概要
この記事では以下のような問題を機械的に解く方法を、つの問題を通して紹介します。
発想
正の整数に対して
が成り立ちます。したがって、およびがの倍数であることを示せばがの倍数であると分かります。同様に、が負である場合は
がの倍数であればの場合を考えることによりもの倍数であると分かり、がの倍数であることと併せてもの倍数であると分かります。
問題1
とおきます。まず、がの倍数であることは簡単に分かります。また、
であるため、正の整数に対して
はの倍数です。同様に負の整数に対して、
はの倍数です。以上より、任意の整数については整数であることが示されました。
問題2
記述量を抑えるという観点では、階差数列は天から降ってきたものとして書くのがよいでしょう。
とおきます。なので、の場合について示せば十分です。まず、とおくと以上の任意の整数についてはの倍数であり、
はの倍数の和なのでの倍数です。また、
はの倍数の和なのでの倍数です。また、
はの倍数の和なのでの倍数です。また、
はの倍数の和なのでの倍数です。以上で示したかった命題が得られました。
問題3
を素数とし、をと互いに素な整数とする。であることを示せ。
がの倍数であることを示せばよいですが、がと互いに素であることからこれはがの倍数であることと同値です。以下、任意の整数についてがの倍数であることを示しますが、例によって例のごとくの場合を示せば十分です。とおきます。
であり、分子がの倍数であって分母がの倍数でないので分数全体としてはの倍数です。したがってはの倍数であることが分かりました。ここで、
であるのでがの倍数であることが示されました。
問題4
を正の整数とする。連続する個の整数の積はの倍数であることを示せ。
に関する数学的帰納法を使います。まず、連続する個の整数の積は整数であって任意の整数はの倍数なので、の場合は明らかです。
を以上の整数とし、「連続する個の整数の積はの倍数である」が成り立つことを仮定し、「連続する個の整数の積はの倍数である」が成り立つことを示します。個の整数がすべて負の数である場合は各々を倍することで個の整数がすべて正の数である場合に帰着できます。個の整数に正の数とそうでない数が混在している場合、その中には必ずが含まれるため積はとなり、の倍数であることが分かります。
したがって示すべきは、正の整数について
がの倍数であることです。
仮定よりはの倍数なのではの倍数であり、したがってはの倍数です。以上で証明が完了しました。
あとがき
は多項式でなくてもこの方法は使えますが、たくさん書くのは面倒冗長なので書きませんでした。最後の問題がメインだったので本来はそれだけの記事でもよかったのですが。なお、前述の証明と同様の方法で
が示せます。美しいですね。