3
高校数学解説
文献あり

2^n-23がとりうる最大の平方数は2025

191
0

問題

正の整数nにおいて2n23が平方数となるときその平方数として取りうる最大値を求めよ。

~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~

答え

答は2025です。はい。では証明。

証明

2n23=x2とする。

与式を満たすnにおいてn2(mod3)が成り立つ。

1,2,42nx2+232,3,4,6(mod7)2n2,4n1,2(mod3)
n1(mod3)と仮定すると
2,72nx2+230,3,5,6(mod9)
となり矛盾。

n=3m+2とする。m=0のとき大小関係から明らかに矛盾であるからm1とする。

x2+23y2=23m+2を満たす正の奇数の組(x,y)はちょうど1つ存在し、そのyの値は数列{yi}i1,y1=1,y2=3, yi+2=3yi+18yiにおける|ym|である。

存在することの証明

x1=3,y1=1
{xk+1=3xk23yk2yk+1=xk+3yk2
を満たす数列における(|xm|,|ym|) が題意を満たすことを示す。特にxm2+23ym2=23m+2を満たし、xm,ymが奇数になることを示せば良い。
8(xk2+23yk2)=(3xk23yk2)2+23(xk+3yk2)2=xk+12+23yk+12
x12+23y12=32と合わせて帰納的にxm2+23ym2=23m+2を満たし、
xk+1yk+1=xk13ykxkyk(mod4)xmymx1y12(mod4)であり、m2のとき
2xm=3xm123ym1(xm1ym1)2(mod4)xm1(mod2)
2ym=xm1+3ym1xm1ym12(mod4)ym1(mod2)
よりm2のときxm,ymが奇数であることが示せ、m=1のときは明らかに奇数であるから示せた。

2つ以上存在しないことの証明

{x2+23y2=23m+2x2+23y2=23m+2(i)
となる正の奇数の組(x,y,x,y),xx,yyが存在したとして矛盾を示す。2つの式を上手く足し合わせると
(xy+xy)(xyxy)=23m+2(y2y2)(ii)
ここでxy=xyと仮定すると(ii)からy=yとなるので矛盾。y2y28の倍数であるから(ii)の右辺は23m+5の倍数。よって(xy+xy)(xyxy)23m+5の倍数であるがgcd(xy+xy,xyxy)=2よりxy+xy,xyxyのうち一方は23m+4の倍数である。よってmax(xy+xy,|xyxy|)23m+4が成り立つ。(xyxy0に注意する。)よって
max(xy,xy)23m+3が言える。任意の正の整数a,bにおいてmax(a2,b2)abが成り立つからmax(x2,y2,x2,y2)max(xy,xy)23m+3
であるが、(i)から大小関係より明らかに矛盾である。

 よって先ほどの結果からx2+23y2=23m+2を満たすx,y
x1=3,y1=1
{xk+1=3xk23yk2yk+1=xk+3yk2
を満たす数列における(|xm|,|ym|)のみが解である。2つ目の式から2yk+13yk=xkでありそれを1つ目の式に代入すると
2yk+23yk+1=6yk+19yk23yk2yk+2=3yk+18ykとなり、y1=1,y2=3であるから補題を得る。

補題1,2より|ym|=1となるようなmのみが解である。

ym=1を満たすmは存在しない。

yi+23yi+18yiyi(mod3)かつy1=1,y2=3であるからym1(mod3)となるmは存在せず、特にym=1となるmも存在しない。

以降、ym=1となるmのみ考える。

yi=12i1k=0[i12]iC2k+13i2k1(23)k

数列{yi}は三項間漸化式であるから解くとyi=(3+232)i(3232)i23
二項定理で展開して整理すると
(3+232)i(3232)i23 =k=0iiCj(23)k3ikk=0iiCk(1)k(23)k3ik2i23
=k=0[i2](iC2k(23)2k3i2kiC2k(1)2k(23)2k3i2k)+k=0[i12](iC2k+1(23)2k+13i2k1iC2k+1(1)2k+1(23)2k+13i2k1)2i23
=223k=0[i12]iC2k+13i2k1(23)k2i23
=12i1k=0[i12]iC2k+13i2k1(23)k

ym=1m1,3(mod21123)

mod47を考える。ym=1のとき特にym1(mod47)である。数列{yi}の法47を頑張って計算すると

i123456789101112131415161718192021222324252627282930313233343536373839404142434445464748
yi(mod47)131262321014992282127740171347281460464446212445373338384519262040730343193341013

のようになり、周期46であり、余りが1になるのはm1,3(mod223)である。
次に法23を考える。補題4より
2m1=2m1ym=k=0[m12]mC2k+13m2k1(23)km3m1(mod23)2m1m3m1(mod23)
2i,3iの法23は以下のようになる。

i1234567891011
2i(mod23)248169181336121
3i(mod23)394121316261881

周期は11である。先ほどの議論から特にm1,3(mod23)が成り立つ。
m1(mod23)のとき
2m13m1(mod23)が成り立つので先ほどの表からm10(mod11)m1(mod11)m1(mod21123)
m3(mod23)のとき
2m13m(mod23)が成り立つので先ほどの表からm12(mod11)m3(mod11)m3(mod21123)
以上より補題を得る。

k1においてkυ23((2k+1)!)1

k=1のときは明らかに成り立つ。
k2のときルジャンドルの定理から
υ23((2k+1)!)=i=1[2k+123i]i=12k+123i=2k+122k1
より補題を得る。

ym=1となるm1,3のみである。

まずy1=y3=1は簡単に確認できる。それ以外に存在すると仮定する。ym=1,m1,3とすると補題5より23の倍数でない正の整数tと正の整数lを用いてm=22t23l+ss{1,3}
と表せる。a=22t23lとしたとき、オイラーの定理より23と互いに素な整数kにおいてka1(mod23l+1)が成り立つことに注意して補題4にそのmを代入することを考える。
s=1のとき
2a=2aya+1= k=0 a2a+1C2k+13a2k(23)k
1k=0 a2a+1C2k+13a2k(23)k(mod23l+1)
補題6を用いるとk1のとき
υ23(a+1C2k+13a2k(23)k)=υ23((a+1)a(a2k+1))υ23((2k+1)!)+υ23(23k)
υ23(a)+1=l+1であるから
k=0 a2a+1C2k+13a2k(23)ka+1C13aa+1(mod23l+1)22t23la0(mod23l+1)
t23の倍数でないのでこれは矛盾である。
s=3のとき
2a+2=2a+2ya+3= k=0 a2+1a+3C2k+13a+22k(23)k
4k=0 a2+1a+3C2k+13a+22k(23)k(mod23l+1)
先ほどと同じ議論からk2においてυ23(a+3C2k+13a+22k(23)k)l+1より
k=0 a2+1a+3C2k+13a+22k(23)k a+3C13a+2+a+3C33a(23) (a+3)923a+4(mod23l+1)
22t23la0(mod23l+1)
これも矛盾である。

m=1,3のときn=5,11である。そのときx2=9,2025より答えは2025

あとがき

2025年ということで答えが2025になる問題を解いてみました。 Ramanujan-Skolem equation というx2+7=2nというディオファントス方程式の7のところが23になった問題でした。 だま氏の記事 を参考に作成しました。
こちらの記事 によると一般的にx2+D=2nDに依存するnの上限値があるみたいです。

参考文献

投稿日:20241231
更新日:11
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

はーい
はーい
22
2412

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. 問題
  2. 答え
  3. 証明
  4. あとがき
  5. 参考文献