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座標系について

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$$\newcommand{bm}[1]{\boldsymbol{#1}} \newcommand{detTT}[9]{\left|\begin{array}{ccc} #1 & #2 & #3 \\ #4 & #5 & #6 \\ #7 & #8 & #9 \end{array}\right|} \newcommand{langles}[1]{\left\langle #1 \right\rangle} \newcommand{matrixDD}[4]{\qty(\begin{array}{cc} #1 & #2 \\ #3 & #4 \end{array})} \newcommand{matrixTT}[9]{\qty(\begin{array}{ccc} #1 & #2 & #3 \\ #4 & #5 & #6 \\ #7 & #8 & #9 \end{array})} \newcommand{vecDual}[2]{\qty(\begin{array}{c} #1\\ #2 \end{array})} $$

まだ完成してないですが漸近線座標のとこが必要になったので公開します。
気分が向いたら加筆します。

 多様体の定義で”多様体を覆う開集合のうち、共通部分を持つものの座標変換は滑らかである”とあるが、その座標というものを僕たちは正しく知っているだろうか?一番最初に思い浮かぶのは極座標であるが、その他で座標を変えるということはできるのだろうか?多様体の定義は過度に抽象化され過ぎていて、具体的な座標を知らずにその定義に触れる人が多いだろう。各言う僕もそうだ。なんなら多様体は任意の座標系を扱うんだということを知った後に、具体的な例を知ったほうがいい気もしている。問題は多様体の議論でよく任意の座標で成り立つことを示すパートがなぜそのようなことをやるのかわからないことだろう。古くから今の幾何の研究ではある環境下でいい座標を取ることで曲率の類を計算しやすくしてきた。そのために役立ってくれた座標という制約を外して考えているのが多様体論だ。この記事では具体的な座標系を定義して、何の点で利点があるかを確認していく。

等温座標系

 適当な平面曲線$\gamma:I\ni t\mapsto (x(t),y(t))\in\mathbb{R}^2$に対して、この曲線に直線をはやしたものを柱面という。柱面は次の式で定義される。
$$p:I\times\mathbb{R}\ni(t,v)\mapsto(x(t),y(t),v)\in\mathbb{R}^3$$
 例えば平面曲線$\gamma$として円周$\gamma(t)=(\cos t,\sin t)$を取れば円柱になる。

 この柱面の第一基本形式を求めてみよう。$p_t=(\dot{x}(t),\dot{y}(t),0)$$p_v=(0,0,1)$から
$$E=\langles{p_t,p_t}=\dot{x}^2+\dot{y}^2,\ \ \ F=\langles{p_t,p_v}=0, \ \ \ G=\langles{p_v,p_v}=1$$
より、$I=(\dot{x}^2+\dot{y}^2)dt^2+dv^2$となり、$\gamma$が弧長でパラメタライズされていれば$|d\gamma/ds|=1$なので第一基本形式は以下のように書ける。
$$I=dt^2+dv^2$$
このように何かしらの関数$\lambda(t,v)$を用いて第一基本形式を$I=\lambda(t,v)(dt^2+dv^2)$と書けるような座標を等温座標系という。この場合なら、曲線を使った柱面の表示の仕方でさらにその曲線が弧長でパラメタライズされている場合、その座標は等温座標ということだ。
 この等温座標系が存在するのかはすごく重要な問題だ。座標が存在するというのは曲面
$$p:\mathbb{R}^2\ni(x,y)\mapsto p(x,y)\in\mathbb{R}^3$$
に対してある座標変換$\varphi:\mathbb{R}^2\ni(x,y)\mapsto(u,v)$が存在して$p\circ\varphi^{-1}(u,v)$が等温座標系になっているということだ。先ほどの弧長パラメーターで表現した場合の柱面では座標変換を$id$にしてしまえばいい。
 等温座標系の存在性については次の2定理がある。

向き付けられた2次元リーマン多様体について

向き付けられた2次元リーマン多様体の各点の周りで、向きに同調する等温座標系$(U;(u,v))$が存在して、$z=u+iv$はこのリーマン多様体に複素多様体の構造を与える。

ユークリッド空間内について

ある曲面$p$の第一基本量を$E,F,G$とする。曲面の各点の近傍で$EG-F^2>0$を満たす$C^n$級で$\alpha$次のヘルダー連続な関数$E,F,G$に対し、ある$C^{n+1}$級で$\alpha$次のヘルダー連続な座標変換$\varphi$が存在し$p\circ\varphi^{-1}$が等温座標系になる。

