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PILAME杯予選解説(問題9-11,13,14,16,17,19)

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0
$$$$
注意
  • 問題1~8については, Furinaさんの解説 があります. そちらを参照してください.
  • 今後増やしますが, 全ての問題を網羅するとは限りません.
  • 問題・解答PDFは, PILAME杯公式サイト より閲覧することができます.
  • 本解説は非公式なものです. 公式解答との数値の一致は確認していますが, 論理的正確性等は保証致しかねます(最善は尽くしています). ご注意ください.
問題9

いずれも$0$でない複素数$x_1,x_2,\ldots,x_{100}$
$$x_1+\frac{1}{x_2}=x_2+\frac{1}{x_3}=\cdots=x_{99}+\frac{1}{x_{100}}=1, \quad x_1+x_2+\cdots+x_{100}=100$$
をみたしているとき, $x_{50}$としてありうる複素数値すべてを足し合わせた値を求めよ.

$i=1,2,\ldots,97$に対し, $x_{i+1}=\frac{1}{1-x_i}, x_{i+2}=\frac{1}{1-x_{i+1}}=\frac{x_i-1}{x_i}, x_{i+3}=\frac{1}{1-x_{i+2}}=x_i$が成立するから, $\{x_n\}$は周期$3$を持つ. よって$x=x_{50}$とおくと, $x\ne0,1$で, $x_{\pmod{3\mathrm{で}2}}=x,x_{\pmod{3\mathrm{で}0}}=\frac{1}{1-x}, x_{\pmod{3\mathrm{で}1}}=1-\frac{1}{x}$となる. $2$つ目の条件に代入して,
\begin{align*} &34\left(1-\frac{1}{x}\right)+33x+33\cdot\frac{1}{1-x}=100 \\ &\iff34(x-1)(1-x)+33x^2(1-x)+33x=100x(1-x) \\ &\iff33x^3-99x^2-x+34=0 \end{align*}
を得る. $x$はこの$3$次方程式の$3$解(相異なる. 気になる場合は, 導関数との共通根がないことを考えよ.)がありえるから, その和は解と係数の関係より$\frac{99}{33}=\mathbf{3}$である.

問題10

鋭角三角形$ABC$の外接円上の$3$$P,Q,R$はそれぞれ以下の条件を満たすように動く.

  • $\angle{BPC}=\angle{BAC},\quad \angle{PBC}\leqq90^\circ,\quad\angle{PCB}\leqq90^\circ$
  • $\angle{CQA}=\angle{CBA},\quad \angle{QCA}\leqq90^\circ,\quad\angle{QAC}\leqq90^\circ$
  • $\angle{ARB}=\angle{ACB},\quad \angle{RAB}\leqq90^\circ,\quad\angle{RBA}\leqq90^\circ$

$P,Q,R$がくまなく動いたときの三角形$PBC,QCA,RAB$の垂心の軌跡を$C_P,C_Q,C_R$とすると, 軌跡の長さはそれぞれ$3\pi,4\pi,5\pi$となった. このとき, $C_P$$C_Q$によって囲まれた領域, $C_Q$$C_R$によって囲まれた領域, $C_R$$C_P$によって囲まれた領域の面積を足し合わせた値を求めよ.

(注:以下の議論は書きやすさの都合で複素数平面上でしているが, 大変な計算はしていないので気楽に読んでほしい.)

$A(a),B(b),C(c)$で, 三角形$ABC$の外接円は中心原点, 半径$r$であったとする. $A'(-a), B'(-b), C'(-c)$とおくと, $P,Q,R$は劣弧$B'C',C'A',A'B'$上をくまなく動く.

$P(p)$とおくと, 三角形$PBC$の垂心は点$p+b+c$である(三角形$PBC$の外心と重心を考え, Euler線を用いよ). よって, $P$の動く領域も考えると, $C_P$は中心$b+c$, 半径$r$の円の$2$$b,c$を端点とする劣弧である. 同様に,

  • $C_Q$は中心$c+a$, 半径$r$の円の$2$$c,a$を端点とする劣弧
  • $C_R$は中心$a+b$, 半径$r$の円の$2$$a,b$を端点とする劣弧

