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競技数学解説
文献あり

小学生でもわかる!初等幾何のテクニック/図形と図形を“くっつける”

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1章では証明問題が出てきます.また,2,3章のところでは中学数学を使用しています.

初めまして.nmoonです.この記事は AMC2023 (Advent Math Calender) の18日目の記事です.
ぜひ,他の方の記事も読んでってくださいね〜.

0.はじめに

今回の記事では,小学生でも頑張ればわかる(かもしれない)ように主に初等幾何で(特に求値問題で)使われる算数チックなテクニック,“図形をくっつける”について紹介していきたいと思います.(とはいってもやってることはまあまあミケル点)
ぜひ最後まで見ていただければ幸いです.
何気にMathlogで記事を書くのは初めてなので何かご指摘があれば教えてください.

1.図形をくっつける Part1

とりあえず下の問題を見てみましょう.

AC=BDを満たす四角形ACBDについて,BCの中点をMとしたとき,Dは線分AM上にあった.このとき,BDM=CAMを示せ.

例1 例1

あれ,求値はどこ?
うーん,このまま解くのは難しそうです.方針が全く立ちません.
AC=BDの方の条件は,辺が離れているのでかなり使いづらいですね.こういうときこそ,図形をいろいろ“くっつけて”みましょう.最初は深く考えずに色々くっつけてみることをお勧めします.
今回は例として三角形ABMと三角計CDMの2つををBMCMでくっつけることを考えてみましょう.
すると,以下の図のようになります.

三角形をくっつけた 三角形をくっつけた

こうするとCA=CEからすぐに結論が得られました!
このように,パッと見たときはどうすればいいか分からなくても,パズルみたいにくっつけていけばわかることがあるのでどうしてもわからない時は試してみるといいかもしれません.

2.図形をくっつける Part2

せっかくなのでもう一つの場合も見てみましょう.

四角形ABCDは以下の条件を満たした.
AB=CD,BAD=160CDA=80,AD=4,BC=6
このとき,四角形ABCDの面積を求めてください.

例2 例2

角度の条件がウザいですね(コラそこミケル点って言わない).
こういうときこそ図形をくっつけてみるのが良さそうですね.
しかし,結論を言うと図形2個だけでは足りません!
今回は6個くっつけてみましょう.
すると,以下の図のようになります.

たくさんくっつけた たくさんくっつけた

簡単な角度計算から内側と外側にそれぞれ正六角形ができることがわかるので,上の図から

(6242)×34=53

と求まりますね.
こんな感じで,同じものを複数個くっつけて綺麗な形を作ることもあるので,できそうであればこちらも試してみてもいいかもしれません.
言いたいことは大体わかってくれたと思うので,あとは練習問題でどんどん演習していってください!

3.演習

OMC172C

凸四角形ABCD
AB=BC=CD,ABC=123.45,BCD=116.55
を満たすとき,DABの大きさは度数法で互いに素な正整数a,bによってab度と表せるので,a+bを解答してください.

解説


こちらから

OMC167E

正三角形ABCにおいて,その外接円の劣弧BC上(端点を除く)に点Dをとり,Dに関してBと対称な点をEとしたとき,AD=7およびCE=4が成立しました.このとき,四角形ABECの面積の2乗を求めてください.

解説


こちらから

BMC002G改

一辺が10の正三角形ABCにおいて,辺BCの中点をMとする.また,辺AB,AC上にそれぞれ点P,Qをとったとき,以下の条件が成立しました.
AP=CQ>CP,MP2+MQ2=72
このとき,APの長さは正整数a,bを用いてa+bと表されるので,a+bを求めてください.

解説


三角形AMQを三角形AMPの中に入れることでくっつけます.
AB上にAQ=ARを満たす点Rをとると,MQ=MRがわかる.よって,辺ABの中点をNとすると,中線定理からNM2+NP2=36がわかる.NM=5より,NP=11なので,AP=5+11で,求める値は16である.

BMC040I

AB>ADである長方形ABCDを点Aを中心として回転移動させた長方形をABCDとすると,点Bは線分BD (端点ではない) 上にきた.BD=23,BD=7のとき,長方形ABCDの面積の二乗を求めてください.

解説


こちらから

OMC099E

凸五角形ABCDEは次の条件を満たしています.
A+B=270,D=90,AB=2,CD=DE=7,BC=EA
このとき,ABCDEの面積としてあり得る最大値と最小値を求め,その和を答えてください.

解説


こちらから

OMC188C

正方形ABCDにおいて,三角形ADCの内部の点Pと三角形ABCの内部の点QAPQ=PQC,AP=10,PQ=8,BQ=9
を満たすとき,線分CQの長さを求めてください.ただし,求める値は正整数a,bによってa+bと表されるので,a+bを解凍してください.なお,条件を満たす図は一意に存在します.

解説


こちらから

OMC175E

BAC=120をみたす三角形ABCがあり,その内心をI,外心をOとすると,以下が成り立ちました:
OI=20,IB=29.
このとき,辺BCの長さの2乗は,平方因子を持たない正整数rおよび正整数p,qを用いてp+qrと表されます.p+q+rを解答してください.

解説


こちらから

OMC073F

A=100なる三角形ABCにおいて,それぞれ辺AB,AC上の点D,EBD=CEおよびDE=11をみたします.さらに,BECDの交点をFとすれば,BF=20およびBFC=130が成立しました.このとき,五角形BFCEDの面積は,正整数a<bによってa+bと一意に表せるので,a+bを解答してください.

解説


こちらから

4.おわりに

ここまで読んでくださりありがとうございました.
こういった記事を書くこと自体が初めてだったので,色々不慣れだったりしましたが,なんとか書き上げられてよかったです.小学生でも頑張れば理解できるかもしれませんね!()
何かミスなどがあれば教えてください.
では,また.

参考文献

投稿日:20231217
更新日:122
OptHub AI Competition

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  1. 0.はじめに
  2. 1.図形をくっつける Part1
  3. 2.図形をくっつける Part2
  4. 3.演習
  5. 4.おわりに
  6. 参考文献