 どちらの証明もすごいハードなので示すのは読者に任せる。特に後者はヤバイ。前者は梅原・山田、後者は福井の微分幾何の教科書に載っている。これらの定理よりも示すのがハンディーな定理があるのでそれを示そう。

回転面について

任意の回転面に対して、等温座標系が存在する。

 証明の方針としては回転面を構成する→座標変換をかます、という感じで行う。座標変換の作り方は非常に天下り的だが、あとで理由を示すので置いといてほしい。大事なのは座標変換を噛ましているという操作を理解することだ。

 平面曲線$\gamma:I\rightarrow\mathbb{R}^2$$\gamma(u)=(f(u),g(u))$と表す。ただし$f$は常に正であるとする。このとき回転面$p:I\times S^1\rightarrow\mathbb{R}^3$$p(u,t)=(f(u)\cos t , f(u)\sin t, g(u))$と表示できる。このときの第一基本形式は計算すると以下の形で表せる。
$$I=(f'(u)^2+g'(u)^2)du^2+f(u)^2dt^2$$
そこで座標変換$\varphi$を次のように取る。
$$\varphi(u,t)=\qty(\int \frac{\sqrt{f'(u)^2+g'(u)^2}}{f(u)}du ,t)$$
この座標で曲面は$p\circ\varphi^{-1}$と書ける。このときの座標を$(\xi,\eta)$と表記する。合成関数の微分法から
$$\vecDual{(p\circ\varphi^{-1})_\xi}{(p\circ\varphi^{-1})_\eta} = \matrixDD{\xi_u}{\eta_u}{\xi_t}{\eta_t}^{-1}\vecDual{p_u}{p_t} = \matrixDD{\frac{1}{h}}{0}{0}{1}\vecDual{p_u}{p_t}$$
ただし$h=\frac{\sqrt{f'(u)^2+g'(u)^2}}{f(u)}$と置く。よって
$$\vecDual{p_u}{p_t}(p_u,p_t) = \matrixDD{\langles{p_u,p_u}}{\langles{p_u,p_t}}{\langles{p_t,p_u}}{\langles{p_t,p_t}} = \matrixDD{E}{F}{F}{G}$$
であることを利用すると
$$\vecDual{(p\circ\varphi^{-1})_\xi}{(p\circ\varphi^{-1})_\eta}((p\circ\varphi^{-1})_\xi,(p\circ\varphi^{-1})_\eta) = \matrixDD{\frac{1}{h}}{0}{0}{1}\vecDual{p_u}{p_t}(p_u,p_t)\matrixDD{\frac{1}{h}}{0}{0}{1} = \matrixDD{f(u)^2}{0}{0}{f(u)^2}$$
であるから$E_{p\circ\varphi^{-1}}=G_{p\circ\varphi^{-1}}=f(u)^2$が示されて$p\circ\varphi^{-1}$が等温座標系で書かれていることがわかる。

なぜ座標変換を
$$\varphi(u,t)=\qty(\int \frac{\sqrt{f'(u)^2+g'(u)^2}}{f(u)}du ,t)$$
としたかというと、最後の行列の計算でうまく打ち消し合って対角成分が同じになるように組み立てている。