である.
よって, $\angle{A}=\alpha,\angle{B}=\beta,\angle{C}=\gamma$とおくと, $2r\alpha=3\pi,2r\beta=4\pi,2r\gamma=5\pi$を得る. 辺々足して$2r(\alpha+\beta+\gamma)=12\pi$より$r=6$で, $(\alpha,\beta,\gamma)=\left(\frac{\pi}{4},\frac{\pi}{3},\frac{5\pi}{12}\right)$. よって,

  • $C_P,C_Q$で囲まれる領域の面積は, 半径$6$, 中心角$\frac{\pi}{6}$の扇形から, 等辺$6$, 頂角$\frac{\pi}{6}$の二等辺三角形を引いたもの$2$つ分で, $(3\pi-9)\times2=6\pi-18$.
  • $C_Q,C_R$で囲まれる領域の面積は, 半径$6$, 中心角$\frac{\pi}{2}$の扇形から, 等辺$6$, 頂角$\frac{\pi}{2}$の二等辺三角形を引いたもの$2$つ分で, $(9\pi-18)\times2=18\pi-36$.
  • $C_R,C_P$で囲まれる領域の面積は, 半径$6$, 中心角$\frac{\pi}{3}$の扇形から, 等辺$6$, 頂角$\frac{\pi}{3}$の二等辺三角形を引いたもの$2$つ分で, $(6\pi-9\sqrt{3})\times2=12\pi-18\sqrt{3}$.

従って, 求める面積の和は$\mathbf{36\pi-54-18\sqrt{3}}$である.

問題11

$4\times4$のマス目の各マスに$1$以上$4$以下の整数を$1$つずつ書き込む方法であって, 以下の条件をみたすものは何通りあるか.

  • $1$以上$4$以下の整数$a,b,c$について, 上から$a$行目, 左から$b$列目のマスに$c$が書き込まれているならば, 上から$b$行目, 左から$c$列目のマスには$a$が書き込まれている.

(注:文字が色々と被ってしまいました. 頑張って読んでください.)
$S:=\{(a,b,c)|$上から$a$行目, 左から$b$列目のマスに$c$が書き込まれている$\}$で定める. 明らかに$|S|=16$であり, また箇条書きの条件は$(a,b,c)\in S\Rightarrow (b,c,a)\in S$と言い換えられる. マス目への書き込み方を考えていることから, 任意の$a,b\in\{1,2,3,4\}$に対し, $c\in\{1,2,3,4\}$が唯一存在して$(a,b,c)\in S$となることに注意.

$S$の元$(a,b,c)$について, $a=b=c$でないならば, $(b,c,a),(c,a,b)$は異なる要素として$S$に入るので, $S$の要素の$3$つ組を作ることができる.$|S|=16\equiv1\pmod3$より, $a=b=c$なる$(a,b,c)$$S$にちょうど$1$個または$4$個入る.

