正三角形状に非負整数を並べた配列が整った三角形であるとは,最下行以外に位置する任意の数について, そのすぐ下に位置する左右つの数の最小値以下であることを指します.また, 段の整った三角形の整い度を,以下に示す二項係数の総積で定めます. 以下は 段の整った三角形の一例となっています.
ただし, 上から段目, 左から個目に位置する数を で表すものとし, に対し とします.
段の整った三角形であって, 以下を満たすものすべてについて, それらの整い度の総和を求めてください.
解説
以下, 整数の組 は を満たす正整数の組を指すものとし, とは辞書式順序において は より後に来ないことを意味する.
とし, を定義し直す.
以下のように(問題文の例)左に を追加し, 下から 段目, 左から 個目に位置する数を とする.
このとき, 非負整数 を以下のように定義する.
このとき, 問題文の最後の条件より, 以下が成立. 逆にこれを満たすとき組 は と一対一に対応する.
そして整い度は, を用いて以下のように表せる.
これの総和 を 変数 による形式的冪級数を用いて求める. 変数冪級数 を
とする. 整い度の総和 について以下が成立する.
これは展開したときの の指数が に対応し, の指数が に対応していることからわかる.
以下の補題を用いて, を求めていく. ( の多項式として展開する. )
の 次以下の多項式 が以下を満たすとする.
このとき, 以下が成立.
証明
について, 以下が成立することを示せば, の場合が上の式となる.
のとき, 成り立つことは確認できる.
上の式と
に補題を適用すると, について成り立つとき, 以下のように についても成り立つ.
から についても同様に示される.
特に,
の漸化式より の一次式 について以下が成立
- ( の係数の総和) ( から の領域内で いずれかの正方向に 進むことを繰り返し, に到達する経路数)
- ( の の係数) ( から の領域内で いずれかの正方向に 進むことを繰り返し, を通り, に到達する経路数)
よって, カタラン数 を用いて以下のようになる.
特に, 以下に示す の係数が求める整い度の総和となる.