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Knuth代数2

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定義,予想をまとめる.
以下,命題はすべて予想.

Knuth積

$F_n$$F_0=1,F_1=2,F_{n+2}=F_n+F_{n+1}$で生成される数列として,整数$a,b$
\begin{align} a=\sum_{i=0}^{k}F_{c_i}(c_i\geq 0),b=\sum_{j=0}^{l}F_{d_j}(d_j\geq 0) \end{align}
とゼッケンドルフ表現したとき,二項演算$a\circ b$を次のように定める.
\begin{align} a\circ b=\sum_{i=0}^{k}\sum_{j=0}^{l}F_{c_i+d_j} \end{align}
このとき,二項演算$\circ$は可換である.
(本家クヌース積と区別したいときは単位的クヌース積という)

Knuth積の床関数表示

$a\circ b=ab-\lfloor \frac{a+1}{\phi^2} \rfloor\lfloor \frac{b+1}{\phi^2} \rfloor$

$\mathbb T$は結合的かつ分配的

「ゼッケンドルフ表現に$F_0,F_1$が含まれないような正整数」全体の集合を$\mathbb T$とおくと,任意の$a,b,c\in \mathbb T$について
\begin{align} (a\circ b)\circ c=a\circ (b\circ c) \end{align}

さらに,任意の$a,b\in \mathbb T$,任意の正整数$n\in\mathbb Z$について
\begin{align} (a+b)\circ n=a\circ n+b\circ n \end{align}

クヌース素数

ある正整数$a$がクヌース素数であるとは,$a$以下の正整数$b,c(b\leq c)$であって,
\begin{align} b\circ c=a \end{align}
を満たすような組$(b,c)$$(1,a)$しか存在しないことをいう.
ただし,1はクヌース素数ではないとする.クヌース素数全体の集合を$\mathbb P$とする.

クラス1$\mathbb C_1$ ,クラス1クヌース素数$\mathbb P_1 $

$1,0,-1$以外のすべての整数$b$について,
\begin{align} a\circ b \ne(-a)\circ (-b) \end{align}
を満たすような整数$a$全体の集合をクラス1といい,$\mathbb C_1$で表す.ただし,1はクラス1の数とする.

$\mathbb C,\mathbb P$の共通集合を$\mathbb P_1$とする.

クラス2$\mathbb C_2$ ,クラス1クヌース素数$\mathbb P_2,\langle \mathbb P_2 \rangle$

$\mathbb C_1$に含まれない正整数全体の集合をクラス2といい,$\mathbb C_2$と表す.
$\mathbb C_2,\mathbb P$の共通集合を$\mathbb P_2$とする.$\mathbb P_2$から生成される集合を$\langle \mathbb P_2 \rangle$とする.

クラス1,2の元であることと同値な性質

正整数$a$について,
(1)
\begin{align} &a\in\mathbb C_1\\ &\Leftrightarrow a\circ 4\ne (-a)\circ(-4)\\ &\Leftrightarrow \text{$a$のゼッケンドルフ表現が$F_0+F_{(偶数)}+\cdots$の形}\\ \end{align}
また,
$S=\{5n-1-2\lfloor \frac{n}{\phi^2} \rfloor:n\in \mathbb N\}$とすると,$\mathbb C_1=S$

(2)\begin{align} &a\in\mathbb C_2\\ &\Leftrightarrow a\circ 4= (-a)\circ(-4)\\ &\Leftrightarrow \text{$a$のゼッケンドルフ表現が$F_0+F_{(奇数)}+\cdots$の形,}\\ &\text{または$a$のゼッケンドルフ表現に$F_0$が含まれない} \end{align}

クラス1クヌース素数の負の整数への分解

任意の$\mathbb C_2$クヌース素数$a$に対しある$b\in\mathbb C_1$が存在して,
\begin{align} a=(-2)\circ(-b). \end{align}

結合律予想1

(1)$a,b\in \mathbb C_2$とすると,
\begin{align} a\circ b=(-a)\circ(-b) \end{align}
(クラス2内は結合的)
(2)$a\in \mathbb C_1,b\in \mathbb C_2$とすると,
\begin{align} a\circ b=(-a)\circ(-b)+\lfloor \frac{b+1}{\phi^2}\rfloor \end{align}
(3)$a,b\in \mathbb C_1$とすると,
\begin{align} a\circ b=(-a)\circ(-b)+\lfloor \frac{a+1}{\phi^2}\rfloor+\lfloor \frac{b+1}{\phi^2}\rfloor +1 \end{align}

結合律予想2

$a,c\in\mathbb Z,b\in \langle \mathbb P_2\rangle$とすると,
\begin{align} (a\circ b)\circ c=a\circ(b\circ c) \end{align}
(真ん中が$\langle \mathbb P_2\rangle$の元なら結合律成立)

分配律予想

$a,b\in\mathbb C_1,c\in \mathbb Z$のとき,
\begin{align} (a+b)\circ c+\lfloor \frac{c+1}{\phi^2}\rfloor=a\circ c+b\circ c \end{align}

クラス2の部分集合がなす群

$S_0=\{\lfloor n\phi^2 \rfloor:n \in\mathbb N\}$
$S_1=\{\lfloor\lfloor n\phi^2 \rfloor \phi \rfloor:n \in\mathbb N\}$とすると,

(1)$a,b\in S_0\Rightarrow a\circ b\in S_1$
(2)$a,b\in S_1\Rightarrow a\circ b\in S_1$
(3)$a\in S_0,b\in S_1\Rightarrow a\circ b\in S_0$

なお,
$S_0$はゼッケンドルフ表現が$F(\text{奇数})+\cdots$の形であるような整数の集合である.

また,$S_1$はゼッケンドルフ表現が$F(\text{2以上の偶数})+\cdots$の形であるような整数の集合で,$S_1\subset \mathbb T$である.

投稿日:2023930
更新日:55

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