  1. $1$個のとき
    $(1,1,1)\in S, (2,2,2),(3,3,3),(4,4,4)\not\in S$の場合を考え, $4$倍すれば良い.
    $(1,2,a)\in S$について, $a=1$は不適.
    $a=2$のときを考える. このとき$(1,2,2),(2,2,1),(2,1,2)\in S$である.
    $(1,3,b)\in S$について, $b=1,2$は不適.
    $b=3$のとき, $(1,3,3),(3,3,1),(3,1,3)\in S$である.
    $(2,3,c)\in S$について, $c=1,2,3$は不適より$c=4$で, $(2,3,4),(3,4,2),(4,2,3)\in S$. 同様に$(3,2,4),(2,4,3),(4,3,2)\in S.$
    $(4,4,d)\in S$について, $d=2,3,4$は不適より$d=1$で, $(4,4,1),(4,1,4),(1,4,4)\in S$.
    これで得られた$S$は条件を満たす.
    $b=4$のとき, $(1,3,4),(3,4,1),(4,1,3)\in S$である.
    $(3,1,c)\in S$について, $c=1,2,3$は不適より$c=4$で, $(3,1,4),(1,4,3),(4,3,1)\in S$.
    $(4,2,d)\in S$について, $d=1,2,3$は不適より$d=4$で, $(4,2,4),(2,4,4),(4,4,2)\in S$.
    $(2,3,e)\in S$について, $e=1,2,4$は不適より$e=3$で, $(2,3,3),(3,3,2),(3,2,3)\in S$.
    これで得られた$S$は条件を満たすから, $a=2$のとき$S$$2$つ考えられる.
    $a=3$のときを考える. このとき$(1,2,3),(2,3,1),(3,1,2)\in S$である.
    $(2,2,b)\in S$について, $b=1,2,3$は不適より$b=4$で, $(2,2,4),(2,4,2),(4,2,2)\in S$.
    $(3,3,c)\in S$について, $c=1,2,3$は不適より$c=4$で, $(3,3,4),(3,4,3),(4,3,3)\in S$.
    $(4,4,d)\in S$について, $d=2,3,4$は不適より$d=1$で, $(4,4,1),(4,1,4),(1,4,4)\in S$.
    $(1,3,e)\in S$について, $e=1,3,4$は不適より$e=2$で, $(1,3,2),(3,2,1),(2,1,3)\in S$.
    逆に上の$16$元からなる$S$は条件を満たすから, $a=3$のとき$1$通り. $a=4$も同様である.
    以上より, (i)のパターンは$(2+1+1)\times4=16$通り考えられる.
  2. $4$個のとき
    $(1,1,1),(2,2,2),(3,3,3),(4,4,4)\in S$である.
    $(1,2,a)\in S$について, $a=1,2$は不適. $a=3$の場合を考え, $2$倍すれば良い. このとき$(1,2,3),(2,3,1),(3,1,2)\in S$である.
    $(4,1,b)\in S$について, $b=1,2,4$は不適より$b=3$で, $(4,1,3),(1,3,4),(3,4,1)\in S$.
    $(4,2,c)\in S$について, $c=2,3,4$は不適より$c=1$で,$(4,2,1),(2,1,4),(1,4,2)\in S$.
    $(4,3,d)\in S$について, $d=1,3,4$は不適より$d=2$で, $(4,3,2),(3,2,4),(2,4,3)\in S$.
    逆に, 上の$16$元からなる$S$は条件を満たすから, (ii)のパターンは2通りある.

以上より, 求める場合の数は$16+2=\mathbf{18}$通りである.

問題12

$2024$以下の正の整数が$1$つずつ書かれている黒板がある. 積が平方数になるような$2$つの整数を消すという操作を繰り返し行うとき, 最終的に黒板に残った整数の個数としてありうる最小の値を求めよ.

simasimaさんの解説 があります.

問題13

正六面体$ABCD–EFGH$の各面に$1$から$6$までの整数を重複なく$1$つずつ書くことを考える. このとき, $12$本の辺それぞれについて, その辺を共有して隣接している$2$つの面に書かれた整数のをその辺のスコアとよび, $8$個の頂点それぞれについて, その頂点を端点の$1$つとして持っている$3$つの辺のスコアのをその頂点のスコアとよぶ. 頂点$X$のスコアを$s(X)$で表すとき,
$$\max\{s(A)+s(G),s(B)+s(H),s(C)+s(E),s(D)+s(F)\}$$
のとりうる最小の値を求めよ. なお, $n$を正の整数として, 実数$a_1,a_2,\ldots,a_n$に対し, それらにおける最大の値を$\max\{a_1,a_2,\ldots,a_n\}$で表す.

答えは$\mathbf{67}$である. 例えば, 面$ABCD$$5$, 面$ABFE$$4$, 面$BCGF$$2$, 面$CDHG$$3$, 面$DAEH$$1$, 面$EFGH$$6$を書くと, $s(A)+s(G)=29+36=65$, $s(B)+s(H)=38+27=65$, $s(C)+s(E)=31+34=65$, $s(D)+s(F)=23+44=67$より, 考える値は$67$になっている.

以下, $\max\{s(A)+s(G),s(B)+s(H),s(C)+s(E),s(D)+s(F)\}\leqq66$とはならないことを背理法で示す. $s(A)+s(G),s(B)+s(H),s(C)+s(E),s(D)+s(F)$が全て$66$以下であるような書き込み方を1つとり, 矛盾を導けば良い.

