間違いがあったら教えてください
想定解は最も簡単な解法であるとは限らないです
各問題にちょっとしたコメントを付しています
$n$ を正の整数とする.正の整数からなる(要素数が有限個とは限らない)集合 $S$ が良い集合であるとは,$S$ が $2$ 個以上の要素をもち,かつ任意の $a< b$ なる $S$ の要素 $a$, $b$ が以下の条件をみたすことをいう.
$b-a< c< b+a$ をみたすような $S$ の要素 $c$ であって,$a$, $b$ とは異なるものが,$1$ 個以上 $n$ 個以下存在する.
良い集合の要素数には最大値が存在することを示し,その値を $n$ の式で表せ.
解答
最大値は $n+2$ である.まず,良い集合の要素数が $n+2$ 以下であることを示す.
良い集合 $S$ の要素数が $n+3$ 以上の良い集合だと仮定し,$S$ の要素を昇順に $x_1,\,x_2,\,\ldots$ とする.このとき,$$x_{n+3}-x_1< c< x_{n+3}+x_1,\qquad \therefore |x_{n+3}-c|< x_1$$ なる $S$ の要素 $c$ が存在する.よって,各 $j=1,2,\ldots,n+2$ に対して $|x_{n+3}-c|< x_j< x_{n+3}+c$ が成立する.$c$ が $x_1,\,x_2,\,\ldots,\,x_{n+2}$ のいずれかであるならば,このような $j$ であって $x_j$ が $c$, $x_{n+3}$ とは異なるようなものが $n+1$ 個以上存在し,いずれでもないならば $n+2$ 個以上あるのでどちらにせよ矛盾.したがって,良い集合の要素数は $n+2$ 以下である.
次に,要素数が $n+2$ の良い集合が存在することを示す.
$S=\{ n+1,n+2,\ldots,2n+2\}$ とすれば,この要素数は $n+2$ であり,任意の $S$ の要素 $a$, $b$ に対して $a$, $b$ でない $S$ の要素が $n$ 個以下なので,$b-a< c< b+a$ なる $c$ も $n$ 個以下である.また,このような $c$ が $1$ 個以上存在することも確認できるため,この $S$ は良い集合である.
以上より,良い集合の要素数には最大値が存在し,その値は $n+2$ であることが示された.
予選記述の簡単枠のつもりで出したが思ったより解かれなかった
脳死で最大値を取らないようにしよう
$n$, $m$ を正の整数とする.$1$ 以上 $m$ 以下の整数 $a_1,\,a_2,\,\ldots,\,a_{2n}$ が以下の条件をみたしている.
$2n$ 個の整数 $i_1,\,i_2,\,\ldots,\,i_n,\,j_1,\,j_2,\,\ldots,\,j_n$ が
\begin{gather*}
1\leq i_1< i_2<\cdots< i_n\leq2n,\quad1\leq j_1< j_2<\cdots< j_n\leq2n,\\
(i_1,i_2,\ldots,i_n)\ne(j_1,j_2,\ldots,j_n)
\end{gather*}
をすべてみたすならば,$\left(a_{i_1},a_{i_2},\ldots,a_{i_n}\right)\ne\left(a_{j_1},a_{j_2},\ldots,a_{j_n}\right)$ である.
このとき,$m$ としてありうる最小の値を $n$ を用いて表せ.
解答
$m\leq n$と仮定すると,$1$以上$n+1$以下の整数$x< y$であって$a_x=a_y$なるものが存在するので,$(i_1,i_2,...,i_n)=(x,n+2,...,2n),(j_1,j_2,...,j_n)=(y,n+2,...,2n)$の場合条件が成立せず矛盾.よって$m\geq n+1$であるが,$m=n+1$のとき$a_i=i(i\leq n+1),i-n-1(i\geq n+2)$と定めると条件をみたすことを示す.$(i_1,i_2,...,i_n)=(a_1,a_2,...,a_n),(j_1,j_2,...,j_n)=(b_1,b_2,...,b_n)$の場合に任意の$k$で$a_{i_k}=a_{j_k}$であったと仮定すると,
任意の$k$に対して$k\leq i_k,j_k\leq k+n$であるので$|i_k-j_k|\leq n$.これと$c$の定め方から$x< y$が$a_x=a_y$をみたすならば$y-x>n$であることから$i_k=j_k$が従う,よって$i$と$j$は同じ組であることが分かったので条件の対偶が示された.よって求める最小値は$n+1$
決勝Day1の簡単枠として作った
ARCでこれの上位互換が既出らしくて悲しい(まあ確かにありそうな設定ではある)
正の整数 $n$ であって,$5^{2026}$ が $4^n+3^n+2^n+1$ を割り切るもののうち,最小のものを求めよ.