 さて存在性と座標変換を噛ませることの意味は分かったろうか。次はこの座標系を使う意義について紹介したいと思う。$(u,v)$を曲面$p:\mathbb{R}^2\rightarrow\mathbb{R}^3$の等温座標系とすると、第一基本形式は次で表せる。
$$I=E(du^2+dv^2)$$
このとき第一基本量の定義から$E=\langles{p_u,p_u}=\langles{p_v,p_v}$を得てこれを$u,v$で微分すると
$$\langles{p_{uu},p_u}=\langles{p_{uv},p_v},\ \ \ \langles{p_{uv},p_u}=\langles{p_{vv},p_v}$$
を得て、これを$0=F=\langles{p_u,p_v}$$u,v$で微分した結果に代入すると
$$0=\langles{p_{uu},p_v} + \langles{p_u,p_{vu}} = \langles{p_{uu},p_v} + \langles{p_v,p_{vv}} \ \Leftrightarrow\ \langles{p_{uu}+p_{vv},p_v} = 0$$
$$0=\langles{p_{uv},p_v} + \langles{p_u,p_{vv}} = \langles{p_{uu},p_u} + \langles{p_u,p_{vv}} \ \Leftrightarrow\ \langles{p_{uu}+p_{vv},p_u} = 0$$
また第二基本形式を$II=Ldu^2+2Mdudv+Ndv^2$と置くと、平均曲率$H$は次のように表される。
$$H=\frac12\tr\matrixDD{E}{F}{F}{G}^{-1}\matrixDD{L}{M}{M}{N} = \frac{L+M}{2E}$$
ここで$\nu$$p$の単位法ベクトルとすると、第二基本量の定義より
$$\langles{p_{uu}+p_{vv},\nu} = L+M = 2EH$$
を得る。任意のベクトル$v$$\langles{v,p_u}p_u + \langles{v,p_v}p_v + \langles{v,\nu}\nu$と分解できることより、
$$p_{uu}+p_{vv} = \langles{p_{uu}+p_{vv},p_u}p_u + \langles{p_{uu}+p_{vv},p_v}p_v + \langles{p_{uu}+p_{vv},\nu}\nu = 0p_u+0p_v+2EH\nu$$
となり、$\frac{1}{E}(\frac{\partial ^2p}{\partial u^2}+\frac{\partial ^2p}{\partial v^2}) =2H\nu$を得る。この式から$p$が極小曲面、つまり$H=0$のとき
$$\frac{1}{E}\qty(\frac{\partial ^2p}{\partial u^2}+\frac{\partial ^2p}{\partial v^2})=0$$
が同値になる。この式のような偏微分作用素ラプラシアン$\Delta = \frac{\partial ^2}{\partial u^2}+\frac{\partial ^2}{\partial v^2}$を用いて$\Delta f =0$と書かれる偏微分方程式をラプラス方程式といい、その解になっている関数のことを調和という。よって$p$の各成分が調和であることと$p$が極小曲面であることは同値ということになる。極小曲面はよく研究されている対象なので扱うときはまずこの座標を取ってみてもいいだろう。
 また$f(t,u,v)$について偏微分方程式$\frac{\partial f}{\partial t} = \Delta f$のことを熱方程式という。温度勾配が温度変化の速度を決めるという原理に従って立式されている方程式であり、$\Delta p =2EH\nu$$\Delta p$が時間に依存に依存しないことを示唆し、これが等温座標系の等温たる所以だろうか。  

漸近線座標系

 双曲線などで出てくる双曲線を曲面にも適応したものがある。曲面上の点を取り、その点での接平面を乗せる。この時双曲点$K<0$なら交線があることがわかる。なぜならガウス曲率$K$は主方向の積$\lambda_1\lambda_2$なため、それが負ということは符号が違っているということである。つまり曲面はその点で接平面の下に潜る物と上に昇る方向があるということだ。中間値の定理から接平面の方向を向いている方向もいるということだ。

 実際に計算してみよう。適当な方向$v\in S^2$に沿った曲線を$\gamma$とする。つまり$\gamma'(0)=v$ということだ。この$v$は必ず曲面の接平面に入っている。この曲線の原点での二階微分を求めると、測地的曲率ベクトル$\kappa_g\bm{n}_g$と法曲率ベクトル$\kappa_n\nu$を用いて
$$\gamma''(0) = \kappa_g\bm{n}_g + \kappa_n\nu$$
と計算できる。テイラーの定理より微小な$\Delta t$に対して
$$\gamma(\Delta t)-\gamma(0) = \gamma'(0)\Delta t + \gamma''(0)\Delta t^2/2 + o(\Delta t^2) = v\Delta t+(\kappa_g\bm{n}+\kappa_n\nu)\Delta t^2/2 + o(\Delta t^2)$$
が成り立つ。$\gamma(\Delta t)$とは曲面上の曲線$\gamma$を微小距離$\Delta t$だけ動かしたものである。であるから考えている点$\gamma(0)$とその点から少し曲線$\gamma$に沿って移動した点$\gamma(\Delta t)$を結んだベクトル$\gamma(\Delta)-\gamma(0)$$\nu$成分が正か負かで、接平面に対して昇っているか潜っているかが判定できる。