$6$つの面に書かれた数字を$a_1,a_2,b_1,b_2,c_1,c_2$とし, 同じアルファベットの$2$数は隣り合わない面に書かれるようにする. このとき, アルファベット$(x,y)=(a,b),(a,c),(b,c)$について, $x_iy_j(i,j\in\{1,2\})$$s(A)+s(B)+\cdots+s(H)$にちょうど$2$回寄与するから,
\begin{align*} s(A)+s(B)+\cdots+s(H)&=2\sum_{(x,y)=(a,b),(a,c),(b,c),i,j\in\{1,2\}}x_iy_j \\ &=\sum_{k\ne l, k,l\in\{1,2,3,4,5,6\}}kl-2(a_1a_2+b_1b_2+c_1c_2) \\ &=441-\sum_{k=1}^{6}k^2-2(a_1a_2+b_1b_2+c_1c_2) \\ &=350-2(a_1a_2+b_1b_2+c_1c_2) \end{align*}
と計算できる. 背理法の仮定より$s(A)+s(B)+\cdots+s(H)\leqq66\cdot4=264$だから$a_1a_2+b_1b_2+c_1c_2\geqq43$. これを調べると, 左辺は$6\cdot5+4\cdot3+2\cdot1$およびその項の並べ替えによりかけるものに限られることがわかる(厳密に示すなら, 6の相方を調べて虱潰しにすれば問題はない).

以上より, $6$$5$, $4$$3$, $2$$1$はそれぞれ向かい合う面に書かれるが, このような書き込み方における$\max\{s(A)+s(G),s(B)+s(H),s(C)+s(E),s(D)+s(F)\}$は冒頭で調べたように$67$なので不適. よって示された.

問題14

非負整数$N$に対し, $f(N)$を以下のように定める.

  • $f(0)=0$.
  • $N\geqq1$のとき, $N$$7$で割った商を$A$, 余りを$B$として, $f(N)=f(A)+A+B$.
    このとき, $f(1)+f(2)+\cdots+f(2400)$を求めよ.

$N\leqq2400=7^4-1$$7$進展開を$N=7^3a_3+7^2a_2+7^1a_1+7^0a_0$で与えると,
\begin{align*}f(N)&=f(7^2a_3+7^1a_2+7^0a_1)+7^2a_3+7^1a_2+7^0a_1+7^0a_0 \\ &=f(7^1a_3+7^0a_2)+7^1a_3+7^0a_2+7^0a_1+7^2a_3+7^1a_2+7^0a_1+7^0a_0 \\ &=f(7^0a_3)+7^0a_3+7^0a_2+7^1a_3+7^0a_2+7^0a_1+7^2a_3+7^1a_2+7^0a_1+7^0a_0 \\ &=7^0a_3+7^0a_3+7^0a_2+7^1a_3+7^0a_2+7^0a_1+7^2a_3+7^1a_2+7^0a_1+7^0a_0 \\ &=58a_3+9a_2+2a_1+a_0 \end{align*}
となる. ここで求める値は$f(0)+f(1)+f(2)+\cdots+f(2400)$に等しく, $0$以上$2400$以下の整数の$7$進展開において$a_3,a_2,a_1,a_0$はそれぞれ$0,1,2,3,4,5,6$をちょうど$7^3$回ずつとるから, 答は
\begin{align*} &f(0)+f(1)+f(2)+\cdots+f(2400) \\ &=(58+9+2+1)\cdot(0+1+2+3+4+5+6)\cdot7^3 \\ &=70\cdot21\cdot343=\mathbf{504210} \end{align*}
である.

因みに, $7$進展開$N=\displaystyle\sum_{k=0}^{\infty}a_k7^k$にたいし, $f(N)=\displaystyle\sum_{k=0}^{\infty}\frac{7^k+5}{6}a_k$と計算できる.

問題15

ある円の周上に$5$$A,B,C,D,E$がこの順にある. 線分$AC$と線分$BE$の交点を$P$, 線分$AD$と線分$BE$の交点を$Q$とする. $AB=AE=8$, $CD=DP=6$, $CQ=7$のとき, 線分$PQ$の長さを求めよ.

工事中

問題16

整数$k$であって, $x$$3$次方程式$x^3-104x^2+k=0$の複素数解がすべて整数になるようなものをすべて求めよ.

$3$つの解を$\alpha,\beta,\gamma$とおくと, 解と係数の関係より$\alpha+\beta+\gamma=104$, $\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha=0$, $\alpha\beta\gamma=-k$.