解答
まず,以下を示す.
補題:
正の整数 $n$ に対して,以下の等式が成り立つ:
$v_5(4^n+3^n+2^n+1)=$\begin{cases}
0 & (n\equiv0\pmod 4のとき) \\
v_5(n)+1 & (n\equiv1,2\pmod 4のとき) \\
v_5(n(n-1))+2 & (n\equiv3\pmod4 のとき ) \\
\end{cases}
証明
$n$が$4$で割り切れるとき$4^n+3^n+2^n+1\equiv4\pmod5$であり,これは$5$で割り切れない.以下そうでない場合を考える.
$n\equiv2\pmod4$であるとき,$\dfrac{n}{2}$は奇数であるので,LTEの補題から$$v_5(4^n+3^n)=v_5\mathopen{}\left(16^{\frac{n}{2}}+9^{\frac{n}{2}}\right)=v_5(25)+v_5\mathopen{}\left(\dfrac{n}{2}\right)=v_5(n)+2$$また$$v_5(2^n+1)=v_5(4^{\frac{n}{2}}+1)=v_5(5)+v_5\mathopen{}\left(\frac{n}{2}\right)=v_5(n)+1$$である.よって $v_5(4^n+3^n+2^n+1)=v_5(n)+1$ が従う.
$n$が奇数であるとき,
\begin{align*}
4^n+3^n+2^n+1&=(5-1)^n+1+(5-2)^n+2^n\\
&=\sum_{i=1}^n5^i(-1)^{n-i}\binom{n}{i} +\sum_{j=1}^n5^j(-2)^{n-j}\binom{n}{j}\\
&=\sum_{i=1}^n(1+2^{n-i})5^i(-1)^{n-i}\binom{n}{i}
\end{align*}
と変形できる.まず,$i\geq3$ のとき $\displaystyle v_5\mathopen{}\left((1+2^{n-i})5^i\binom{n}{i}\right)>v_5(n(n-1))+2$ であることを示す.$f(i)=\displaystyle v_5\mathopen{}\left((1+2^{n-i})5^i\binom{n}{i}\right)$とおけば,$i\geq 3$で
\begin{align*}
f(i)&\geq i+v_5(n(n-1)(n-2))-v_5(i!)>i+v_5(n(n-1))-\dfrac{i}{4}\\
&=\dfrac{3i}{4}+v_5(n(n-1))\geq\dfrac94+v_5(n(n-1))>v_5(n(n-1))+2
\end{align*}
となる.(ただし,途中の式変形において $\dfrac15+\dfrac{1}{25}+\dfrac{1}{125}+\cdots(有限和 )<\dfrac14$ を用いた)よって示された.
ここから
$$\sum_{i=1}^n(1+2^{n-i})5^i(-1)^{n-i}\binom{n}{i}\equiv5n\left(1+4^{\frac{n-1}{2}}-\dfrac52(n-1)(1+2^{n-2})\right)\pmod{5^{v_5(n(n-1))+3}}$$
がわかる.$n\equiv3\pmod4$のとき,
$$1+(5-1)^{\frac{n-1}{2}}-5\dfrac{n-1}2(1+2^{n-2})=-5(n-1)2^{n-3}+\displaystyle\sum_{i=2}^{\frac{n-1}{2}}5^i(-1)^{\frac{n-1}{2}-i}\binom{\frac{n-1}{2}}{i}$$
であるので,$f(i)$の評価と同様のことができ,
$$v_5\mathopen{}\left(1+4^{\frac{n-1}{2}}-\dfrac52(n-1)(1+2^{n-2})\right)=1+v_5(n-1)$$
となる.したがって,$v_5(4^n+3^n+2^n+1)=v_5(5n)+1+v_5(n-1)=v_5(n(n-1))+2$ がわかる.
