0

コンパクト群の既約ユニタリ表現が有限次元であることのコンパクト作用素を用いた証明

114
0

コンパクト作用素のスペクトル分解定理の表現論への応用を紹介します.まず,コンパクト作用素のスペクトル分解定理を振り返ります.

コンパクト作用素のスペクトル分解定理

Xを無限次元ノルム空間とし,Tをその上のコンパクト作用素とする.このとき,0σ(T).さらにσ(T){0}は高々可算,λσ(T){0}に対しKer(λIT)は有限次元,集積点は0以外に存在しない.

証明は割愛しますが,単位球のコンパクト性と有限次元であることの同値性やフレドホルム作用素の理論から導かれるのでした.さらにTが自己共役であれば,固有値が実数であること,各固有空間は互いに直交することが簡単な計算でわかります.

本題に入る前に補題を用意します.
以下ではGをコンパクト群とし(両側不変測度が存在するので),Haar測度dgGdg=1となるように選びます.Banach空間に値を持つ関数の積分を通常のRiemann積分と同様に定義します.Riemann積分では絶対値のノルムとしての性質だけを使っていたので,同様に積分の理論が展開できることを注意しておきます.

(π,V)Gのユニタリ表現(GからVのユニタリ群への準同型),pを写像p:VV,vGπ(g)v dgとする.VG不変な元全体をVG(:={v | gG,π(g)v=v})で表す.このとき,pVからVGへの直交射影である.

まずp(V)VGを示す.gG,vVとすると,
π(g)p(v)=π(g)Gπ(g)v dg=Gπ(g)π(g)v dg
=Gπ(gg)v dg=Gπ(g)v dg=p(v).

次に,VG上で恒等写像であることを見る.
vVGとするとgG,π(g)v=vなので
p(v)=Gπ(g)v dg=Gv dg=v.

自己共役性はのノルム連続性から明らか.

コンパクト群の既約ユニタリ表現の有限次元性

Gの任意の既約ユニタリ表現は有限次元である.

Gの任意のユニタリ表現(π,V)に,有限次元の既約な部分空間Wが存在することを示す.
vV,v=1なるvをとり,vが生成する部分空間への直交射影をPと置く.Pは有限階で自己共役である.V上の表現g(Aπ(g)1Aπ(g))に対し(ユニタリ表現ではないが)補題2の議論を用いると,P~:=Gπ(g)1Pπ(g) dgはこの新しく定義した作用での不変元,つまりP~(π,V) の自己G準同型である.また,各gGに対しπ(g)1Pπ(g)が有限階作用素であることに注意すると,H上のコンパクト作用素の全体はノルム閉であることからP~もコンパクトである.そこで,定理1P~に適用する.0以外の固有値をλk,kNと置き,対応する固有空間をVλkと置く.また,V0=KerP~と置く.
vV0であることを示す.すると,Vλk0となるようなλkの存在がわかり,これはG不変な有限次元部分空間であるから,証明が完了する.実際,G不変性はwVλkとするとP~π(g)w=π(g)P~w=λkπ(g)w従って,π(g)wVλkとなることから分かる.
uV0とする.P~u=0だから,
0=(P~u,u)=G(Pπ(g)u,π(g)u) dg=G(Pπ(g)u,Pπ(g)u) dg
GV,gPπ(g)uは表現の連続性から連続だから,
gG,Pπ(g)u=0.特にg=eとしてPu=0.示された.

コンパクト作用素の性質を用いて無限次元を含めた議論を有限次元に限定することができました.見事な応用です.

参考文献
黒田 成俊, 関数解析, 共立出版
小林 俊行, 大島 利雄, リー群と表現論,岩波書店

投稿日:2024512
更新日:2024512
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

qq_pp
qq_pp
6
3429

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中