$1,2$式を満たす整数の組$(\alpha,\beta,\gamma)$を求めたい. $\alpha\geqq\frac{104}{3}$として一般性を失わない. $\gamma=104-\alpha-\beta$を第$2$式に代入して,
\begin{align*} 0=\alpha\beta+(\alpha+\beta)(104-\alpha-\beta)=-\alpha^2-\beta^2-\alpha\beta+104\alpha+104\beta \end{align*}
である. これを$\beta$の2次方程式と見た時の判別式が正であることから, $(\alpha-104)^2-4(\alpha^2-104\alpha)=(104-\alpha)(3\alpha+104)$は平方数である.
$\mathrm{gcd}(104-\alpha,3\alpha+104)$$3(104-\alpha)+(3\alpha+104)=416=2^5\cdot13$だから, $3\alpha+104$は平方数の$1$倍, $2$倍, $13$倍, $26$倍のいずれかとしてかけ, また$3\alpha+104\equiv2\pmod3$より($3$の倍数でない平方数の)$2$倍か$26$倍. $\alpha\geqq35$より$3\alpha+104=242,338,392,416$のいずれかで, $\alpha=46,78,96,104$. $\beta$を計算し, $\alpha+\beta+\gamma=104$を用いて, $(\alpha,\beta,\gamma)=(96,-24,32),(96,32,-24),(104,0,0)$およびその並べ替えが考えられる.

以上より, $k=-\alpha\beta\gamma$としては, $\mathbf{0}, (96\times24\times32=)\mathbf{73728}$が考えられる.

問題17

$n$を正の整数とする. $X$に関する$11$次方程式
$$X^{11}+X^{10}+X^9+5X^8+5X^7+5X^6+7X^5+7X^4+7X^3+10X^2+10X+10=0$$
のすべての複素数解($11$個)の$n$乗の和を$S_n$とすると, これは必ず整数になるので, $S_n$を5で割った余りを$T_n$とする. このとき$T_1+T_2+\cdots+T_{100}$を求めよ.

与方程式の左辺を$f(X)$とおくと, $f(X)=(X^2+X+1)(X^9+5X^6+7X^3+10)$である. それぞれの部分について, 解の$n$乗和を$5$で割った余りを考える.

  1. $X^2+X+1=0$
    これの$2$解は$\omega,\omega^2$($\omega$$1$$3$乗根のうち$1$でないものの$1$つ)だから, その$n$乗和は$n$$3$の倍数のとき$2$, $3$の倍数でないとき$-1$である.
  2. $X^9+5X^6+7X^3+10=0$
    $n$乗和は$9$個の解の基本対称式でかけるので, それを$5$で割った余りは, 元の多項式の係数を最高次係数が$1$のままであるように$\mod 5$で不変に変えても同じである. よって, $X^9-3X^3=(X^6-3)X^3=0$$9$個の解に対し, その$n$乗和を$5$で割った余りを求めれば良い. これの$9$解は$\zeta=\cos\frac{\pi}{3}+i\sin\frac{\pi}{3}$として$\sqrt[6]{3},\sqrt[6]{3}\zeta,\sqrt[6]{3}\zeta^2,\sqrt[6]{3}\zeta^3,\sqrt[6]{3}\zeta^4,\sqrt[6]{3}\zeta^5,0,0,0$だから, その$n$乗和は$n$$6$の倍数のとき$6\cdot3^{\frac{n}{6}}$, そうでないとき$0$である. 前者は, $n$$24$で割った余りが$6,12,18,0$のとき, $5$で割った余り$3,4,2,1$をこの順にとる.

(i)(ii)より, $T_n$$n$$3$の倍数でないとき$4$, $3$の倍数であるとき$(n\mathrm{を}24\mathrm{で割った余り},T_n)=(3,2),(6,0),(9,2),(12,1),(15,2),(18,4),(21,2),(0,3)$となる. 従って, 求める総和は
$$T_1+T_2+\cdots+T_{100}=4\times67+(2+0+2+1+2+4+2+3)\times4+2=\mathbf{334}$$
である.

問題18

$xy$平面上の直線$y=101$上の$x$座標が$0^3,1^3,\ldots,100^3$であるような$101$個の点に印がついている. $i=100,99,\ldots,1$の順に以下の操作を行う.