$n\equiv1\pmod4$のときは$1+4^{\frac{n-1}{2}}$が$5$で割り切れず,$\dfrac52(n-1)(1+2^{n-2})$は$5$で割り切れるので$v_5(4^n+3^n+2^n+1)=v_5(5n)=v_5(n)+1$
がわかる.
これらを踏まえると,$4^n+3^n+2^n+1$が$5^{2026}$で割り切れることの必要十分条件は「$n\equiv0\pmod{5^{2025}}$かつ$n\equiv1,2\pmod4$」または「$n\equiv0,1\pmod{5^{2024}}$かつ$n\equiv3\pmod4$」であることがわかるので,それぞれの場合について検討すれば最小値は$n=2×5^{2024}+1$であることがわかる.
statementが奇麗で気に入ってる(これ既出じゃないのすごくない?)
良くも悪くも数オリNらしさは低めで,逆にそれが難易度を上げる要因にもなっていそう
主張がad-hocの塊なので解法も割となんでもありで,$n\equiv3\pmod4$の場合を$$4^{4k+3}+3^{4k+3}+2^{4k+3}+1=3×(16^{2k+1}+9^{2k+1})+(4^{2k+1}+1)^2$$と変形して解いている答案もあった.
有理数に対して定義され有理数値をとる関数 $f$ であって,任意の有理数 $x$, $y$ に対して$$f(f(x))f(f(y))+f(x+y)=f(x)f(y)$$
をみたすものをすべて求めよ.
解答
与式への代入を$P(x,y)$と表す.
$f(0)=0$ のとき
$P(x,0)$より任意の$x$に対して$f(x)=0$が成立する.
$f(0)\neq 0,1$ のとき
$P(0,0)$より$f(f(0))^2=f(0)^2-f(0)$,$P(x,0)$より$f(f(x))=\pm\sqrt{\dfrac{f(0)-1}{f(0)}}f(x)$を得る(ただし,任意の$x$に対して符合は同一).以降は $\pm\sqrt{\dfrac{f(0)-1}{f(0)}}=c$とおく.これを与式に適用することで
$$f(0)f(x+y)=f(x)f(y)$$
を得る.これに$y=f(0)$を代入すれば,$f(x+f(0))=cf(x) $を得る.特に,任意の正の整数$n$に対して
$$f(2nf(0))=\left(\dfrac{f(0)-1}{f(0)}\right)^nf(0)$$
が成立する.また,$n$を$2nf(0)$が整数となるようにとると,$\left|\dfrac{f(0)-1}{f(0)}\right|\neq0,1$からこのような$n$全体に対して$f(2nf(0))$は無数の値をとる.ある相異なる有理数$a,b$が存在して$f(a)=f(b)$
となったと仮定すると,$P(x,a)$と$P(x,b)$を比較することで$f(x+|b-a|)=f(x)$がわかる.$|b-a|$は$0$でない有理数なので,これを繰り返し用いることである正の整数$k$が存在して $f(x+k)=f(x)$となることが分かる.よって,整数$n$に対して$f(n)$が取りうる値は高々有限個となるはずだが,これは先ほどの結果と矛盾.よってこのような$a,b$は存在せず,$f$は単射である.よって$f(f(x))=f(x+f(0))=cf(x)$より$f(x)=x+f(0)$が分かるが,これを元の式に代入するとどのような$f(0)$に対しても与式は成立しないことがわかる.
$f(0)=1$のとき
$P(0,0)$より$f(1)=0$,$P(1,1)$より$f(2)=-1$が分かる.