ある単位ベクトルの方向の成分は内積をすれば求められるので、$v$$\bm{n}$は接平面に入っている、つまり$\nu$と直交することから
$$\langles{\gamma(\Delta t)-\gamma(0),\nu} = \langles{v\Delta t+(\kappa_g\bm{n}+\kappa_n\nu)\Delta t^2/2 + o(\Delta t^2),\nu} = \Delta t^2 (\kappa_n+\langles{o(\Delta t^0),\nu})$$
 よって$\Delta t$が十分小さければ$\langles{\gamma(\Delta t)-\gamma(0),\nu}$の符号は法曲率によって決定される。法曲率の最大最小が主曲率でそれの符号は互い違いなことから中間値の定理より$\kappa_n=0$となる方向が存在すると結論付けられる。この方向のことを漸近方向と言い、その積分曲線を漸近線という。この漸近線を軸に座標を組み立てたのが漸近線座標系だ。つまりその点での漸近線が$u=const.$$v=const.$で書き表せるということだ。
 また漸近座標系での漸近方向は$p_u$$p_v$なため、法曲率$\kappa_n=0$は次の方程式で書けることがわかる。
$$0=\kappa_n=2Mdudv$$
この方程式の解は$M\not=0$なら$du=0$もしくは$dv=0$となり漸近方向が$dup_u+dvp_v$で表せることと一致している。この座標系においては$L\equiv N\equiv0$が成り立つのだ。
 具体的に座標変換を見てみよう。連立偏微分方程式を解かないといけないので一般論では厳しい。

双曲的放物面

 曲面として双曲的放物面を取ろう。$z=x^2-y^2$だ。

この曲面はガウス曲率がどこでも負なのは有名だ。第一基本形式と第二基本形式を計算する。
$$p_x=(1,0,2x),\ \ \ p_y=(0,1,-2y),\ \ \ \nu=\frac{p_x\times p_y}{|p_x\times p_y|}=\frac{(-2x,-2y,1)}{1+4x^2+4y^2}$$
$$p_{xx}=(0,0,2),\ \ \ p_{xy}=(0,0,0),\ \ \ p_{yy}=(0,0,-2)$$
よって第一基本量、第二基本量は
$$E=1+4x^2,\ \ \ F=4xy,\ \ \ G=1+4y^2$$
$$L=\frac{2}{1+4x^2+4y^2},\ \ \ M=0,\ \ \ N=-\frac{2}{1+4x^2+4y^2}$$
である。ガウス曲率は
$$K = \det\matrixDD{E}{F}{F}{G}^{-1}\matrixDD{L}{M}{M}{N} = \frac{-4}{(1+4x^2+4y^2)^3}$$
より、確かに任意の点で双曲的なのがわかる。この第二基本形式は
$$II=\frac{2}{1+4x^2+4y^2}(dx^2-dy^2)$$
より漸近方向は$II=0$を解けばいいから$dx=\pm dy$が実現する方向ということがわかる。つまり$p_x+p_y$$p_x-p_y$だ。

