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東工大2015の整数問題を整数を使わずに解く

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はじめに

どうもこんにちは🐟️🍊みかん🍊🐟️です。今回は東工大2015年数学大問5を綺麗に解くことができたのでサクッと溶かしていこうと思います。

こんな問題です。

東工2015年数学大問5

nを相異なる素数p1,p2,,pk(k1)の積とする。a,bnを約数とするとき、a,bの最大公約数をG、最小公倍数をLとし、
f(a,b)=LG
とする。
(1)f(a,b)nの約数であることを示せ。
(2)f(a,b)=bならば、a=1であることを示せ。
(3)mを自然数とするとき、mの約数であるような素数の個数をS(m)とする。S(f(a,b))+S(a)+S(b)が偶数であることを示せ。

皆さんはどのような解き方をしますか。以下、僕の答案を挙げるので先に解きたい人はスクロールしないようにしてください。念のため少し広めにスペース空けておきます。












解く

小問1

まずN={1,2,,k}として、A,Bをその部分集合とすると、n,a,bは次のように表すことができる。

n=uNpua=uApub=uBpu

そこで、既に素因数分解されていることを考えれば、G,Lは直接計算できて、

G=uABpuL=uABpu

となる。従って各素因数でf(a,b)で割りきれるか割りきれないかを考えることにより

f(a,b)=LG=u(AB)(AB)pu

となり、A,BNの部分集合であるから(AB)(AB)Nの部分集合になるから、先の表示によりf(a,b)nで割りきれる。

小問2

f(a,b)=bより、
u(AB)(AB)pu=uBpu
となり、素因数分解の一意性によりB=(AB)(AB)である。さて、ここでABが空集合ではないと仮定すると、あるγABがとれ、特にγBとなる。しかし、差集合の定義とγABであることからγBであることが分かり、これは矛盾である。従ってAB=となる。よってabとが互いに素になるから、G=1,L=abとなることが分かる。従ってf(a,b)の定義式から
b=f(a,b)=LG=ab.
ここでb0であるから、最右辺と最左辺をbで割ることにより所望の主張、即ち
a=1
を得る。

小問3

#A#(AB)+#B=#(AB)を用いて直接計算すると、ABABの部分集合になることを踏まえれば
S(f(a,b))+S(a)+S(b)=S(u(AB)(AB)pu)+S(uApu)+S(uBpu)=#(AB)#(AB)+#A+#B=#(AB)+#(AB)=2#(AB)

となり、Nが有限集合であるからその部分集合ABも有限集合で、即ち#(AB)は整数となるので2#(AB)は偶数。従ってS(f(a,b))+S(a)+S(b)は偶数である。

終わりに

あまり想定解法ではないことが用意に想定されますが、このようにすると瞬殺できます。整数問題はFermat小定理やLTE、Kummerの補題のような有名な整数の性質を証明する動作をなぞるか、因数分解を用いることで溶かせるもの(要するに典型)が多いなかで、実質的には集合操作のみで解けるものに出会ったことがなかったので記事にしてみました。集合操作でやればほばほぼ作業ゲーですね。

ここからは完全に僕の感想になりますが、この問題は東工の問題としては非常に易しい部類の問題なので、全完するなら大問平均36分しか時間がないこと、また平均難易度がそれなりに高いことを踏まえると、数学を得点元にするなら10分以内に落としておきたいところです。実際2015の問題なら(数学を得点元にしようとする人なら)普通に全完狙えそうなので早く落とすことに越したことはないですね。実際僕が当該年度の問題を解いた際は4完だった(下らないミスをした)ので、そこまで難易度の高い問題ではなかったでしょうね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

投稿日:2023105
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