  • $k=1,2,\ldots,i$について, 直線$y=i+1$上の左から$k$番目, $k+1$番目の印がついた点を結ぶ線分を考え, この線分を$1:2$に内分する点を通り$y$軸に平行な直線と直線$y=i$の交点に印をつける.

このとき, 直線$y=1$上には1つだけ印がついた点が存在する. その点の$x$座標を求めよ.

工事中

問題19

正の整数に対して, 最高位の数字を取り去るという操作を, $3$の倍数になるか数字がなくなるまで行うことを考える. そして, はじめの正の整数が$N$であるときに, 行われる操作の回数を$f(N)$で表す. 例えば, $f(251)=1$, $f(4536)=0$, $f(33311)=5$である. このとき, 各桁の数字が$1,2,3,4,5$のいずれかであるような$125$桁の正の整数$n$すべてについて$f(n)$を足し合わせた値を求めよ.

$0\leqq k\leqq125$に対し, $f(n)=k$なる$n$の個数を求める. $f(n)=k$であるための必要十分条件は, 次の$2$つが成立すること.

  • $n$の下$125-k$桁の和が$3$の倍数である
  • 任意の$l\geqq 126-k$に対し, $n$の下$l$桁の和が$3$の倍数でない

まず, 下$125-k$桁の定め方を考える. $k=125$のとき$1$通り. $k\leqq124$のとき, この場合の数を$a_{125-k}$とおくと, $a_1=1$, $a_{i+1}=1\cdot a_i+2\cdot(5^k-a_i)=2\cdot5^i - a_i(i\geqq1)$である. 第$2$式より$a_{i+1}-\frac{5^{i+1}}{3}=-\left(a_i-\frac{5^i}{3}\right)$だから, 解いて$a_n=\frac{5^n+2\cdot(-1)^n}{3}$. よって下$125-k$桁の定め方は$\frac{5^{125-k}+2\cdot(-1)^{125-k}}{3}$通りあり, これは$k=125$のときも成立する.

次に, 残りの$k$桁の定め方を考える. $k=0$のとき$1$通り. $k\geqq1$のとき, $10^{125-k}$の位は$4$通り, $10^{126-k}$から$10^{124}$までの位は(それ以後を$3$で割った余りが$0,1$のいずれであるかによらず)$3$通りあるから, $k$桁の定め方は$4\cdot3^{k-1}$通りある.

以上より, 求める$f(n)$の総和は,
\begin{align*} \sum_{k=0}^{125}k\cdot(f(n)=k\mathrm{なる}n\mathrm{の個数})&=\sum_{k=1}^{125}k\cdot\frac{5^{125-k}+2\cdot(-1)^{125-k}}{3}\cdot4\cdot3^{k-1} \\ &=\frac{4\cdot5^{125}}{9}\sum_{k=1}^{125}k\cdot\left(\frac{3}{5}\right)^k+\frac{8\cdot(-1)^{125}}{9}\sum_{k=1}^{125}k\cdot(-3)^k \end{align*}
とかける. $S(a):=\displaystyle\sum_{k=1}^{125}k\cdot a^k$とおくと, $aS(a)-S(a)=125a^{126}-\displaystyle\sum_{k=1}^{125}a^k=125a^{126}-\frac{a^{126}-a}{a-1}=\frac{125a^{127}-126a^{126}+a}{a-1}$より$S(a)=\dfrac{(125a-126)a^{126}+a}{(a-1)^2}$だから, $f(n)$の総和は
\begin{align*} \frac{4\cdot5^{125}}{9}S\left(\frac{3}{5}\right)+\frac{8\cdot(-1)^{125}}{9}S(-3)&=\frac{4\cdot5^{125}}{9}\frac{(-51)\cdot\left(\frac{3}{5}\right)^{126}+\frac{3}{5}}{\frac{4}{25}}+\frac{8\cdot(-1)^{125}}{9}\frac{(-501)\cdot(-3)^{126}-3}{16} \\ &=-85\cdot3^{125}+\frac{5}{3}\cdot5^{125}+\frac{167}{2}\cdot3^{125}+\frac{1}{6} \\ &=\mathbf{\frac{2\cdot5^{126}-3^{127}+1}{6}} \end{align*}
と求められる.

投稿日:2024731
更新日:20241116
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