$個の臨界点があると分かる。
(c)は少し複雑ですが、(a),(b)でやった事を高次元版でやれば良いだけです。
特に、本にはヒントとしてJordan閉曲線定理を使うとあるので、意外と論理展開に飛躍はないような気がします。
(c)正則値定理より$g^{-1}(y)$は1次元$C^1$級部分多様体であり、条件よりその要素数は$k$個である。
この各要素をそれぞれ$C_1,…,C_k$とすると、これらは明らかに円と微分同相であり、$S^2\backslash g^{-1}(y)$はJordan閉曲線定理より$k+1$個の連結要素$U_1,…,U_{k+1}$に分解される。
いま、各$U_i$は連結なので、その定め方から中間値の定理より、$g(U_i)\subset (-\infty,y)$もしくは$g(U_i)\subset (y,\infty)$のどちらかを満たす。
そして、各$\overline U_i$はコンパクトなので、やはり問題1.3.8と同様の議論により、少なくとも一つの臨界点を持つ。
よって、少なくとも$k+1$個の臨界点が存在する事がわかる。
どうでもいいですが、(c)の状況を描いたとき、某マリオギャラクシーのクッパ戦を思い出しました。見た目が完全にそれです。
$C^2$級写像$f:T^2\to \mathbb R$は少なくとも3個な臨界点を持つ。
これにはヒント(というかほぼ答え)が載っていて、それが以下の補題です。
$f$が最大点$p_+$と最小点$p_-$の2個しか臨界点をもたないと仮定し、$U$を$p_-$の単連結近傍、$\varphi_t:T^2\to T^2,(t\in \mathbb R)$を$f$の勾配流(gradient flow)とすれば、$T^2-p_+=\cup_{t>0}\varphi_t(U)$となり、$T^2-p_+$は単連結になる。
トーラスから一点除いた集合は当然単連結ではないので、この構成は矛盾します。
よって、臨界点の個数は少なくとも3個以上です。