よってこれらの漸近線、つまり漸近方向の積分曲線を$c_1,c_2$と置くと、微分方程式
$$c_1'(t)=p_x(c(t))+p_y(c(t)),\ \ \ c_2'(t)=p_x(c(t))-p_y(c(t)) \label{DiffEq}\tag{2.1}$$
を満たしている。これはあとで解こう。つまりベクトル場$\partial_x+\partial_y$$\partial_x-\partial_y$の積分曲線が漸近線である。漸近線座標系$(u,v)$を取ると、そのベクトル場で変化しないということが漸近線座標系なので
$$\partial_x u +\partial_y u=0,\ \ \ \partial_x v - \partial_y v=0$$
この偏微分方程式の特殊解は勘で暗算できて$u=x-y$$v=x+y$が得られる。この座標で曲面$p$
$$(x,y,x^2-y^2)=\qty(\frac{u+v}{2},\frac{u-v}{2},uv)$$
と表せる。第二基本形式は
$$II=(dx,dy)\matrixDD{L}{M}{M}{N}\vecDual{dx}{dy} = (du,dv)\matrixDD{u_x}{v_x}{u_y}{v_y}^t\matrixDD{\frac{2}{1+2(u^2+v^2)}}{0}{0}{\frac{-2}{1+2(u^2+v^2)}}\matrixDD{u_x}{v_x}{u_y}{v_y}\vecDual{du}{dv}$$
$$= (du,dv)\matrixDD{1}{-1}{1}{1}\matrixDD{\frac{2}{1+2(u^2+v^2)}}{0}{0}{\frac{-2}{1+2(u^2+v^2)}}\matrixDD{1}{1}{-1}{1}\vecDual{du}{dv} = (du,dv)\matrixDD{0}{\frac{4}{1+2(u^2+v^2)}}{\frac{4}{1+2(u^2+v^2)}}{0}\vecDual{du}{dv}$$
から確かに$L\equiv N \equiv 0$がわかるし、法曲率の方程式$0=\kappa_n=\frac{4}{1+2(u^2+v^2)}dudv$が手に入るため、その解が実現する漸近方向のベクトル場が$\partial_v$$\partial_u$なことがわかる。
 さて最後に本当にこの座標で漸近線が$u=const.$$v=const.$になっているか確かめよう。微分方程式(\ref{DiffEq})を$c_i=(x_i,y_i,z_i)$と置くと
$$\frac{dx_1}{dt}=\frac{dy_1}{dt}=1,\ \ \ \frac{dz_1}{dt}=2x_1-2y_1$$
$$\frac{dx_2}{dt}=-\frac{dy_2}{dt}=1,\ \ \ \frac{dz_2}{dt}=2x_2+2y_2$$
より$c_1(t)=(t+c_1,t+c_2,2(c_1-c_2)t+c_3)$$c_2(t)=(t+c_4,-t+c_5,2(c_4+c_5)t+c_6)$を得る。$t=0$のとき$(a,b,a^2-b^2)$を通るとすると、$c_1,c_2,c_3,c_4,c_5,c_6$を求められて、$c_1=a$$c_2=b$$c_3=a^2-b^2$$c_4=a$$c_5=b$$c_6=a^2-b^2$となる。よって
$$c_1(t)=(1,1,2(a-b))t+(a,b,a^2-b^2),\ \ \ c_2(t)=(1,-1,2(a+b))t+(a,b,a^2-b^2)$$
を得る。これを$x,y,z$の方程式としてあらわすと、
$$t=x-a=y-b=\frac{z-(a^2-b^2)}{2(a-b)}$$
$$t=x-a=-y+b=\frac{z-(a^2-b^2)}{2(a+b)}$$
これを$u=x-y$$v=x+y$で座標変換する。$z=x^2-y^2=uv$に注意すると
$$x-y=a-b,\ x-a=\frac{z-(a^2-b^2)}{2(a-b)}\ \Leftrightarrow\ u=a-b$$
$$x+y=a+b,\ x-a=\frac{z-(a^2-b^2)}{2(a+b)}\ \Leftrightarrow\ v=a+b$$
より、$u=const.$$v=const.$が漸近線であることが確かめられる。

曲率線座標系

 名前付けは漸近座標系と同じようにされている。つまり曲率線を軸とした座標系を曲率線座標系という。つまり曲率線を定義する方程式から曲率線を実現するベクトル場を考え、それによって不変である座標系を求めるために連立偏微分方程式を解けば、曲率線座標を得ることができる。曲率線座標系を取るとどんな利点があるだろうか?曲率線を実現するベクトル場を与える式は以下である。
$$\detTT{E}{L}{dv^2}{F}{M}{-dudv}{G}{N}{du^2}=0$$
曲率線座標では曲率線が$\partial_x$$\partial_y$の積分曲線でないといけないため、上の方程式の解は$dx=0$$dy=0$でないといけない。つまり$F\equiv M\equiv 0$であることが必要十分である。実際上の行列式をこの条件下で計算すると
$$(GL-EN)dxdy=0$$
となり、この式の形になるのはその時に限る。またこの座標系が存在するためには$GL-EN\not=0$である必要があり、この条件は臍点$H^2-K=0$でないという条件だ。実際計算してみると、
$$H^2-K=\frac{(EN+GL)^2}{4E^2G^2}-\frac{LN}{EG} = \frac{(EN-GL)^2}{4E^2G^2}$$
となるため、一致していることがわかる。また臍点のとき曲率線は特異点を持つことが知られている。Darbouxの分類で調べるといいだろう。
 さて、具体例を計算してみよう。最初にすでに曲率線座標であるような例をやり、そのあとにそうでない例と座標変換を作る例を計算してみよう。