また$P(x,1)$より$f(f(x))+f(x+1)=0$がわかる.よって与式は$$f(x+1)f(y+1)+f(x+y)=f(x)f(y) $$と書くことが可能である.ここで$f(-1)=c$とおけばこの式で$y=-1$とすることで$$f(x+1)=cf(x)-f(x-1)$$がわかる.これを用いると簡単な帰納法により任意の整数$n$に対して$f(n)=-f(2-n)$であることが分かり,また$f$が単射ならば$f(f(n))=-f(n+1)=f(1-n)$より任意の整数$n$
対して$f(n)=1-n$が成立することがわかる.また,$f(0)\neq0,1$の場合と同様に$f$が単射でないならば$f(n)$は高々有限個の値しかとらないので,$f(n)$が無数の値をとるならば$f$は単射である.
もし$c$が整数でないならば,$n\geq3$に対して$f(n)$は最高次の係数が$-1$である$c$についての$n-2$次多項式であるので,$c$を既約分数表示した時の分母を$p(>1)$とおけば$n\geq3$のとき$f(n)$を既約分数表示したときの分母は$p^{n-2}$である.よって$f(n)$は無数の値をとりうるため$f(n)=1-n$であるはずだがこれは不合理.
$|c|\geq3$であるとき,$|f(3)|=|-c|\geq3$なので$|f(3)|>2|f(2)|$である.もし$|f(n)|>2f(n-1)$ならば,$$|f(n+1)|=|cf(n)-f(n-1)|\geq||cf(n)|-|f(n-1)||>|3|f(n)|-\dfrac12|f(n)||>2|f(n)|$$
なので帰納的に任意の$3$以上の整数$n$で$|f(n)|>2^{n-1}$なので,$f(n)$は無数の値をとりうる.よって$f(n)=1-n$であるはずがこれは明らかに不合理.よって$|c|\leq2$.
$c=2$のとき,任意の整数$n$に対して$f(n)=1-n$が成立...(A)
$c=1$のとき,$1=f(-1)=f(0)=1$より任意の有理数$x$に対して$f(x)=f(x+1)$が成立するはずだが$1=f(0)\neq f(1)=0$より不合理.
$c=0$のとき,$0=f(-1)=f(1)=0$より任意の有理数$x$に対して$f(x)=f(x+2)$が成立するはずだが,$1=f(0)\neq f(2)=-1$より不合理.
$c=-1$のとき,任意の整数$n$に対して$f(n)=-1(n\equiv2\pmod3),0(n\equiv1\pmod3),1(n\equiv0\pmod3)$となる...(B)
$c=-2$のとき,$f(n)=(-1)^n(1-n)$より$f(n)$は無数の値を取りうるが$1-n$と合同でないため不合理.
以上より,(A)または(B)が成立する.
$\mathbf{(B)}$が成立するとき
正の整数 $N$ と,最大公約数が1の整数 $A$, $B$, $C$, $D$, $E$, $F$ を用いて
$$f\left(\dfrac13\right)=\dfrac{A}{N},\ \ f\left(\dfrac23\right)=\dfrac{B}{N},\ \ f\left(\dfrac43\right)=\dfrac{C}{N},\ \ f\left(\dfrac53\right)=\dfrac{D}{N},\ \ f\left(\dfrac73\right)=\dfrac{E}{N},\ \ f\left(\dfrac83\right)=\dfrac{F}{N}$$
とおく.このとき,$f(-1)=f(2)$より任意の有理数$x$に対して$f(x)=f(x+3)$であることに注意すると
$P\mathopen{}\left(\dfrac13,\dfrac13\right)$, $P\mathopen{}\left(\dfrac23,\dfrac23\right)$, $P\mathopen{}\left(\dfrac43,\dfrac43\right)$, $P\mathopen{}\left(\dfrac53,\dfrac53\right)$, $P\mathopen{}\left(\dfrac73,\dfrac73\right)$, $P\mathopen{}\left(\dfrac83,\dfrac83\right)$, $P\mathopen{}\left(\dfrac13,\dfrac23\right)$, $P\mathopen{}\left(\dfrac43,\dfrac53\right)$より
