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a^2+b^2+c^2-2abc=1の正整数解を求める

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以下のような問題を考えよう.

$a^2+b^2+c^2-2abc=1$を満たす正の整数の組$(a,b,c)$を全て求めよ.

考えたい人はどうぞ.
以下解答
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解答

$3$変数の対称性からここでは$a≦b≦c$である場合を考えることとする.
まず,$a< b< c$を満たすような解の特徴づけを行う.
与式は以下のように変形される.(よってこれらの成立と与式の成立は同値である.)
$$(ab-c)^2=(a^2-1)(b^2-1)…(A)$$
$$(a-b)^2=(c-1)(2ab-c-1)…(B)$$
まず$(A)$の左辺を見て頂きたい.この左辺の値は$|ab-c|$の値にのみ依存することがわかるだろう.よって$c→2ab-c$とすれば$ab-c→ab-(2ab-c)=c-ab$となり,整数の組$(a,b,c)$が与式を満たすならば$(a,b,2ab-c)$も与式を満たすことがわかる.
この$(a,b,c)→(a,b,2ab-c)$という置換を操作Kと呼ぶことにする.

ある条件を満たす$(a,b,c)$が存在し,これに何回施したとしてもこの$3$数の値が相異なるままであったと仮定する.
$(B)$を見て頂きたい.$a< b< c$という仮定から左辺は明らかに正であるので右辺は正である.
また$|a-b|=b-a< c-1$であるので,もし$b-a≦2ab-c-1$ならばこの右辺の方が大きくなってしまい矛盾する.よって$b-a>2ab-c-1>0$を得る.
これを変形して$1<2ab-c< b-a+1≦b< c$がわかる.
よって操作Kを施せば$(a,b,c)$は相異なる$3$つの正の整数の組であり,かつ施す前よりもこの$3$数の内の最大値が小さいものとなることがわかる.
しかし,操作Kを十分な回数行えばこの最大値が負となってしまい不合理.
よって何回操作Kを施しても相異なるままであるという仮定は誤りであり,十分な回数操作を行えば$3$数の内少なくとも$2$数は等しくなることがわかる.

$(B)$において$a=b$とすれば$c=1,2a^2-1$となるので,任意のこれを満たす$3$数の組は$(a,a,1)$または$(a,a,2a^2-1)$に対して操作Kを逆向きに何回か施したもののみであることがわかる.
ところで,$p$次チェビシフ多項式を$T_p(x)$とすればこれらは$(T_1(a),T_1(a),T_0(a)),(T_1(a),T_1(a),T_2(a))$
と表せる.

$0$以上の整数$p,q$に対して$2T_p(x)T_{p+q}(x)-T_q(x)=T_{2p+q}(x)$

(略)

チェビシフ多項式の性質から頑張って示して!

補題から$(T_p(a),T_q(a),T_{p+q}(a))$に対して操作Kを逆向きに行えば$(T_p(a),T_{p+q}(a),T_{2p+q}(a))$(ただし変数の順番は適当に入れ替えてある)となるので,$(a,a,1),(a,a,2a^2-1)$から操作Kを逆向きに何回か施した組もある$0$以上の整数$p,q$を用いて$(T_p(a),T_q(a),T_{p+q}(a)))$と表せることが分かる.これを代入して頑張ると十分性もOKなので求める組は
$(a,b,c)=(T_p(n),T_q(n),T_{p+q}(n))$とその並べ替え(ただし$p,q$は任意の$0$以上の整数,$n$は任意の正の整数)である.

実は解の表示に微妙に重複があるし色々雑だったりもしましたが最後まで読んでいただきありがとうございました.

Special thanks:パンジー(@ykpannzii)

投稿日:8日前
更新日:8日前
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W2TZMS
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