放物面

$z=x^2$という曲面を取る。

このとき、第一基本量と第二基本量を計算すると
$$p_x=(1,0,2x),\ \ \ p_y=(0,1,0),\ \ \ \nu=\frac{(-2x,0,1)}{1+4x^2}$$
$$p_{xx}=(0,0,2),\ \ \ p_{xy}=(0,0,0),\ \ \ p_{yy}=(0,0,0)$$
より
$$E=1+4x^2,\ \ \ F=0,\ \ \ G=1$$
$$L=\frac{2}{1+4x^2},\ \ \ M=0,\ \ \ N=0$$
から$F\equiv M\equiv 0$を得て、曲率線座標なことはわかるが曲率線を計算してみよう。
$$0=\detTT{E}{L}{dv^2}{F}{M}{-dudv}{G}{N}{du^2}=\detTT{1+4x^2}{\frac{2}{1+4x^2}}{dv^2}{0}{0}{-dudv}{1}{0}{du^2} = -\frac{2}{1+4x^2}dudv$$
より曲率線を実現するベクトル場は$\partial_x$$\partial_y$である。この積分曲線を$c_1(t)=(x_1,y_1,z_1)(t)$$c_2(t)=(x_2,y_2,z_2)(t)$とすると
$$(x_1',y_1',z_1')=(1,0,2x_1),\ \ \ (x_2',y_2',z_2')=(0,1,0)$$
$$\leadsto (x_1,y_1,z_1) = (t+c_1,c_2,(t+c_1)^2+c_3),\ \ \ (x_2,y_2,z_2) = (c_4,t+c_5,c_6)$$
$t=0$のときこの積分曲線は$(a,b,a^2)$を通るとすると
$$c_1=a, \ \ \ c_2=b, \ \ \ c_3=0, \ \ \ c_4=a, \ \ \ c_5=b, \ \ \ c_6=a^2$$
であるから、この曲線が定義する方程式は
$$x=t+a,\ \ \ y=b,\ \ \ z=(t+a)^2=x^2\ \Leftrightarrow\ y=b$$
$$x=a,\ \ \ y=t+b,\ \ \ z=a^2=x^2\ \Leftrightarrow\ x=a$$
つまり曲率線が$x=const.$$y=const.$と書けることがわかる。

双曲的放物面

$z=x^2-y^2$とすると第一基本形式と第二基本形式は例1より
$$E=1+4x^2,\ \ \ F=4xy,\ \ \ G=1+4y^2$$
$$L=\frac{2}{1+4x^2+4y^2},\ \ \ M=0,\ \ \ N=-\frac{2}{1+4x^2+4y^2}$$
から臍点の条件を出しておくと
$$H^2-K=\frac{(EN-GL)^2}{4E^2G^2} = \qty(-\frac{2(1+4x^2)}{1+4x^2+4y^2}-\frac{2(1+4y^2)}{1+4x^2+4y^2})^2\qty(\frac{1}{2EG})^2=\qty(\frac{4(1+2x^2+2y^2)}{1+4x^2+4y^2})^2\qty(\frac{1}{2EG})^2>0$$
曲率線を定義する式を計算すると
$$0=\detTT{1+4x^2}{\frac{2}{1+4x^2+4y^2}}{dy^2}{4xy}{0}{-dxdy}{1+4y^2}{-\frac{2}{1+4x^2+4y^2}}{dx^2}=-\qty(\frac{8xy}{1+4x^2+4y^2})dx^2-\qty(-\frac{2(1+4y^2)}{1+4x^2+4y^2}-\frac{2(1+4x^2)}{1+4x^2+4y^2})dxdy-\qty(\frac{8xy}{1+4x^2+4y^2})dy^2$$
$$\Leftrightarrow\ 2xydx^2 - (1+2x^2+2y^2)dxdy + 2xydy^2=0$$
$x=0$または$y=0$のとき曲率線座標になることがわかる。また$xy\not=0$であるとき解の公式より
$$\frac{du}{dv}=\frac{1+2x^2+2y^2\pm\sqrt{(1+2x^2+2y^2)^2-16x^2y^2}}{4xy}=\frac{\lambda_+}{4xy},\frac{\lambda_-}{4xy}$$
$$\Leftrightarrow\ (du,dv)=k'\qty(1,\frac{\lambda_+}{4xy}),\ k'\qty(1,\frac{\lambda_-}{4xy})=k\qty(4xy,\lambda_+),\ k\qty(4xy,\lambda_-)$$
と置くと、曲率線を実現するベクトル場は$4xy\partial_x+\lambda_+\partial_y$$4xy\partial_x+\lambda_-\partial_y$である。曲率線座標系$(u,v)$を取るとこの座標は先ほど求めたベクトル場に対して不変なため次の連立偏微分方程式を得る。
$$4xyu_x+\lambda_+u_y=0,\ \ \ 4xyv_x+\lambda_-v_y=0$$
$$\leadsto\ \frac{u_x}{u_v}=-\frac{\lambda_+}{4xy},\ \ \ \frac{v_x}{v_v}=-\frac{\lambda_-}{4xy}$$
$$\leadsto\ \frac{u_x}{u_v}\frac{v_y}{v_x}=\frac{\lambda_+}{\lambda_-}\ \Leftrightarrow\ u_xv_y=\frac{\lambda_+}{\lambda_-}u_yv_x$$
$$\leadsto\ \det\matrixDD{u_x}{v_x}{u_y}{v_y} = \qty(1-\frac{\lambda_+}{\lambda_-})u_yv_x$$
$u_y\not=0$$v_x\not=0$を満たす解なら逆写像定理より座標変換$u=u(x,y),\ v=v(x,y)$は微分同相であることがわかる。この座標系なら$u=const.$$v=const.$が曲率線である。