\begin{align}
A^2=BN+C^2 \label{A1-1}\\
B^2=CN+D^2 \label{A1-2}\\
C^2=FN+E^2 \label{A1-3}\\
D^2=AN+F^2 \label{A1-4}\\
E^2=DN+A^2 \label{A1-5}\\
F^2=EN+B^2 \label{A1-6}\\
AB=CD=EF+N^2 \label{A1-7}
\end{align}
が成立する.$1,2,3,4$式を$N$で割った余りを見ることで$A^2\equiv C^2\equiv E^2\pmod N,B^2\equiv D^2 \equiv F^2 \pmod N$がわかる.また$1,3,5$式と$2,4,6$式の両辺を足し合わせることで$A+C+F=0,B+D+F=0$がわかる.もし$N$が偶数だと仮定すると,$A,B,C,D,E,F$のうちどれかは奇数なので$A$が奇数と仮定すれば$C,F$も奇数となるがこれは$A+C+F=0$に矛盾($B,C,D,E,F$が奇数の場合も同様).よって$N$は奇数.よって$N$を割り切る任意の素数$p$に対して,$A,B,C,D,E,F$のうちどれかは$p$で割り切れないので,$A$が$p$で割り切れないと仮定すれば$A\equiv \pm C\equiv \pm E\pmod {p^{v_p(N)}}$であるので,$A+C+E=0$から$p^{v_p(N)}$は$3A$を割り切るので$N=1,3$しかありえない.
$N=1$であるとき
$AB=CD=EF+1$であるので,$A,C,E$の最大公約数,$B,D,F$の最大公約数はともに$1$である.また$A,C$をともに割り切る素数が存在すれば$A+C+E=0$よりそれは$E$も割り切るので不合理.(A,C,Eから他の$2$つを選んだり$B,D,F$から$2$つを選んだ場合も同様)よって$AB=CD$から$A=-D,B=-C$である.ここから$1$式より$A^2=C^2-C$となるがこの右辺が$1$以上の平方数となることはないので不合理.
$N=3$であるとき
$A,B,C,D,E,F$が全て$3$で割り切れることはないのでここでは$A$が$3$でと仮定する.(他のもので仮定しても以下の議論は同様に行える)$1,3$式より$C,F$も$3$で割り切れないので,$N=1$の場合の議論と同様に$A=-D,B=-C$がわかるので$1,2$式より$A^2=C^2-3C$がわかる.このとき,右辺が正の平方数となるのは$C=-1,4$の場合のみで,このときどちらでも$A=\pm2$である.しかし,このとき$5$式の右辺$A^2-3A$はどちらの場合でも正の平方数とならないので不合理.
以上より(B)は成立せず.(A)が成立する.
このとき,$f$は単射である.$P(x,-1)$ より $f(x+1)-f(x)=f(x)-f(x-1)$ が成立するので,任意の有理数$x$に対して,ある有理数$d(x)$が存在して任意の整数$n$に対して$f(x+n)=f(x)+nd(x)$が成立する.
このとき$P(x,x),P(x,x+1)$より$$(f(x)+d(x))^2+f(2x)=f(x)^2$$ $$(f(x)+d(x))(f(x)+2d(x))+f(2x)+d(2x)=f(x)(f(x)+d(x))$$がわかる.これらを比較することで$d(2x)=-d(x)^2$がわかるので,任意の正の整数$n$に対して$d(x)=-d\mathopen{}\left(\dfrac{x}{2^n}\right)^{2^n}$が成立する.このような有理数$d(x)$は$0,-1$しか存在しないが$f$が単射であることから$d(x)\neq 0$であるので$d(x)=-1$である.よって$f(x+1)=f(x)-1$であるので,$f(f(x))+f(x+1)=0$をふまえて与式を変形すれば$$1-f(x+y)=(1-f(x))+1-f(y)$$となるので関数$1-f(x)$はコーシーの関数方程式の解であり,ある有理数$c$が存在して$f(x)=1-cx$となる.これを与式に代入すれば$c=1$のみが条件を満たす.
以上より,求める関数は$f(x)=0$,$f(x)=1-x$である(これらは確かに条件をみたす).
