こんにちは、Pirozhqiです。最近は関数方程式に傾倒しています。
というのも最近はクイズばかりやっていて数学の作問が思うように進まず、作問が容易な関数方程式に逃げている次第です。
ちなみに現在「関数方程式ガチャ」なるランダムな関数方程式を出力するアプリを開発中です。これがうまくいけばもっと関数方程式沼にはまることができますね!
さて、本題に入ります。この記事では関数方程式の初学者向けの記事として「自分が見つけた・作問した関数方程式を解法とともに紹介する」という内容で執筆をしたいと思います。タイトルを見てもらえればわかる通り、この記事はシリーズ化することを予定しています。が、更新自体は不定期になると思われます。ご了承ください。
今回は第一回ということで自作の関数方程式を紹介したいと思います。今回紹介する問題はこちらです!
関数$f:\mathbb{Z}\to\mathbb{Z}$であって,任意の$x,y\in\mathbb{Z}$について以下を満たすものを全て決定してください.
$$f\big(x+f(y)\big)+f\big(f(x)y\big)=xf(y)+f(x)+y$$
(出典:自作)
与式へ$x=a,y=b$を代入した式を$P(a,b)$と表すとする.以下の4つの補題を示す.
$f\big(f(0)\big)=0$
$P(0,0)$より明らか.$\blacksquare$
$f(0)=0$
$f(s)=f(t)$なる$s,t\in\mathbb{Z}$をとる.
補題1を用いて$P(f(0),s),P(f(0),t)$の辺々を引くことで$f(0)(s-t)=0$が分かる.
特に「$f(0)=0$」か「$f$は単射」の少なくともいずれかが成立する.
$f(0)=0$である場合は自明なので,「『$f$が単射』$\Rightarrow$『$f(0)=0$』」が示されればよい.
$f$が単射であると仮定する.
$P(x,f(0))$より$f\big(f(x)f(0)\big)=f(0)$であり,$f$は単射なので$f(x)f(0)=0$である.特に$f(0)=0$で必要十分.
よって示された.$\blacksquare$
$f\big(f(x)\big)=x$
補題2を用いると$P(0,x)$より明らか.$\blacksquare$
$f(1)=1$
$P(1,1),P(f(1),1)$より補題3を用いると
$$\begin{cases}
f\big(f(1)+1\big)=2f(1)\Leftrightarrow f(1)+1=f\big(2f(1)\big) \\\\
f\big(2f(1)\big)=f(1)^2-f(1)+2
\end{cases}$$
なので$f(1)+1=f(1)^2-f(1)+2\Leftrightarrow f(1)=1\ \blacksquare$
補題4を用いると$P(x,1)$より$f(x+1)=f(x)+1$が任意の$x\in\mathbb{Z}$で成り立ち,補題2と合わせて$\boxed{f(x)=x}$のみが適する.十分性は明らか.
かかった時間:5日(作問含む)
難易度評価:★★☆☆☆
この欄で解いてみた・作ってみた感想を述べたいと思います。最初にも言った通り初学者向けの記事にしたいので、それぞれの補題について思いついた動機などを言語化できればいいと思っています
関数方程式は$0$を代入するところから始まると思っています。代表的な値$(0,1,f(x),...)$を代入してみるのは関数方程式の基本です!
関数方程式では全射性・単射性を示しに行くのも議論を進めるカギとなります。単射性は今回のように$f$に囲まれていない変数から考えることで示すのが王道だと思います。
単射を示した後の議論の威力はこの補題の後半部分の議論で理解いただけたかと思います。(それと、これを活用するのにも$0$を代入するのが重要ということも。)
さすがに補題2の結果は使用したいのでいろいろ代入を試みます。
今回の議論で一番難しい部分だと思います!
補題3の結果を利用するために他の代表的な値を代入して考えてたところ同じ形の式が登場したので上手く活用できることに気づきました。
(本来なら$f$が$\mathbb{Z}\to\mathbb{Z}$であるところからも推測ができると思います)
作問した感想を語ります。
この問題はもともと$f:\mathbb{R}\to\mathbb{R}$として解いていたのですが,補題3を示したところで自分の実力では行き詰ってしまった...
試しに$f(1)$の値を求めてみたらそれなりにきれいに求められたので$\mathbb{Z}\to\mathbb{Z}$に変更した次第です。難しい知識や変形は用いておらず典型的な操作の繰り返しで解けるので基礎チェックにはいい問題だと思っています。最後だけが無念...またいつかリベンジするかもしれません。