 ちなみに楕円的放物面の特殊な場合$z=x^2+y^2$は原点で臍点なため、原点で曲率線座標はとることができない。

測地的極座標

 平面では二点を直線で結べば最短線を得られるが、曲面ではそうはいかない。測地線というものを定義すれば平面での直線みたいなものを定義できるのだ。つまり接平面の方向に曲がってなければいいので曲面上の曲線$\gamma$の曲率ベクトルが
$$\frac{d^2\gamma}{dt^2}=\kappa_g\bm{n}_g+\kappa_n\nu$$
と表されるとき$\kappa_g=0$であるなら測地線であると言えるだろう。具体的に二階微分すると
$$\frac{d^2\gamma}{dt^2} = p_u\frac{d^2u}{dt^2}+p_v\frac{d^2v}{dt^2} + p_{uu}\qty(\frac{du}{dt})^2+2p_{uv}\frac{du}{dt}\frac{dv}{dt}+p_{vv}\qty(\frac{dv}{dt})^2$$
$$=\qty(\frac{d^2u}{dt^2}+\Gamma_{uu}^u\qty(\frac{du}{dt})^2+2\Gamma_{uv}^u\frac{du}{dt}\frac{dv}{dt}+\Gamma_{vv}^u\qty(\frac{dv}{dt})^2)p_u$$
$$\ \ \ \ \ +\qty(\frac{d^2v}{dt^2}+\Gamma_{uu}^v\qty(\frac{du}{dt})^2+2\Gamma_{uv}^v\frac{du}{dt}\frac{dv}{dt}+\Gamma_{vv}^v\qty(\frac{dv}{dt})^2)p_v$$
$$\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ +\qty(L\qty(\frac{du}{dt})^2+2M\frac{du}{dt}\frac{dv}{dt}+N\qty(\frac{dv}{dt})^2)p_v$$
となるから測地的方向をなしているベクトルの成分が0であれば$\kappa_g=0$となる。つまり次の式が成り立つのが$\gamma$が測地線であることの必要十分条件だ。
$$\frac{d^2u}{dt^2}+\Gamma_{uu}^u\qty(\frac{du}{dt})^2+2\Gamma_{uv}^u\frac{du}{dt}\frac{dv}{dt}+\Gamma_{vv}^u\qty(\frac{dv}{dt})^2=0,\ \ \ \frac{d^2v}{dt^2}+\Gamma_{uu}^v\qty(\frac{du}{dt})^2+2\Gamma_{uv}^v\frac{du}{dt}\frac{dv}{dt}+\Gamma_{vv}^v\qty(\frac{dv}{dt})^2=0$$
これは常微分方程式なので解の存在性定理より適切な初期条件の下で解が存在することがわかる。

$\gamma$が測地線なら$\qty|\frac{d\gamma}{ds}|$は定数である。つまり測地線のパラメーターは弧長パラメーターの定数倍となる。

確かにこの定理は直線の類似になっていることがわかる。なぜなら直線$y=mx+l$に対して$m=\tan \theta$とすると直線の原点からの長さは$\frac{x}{\cos\theta}$で与えられて、確かに弧長の定数倍になっている。

