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高校数学議論
文献あり

【高校物理】エネルギーの定義?, 仕事の定義?①

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概要

高校物理では, どのように「エネルギー」, 「仕事」を定義しているのだろうか?
これのに対し, 多くの高校生は, 「仕事」は$(力) \times (距離)$である, 「エネルギー」はわからないと回答するだろう. たしかに, これらの定義というのは, 高校の教科書を読むだけでは, 判然としない. しかし, 物理学を学ぶ上で, これらの定義をきちんと知らずにいるのは, 心許ない.

ここでは, 「エネルギー」, 「仕事」の定義を正確に述べたいと思う.

契機

以前, 高校物理を他人に教える場面があった. そのとき, エネルギーと仕事のどちらを先に教えるのかという問題に直面した. さまざまな文献にあたって調べた結果, 次の引用を見つけた.

高等学校・物理基礎の配列は判で押したように全社一致して、仕事の定義から入り、仕事の原理(道具を使っても仕事は得しない)に触れた後、運動方程式を変形する形で「仕事と運動エネルギーの関係」を導き、運動エネルギーを定義した後に重力/弾性力による 位置エネルギーを登場させている
(山本, 2022, p.7)

これに対し、中学校では式変形にこだわる必要はないはずであるが、多くの教科書がやはり仕事の定義を先行させ、その後位置エネルギー、運動エネルギーという配列をとっている。5社中ただ1社だけ、文献12の教科書がエネルギーの紹介を先に出し、運動エネルギー、位置エネルギーという並びになっている(同上)

また, 運動方程式の第二積分として, 仕事と運動エネルギーの関係を導き出す書籍は, これらを同時に定義していることがわかった.

問題意識はなにか

力学, 熱力学, 電磁気学といった物理学を一通り学んだ者の間における, 共通認識の話をしよう. まず, 仕事の定義を$(力) \times (距離)$とするのは, 心許ないと感じるはずだ. さらに言えば, 「エネルギーというものが存在し, その変化量として仕事があるのであって, その変化量を調べる手段の一つが$(力) \times (距離)$$\cdots \ast$なのである.

このことは, 一通り学び終えた人がたどり着ける感, であって高校の教科書や参考書等で書いているはずもない. この感にたどり着ける人もいれば, そうでない人も多い. 実際, そうでない側の方が多いのだろう. このことこそ, 私の問題意識である.

もちろん, 現実問題として, $\ast$の主張を前面に押し出した教科書や参考書を作るのは難しいだろう. だからこそ, 本記事を通して, このことを書きたいのである.

参考文献

[1]
山本明利, 仕事・熱・エネルギーをどう指導するか, 北里大学教職課程センター教育研究 8
投稿日:928
更新日:928
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