(B)の否定パートの別解
$f(x+y)=f(x)f(y)-f(x+1)f(y+1),f(x)+f(x+1)+f(x+2)=0$から$$f(3x)=f(x)^3-3f(x)f(x+1)^2-f(x+1)^3$$だが,これに$x=\dfrac13$を代入して$a=f(\dfrac13),b=f(\dfrac43)$とおくと$$a^3-3ab^2-b^3=0$$をえる.このとき$b\not=0$(もし$b=0$なら$a=0$であり,このとき$f$が長さ$1$の周期をもつことになるが$f(0)\not=f(1)$より矛盾)なので両辺$b^3$で割ると$$(\dfrac{a}{b})^3-3\dfrac{a}{b}-1=0$$となるが,方程式$x^3-3x-1=0$は有理数解をもたないので矛盾.
今年のラスボスを担当させていただきました
全体的に考察(あと作業も...)が重いけど面白い議論が多くて好きな問題です
(B)の否定パートの代入は一見天下り的に見えてしまうかもしれないが,少し考察をすると$f$の周期としてありうるのは$3$で割り切れない正の整数$a$を用いて$\dfrac{3}{a}$と表せるもので占められることが分かり,逆にここから$f(k/a)$全体はいい感じに定義できてしまうなという気持ちになるので分母が$3$で割り切れる場合にしか壊れなさそうと考えれば自然な発想ですね(それを思いついたとしてその後も重いのは許して><)
任意の正の整数 $a$, $N$ に対して,ある正の整数 $n$ が存在して
$$d\mathopen{}\left(n+d\mathopen{}\left(n^2+a\right)\right)>N$$
となることを示せ.
解答
任意の固定された$a$に対して,$N$が十分大きい場合のみ考えれば十分である.(なぜならば$N=k$のときの主張は$N=1,2,...,k-1$の場合の主張を包合しているから.)
$a=1$のとき,$N>2$で$n=2^{5^{2^N-2}}$とすれば条件をみたすことを示す.このとき$$n+d(n^2+a)=2^{5^{2^N-2}}+d(4^{5^{2^N-2}}+1)$$
だが$4+1=5$とLTEの補題より$$v_5(4^{5^{2^{N-2}}}+1)=v_5(4+1)+v_5(5^{2^N-2})=2^N-1$$であるので,$d(4^{5^{2^N-2}}+1)$は$v_5(4^{5^{2^{N-2}}}+1)+1=2^N$の倍数である.また$N>1$より$2^{5^{2^N-2}}$も$2^N$の倍数であるので,$d(n+d(n^2+a))$は$v_2(n+d(n^2+a))+1(>N)$の倍数.よって示された.以下$a>1$とする.
補題:$a>1$のとき,$a^3+1$はある奇素数で割り切れる.
証明:$a^2-a+1>1$は奇数であるので,これを割り切る奇素数を$1$つとれば,それは$a^3+1=(a+1)(a^2-a+1)$も割り切る.
$a^3+1$を割り切る奇素数を$1$つ取り$p$とし,$a$を割り切る素数を$1$つとり$q$とする.また$v_p(a^3+1)< q^{kN}$ かつ$\dfrac{3p^{(q^{kN}-v_p(a^3+1)-1)}+1}{2}>N$なる正の整数$k$をとる.このとき$n=a^{\frac{3p^{(q^{kN}-v_p(a^3+1)-1)}+1}{2}}$とすれば条件をみたすことを示す.$p$が$a$を割り切らないこととLTEの補題より$$v_p(n^2+a)=v_p((a^3)^{p^{q^{kN}-v_p(a^3+1)-1}}+1)=v_p(a^3+1)+v_p(p^{q^{kN}-v_p(a^3+1)-1})=q^{kN}-1$$より$d(n^2+a)$は$q^{kN}$で割り切れる.(よって$q^N$でも割り切れる.)$k$の定め方から同時に$n$も$q^N$で割り切れるので.$d(n+d(n^2+a)$は$v_q(n+d(n^2+a)))+1(>N)$の倍数であるので示された.
ありそうでなかった設定
割と何をしても解ける(想定解が病気)
個人的にはそこまで好きな問題ではなかったのですが,解いた人からは好評そうで嬉しい