$\gamma$が測地線より$\kappa_n=0$であるため
$$\frac{d}{dt}\langles{\frac{d\gamma}{dt},\frac{d\gamma}{dt}} =2\langles{\frac{d\gamma}{dt},\frac{d^2\gamma}{dt^2}}=\langles{\frac{d\gamma}{dt},\kappa_n\nu}=0$$

球の測地線

$x^2+y^2+z^2=1$の測地線を求めてみよう。$s$を弧長パラメーターとすると$\gamma(s)$が測地線と仮定すると$\gamma$が球面上であることから
$$\langles{\gamma,\gamma}=1,\ \ \ \langles{\gamma,\gamma'}=0$$
後者を微分すると
$$0=\langles{\gamma',\gamma'} + \langles{\gamma,\gamma''} = 1+\langles{\gamma,\gamma''}$$
を得る。また$\gamma$が測地線であるから法ベクトルの関数倍であり、法ベクトルと$\gamma$が一致することから$\gamma''=a\gamma$が成り立ち、上の式に代入することで
$$-1=\langles{\gamma'',\gamma}=\langles{\gamma'',a\gamma''}=a$$
よって常微分方程式$\gamma''+\gamma=0$を初期条件
$$\gamma(0)=\bm{a},\ \ \ \gamma'(0)=\bm{v},\ \ \ |\bm{a}|=1,\ \ \ |\bm{v}|=1$$
でとくと、$\langles{\gamma,\gamma'}=0$から$\langles{\bm{a},\bm{v}}=0$の条件が得られて
$$\gamma(s)=\bm{a}\cos s+\bm{v}\sin s$$
を得る。これは球の$\bm{a}$を通ってその点で$\bm{v}$の接ベクトルを持つ大円であることがわかる

 曲面$M$上の一点を取り、そこでの接平面の正規直交基底$\bm{e}_1,\bm{e}_2$を取る。$\sin\theta\bm{e}_1+\cos\theta\bm{e}_2$を初期ベクトルとする測地線$\gamma$を考え、その測地線に沿って$r$だけ進んだ点を$\bm{x}(r,\theta)$とする。このとき十分小さい$R$に対して
$$\bm{x}:[0,R)\times[0,2\pi]\ni(r,\theta)\mapsto \bm{x}(r,\theta)\in M$$
は、考えている点の測地的極座標近傍を与えていると考えられる。また、$(r,\theta)$のことを測地的極座標という。

球の測地的極座標

初期地点として$\bm{e}_0\in S^2$を取り、その点での接平面での正規直交基底として$\bm{e}_2,\bm{e}_3$を取る。このとき$\cos\theta\bm{e}_2+\sin\theta\bm{e}_3$方向の球の測地線は
$$\gamma(s)=\bm{e}_1\cos s+(\cos\theta\bm{e}_2+\sin\theta\bm{e}_3)\sin s$$
で与えることを先ほど示した。この測地線に沿って$r$だけ進んだ点、つまり$s=r$での値が$\bm{x}(r,\theta)$の値だ。
$$\bm{x}(r,\theta)=\bm{e}_1\cos r+(\cos\theta\bm{e}_2+\sin\theta\bm{e}_3)\sin r$$
である。この座標での第一基本形式を見てみよう。
$$\bm{x}_r=-\bm{e}_1\sin r+(\cos\theta\bm{e}_2+\sin\theta\bm{e}_3)\cos r,\ \ \ \bm{x}_\theta =(-\sin\theta\bm{e}_2+\cos\theta\bm{e}_3)\sin r$$
$$\leadsto\ E=\sin^2 r +\cos^2\theta\cos^2r+\sin^2\theta\cos^2r=1$$
$$F=-\cos\theta\cos r\sin\theta\sin r+\sin\theta\cos r\cos\theta\sin r=0$$
$$G=\sin^2\theta\sin^2 r+\cos^2\theta\sin^2r=\sin^2r$$
であるから
$$I=dr^2+\sin^2rd\theta^2$$
が成り立つ。

より一般に次の命題が成り立つ。

測地的極座標を取ったとき
$$E=1,\ \ \ F=0$$

Monge form

Darboux frame

投稿日:7日前
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たぶん微分幾何をやってるねこです

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