ニコラ・テスラといえば、「369の法則」や「フリーエネルギー」など凄まじい発見を数々している大天才です。少し調べてみるだけでも興味深い背景を知ることができると思います。(不思議な話もあるのでのめりこんでしまうと、あっという間に時間が過ぎていきます。)
「369の法則」は数字についての発見なので、数学好きの方々にとっては面白い内容だと思います。ちなみに私は子どものころから「3」という数字が大好きで、飲食店の靴箱に数字の木札があるところは3の倍数のところ選んでいました。テレビの音量やエアコンの温度も3の倍数にしてしまいますし、携帯の番号や車のナンバーも3の倍数で、奇跡的に誕生日も3の倍数です。
本記事ではニコラ・テスラの発見の1つ「369の法則」について考えていきます。数字にはそれぞれが持つ意味があり、「369の法則」では大きく3つのグループに分けられます。
物質世界:1,2,4,5,7,8
高次元:3,6
宇宙:9
突然数学とは関係ないような単語が飛び出してきましたね。ニコラ・テスラによれば自然界は二進法が適用されているとのことで、例えば細胞分裂では1つから2つに、2つから4つにと分裂していき2のべき乗が現れてきます。この2のべき乗をいくつか書き出してみます。そして2桁以上の場合には各桁の数字を足していき、最終的に1桁になるまで計算します。1度各桁の数字を足したものを「数字和」といい、1桁になるまで求めたものを「数字根」といいます。
$2^{0} = 1$
$2^{1} = 2$
$2^{2} = 4$
$2^{3} = 8$
$2^{4} = 16 \rightarrow 1+6 = 7$
$2^{5} = 32 \rightarrow 3+2 = 5$
$2^{6} = 64 \rightarrow 6+4 = 10 \rightarrow 1+0 = 1$
$2^{7} = 128 \rightarrow 1+2+8 = 11 \rightarrow 1+1 = 2$
$2^{8} = 256 \rightarrow 2+5+6 = 13 \rightarrow 1+3 = 4$
$2^{9} = 512 \rightarrow 5+1+2 = 8$
$2^{10} = 1024 \rightarrow 1+0+2+4 = 7$
$2^{11} = 2048 \rightarrow 2+0+4+8 = 14 \rightarrow 1+4 = 5$
すると不思議なことに規則性が見えてきそうです。2のべき乗の数字根を見ていくと「$1 \rightarrow 2 \rightarrow 4 \rightarrow 8 \rightarrow 7 \rightarrow 5 \rightarrow 1 \rightarrow 2 \rightarrow 4 \rightarrow 8 \rightarrow 7 \rightarrow 5 \rightarrow \cdots$」と規則的に繰り返していくことが考えられます。つまり次のような予想ができそうです。
この後、数字根の関数を使用していくため、数字根の関数$dr$を定義をしておきます。
$dr(n) = \dr{n}$
$k \in \mathbb{N}^0$(非負整数)
$dr(2^{6k}) = 1$
$dr(2^{6k+1}) = 2$
$dr(2^{6k+2}) = 4$
$dr(2^{6k+3}) = 8$
$dr(2^{6k+4}) = 7$
$dr(2^{6k+5}) = 5$
まず$k=0$の場合について計算します。
上で定義した関数$dr$の式に従い計算していきます。
$dr(2^{0}) = dr(1) = \dr{1} = 1$
$dr(2^{1}) = dr(2) = \dr{2} = 2$
$dr(2^{2}) = dr(4) = \dr{4} = 4$
$dr(2^{3}) = dr(8) = \dr{8} = 8$
$dr(2^{4}) = dr(16) = \dr{16} = 7$
$dr(2^{5}) = dr(32) = \dr{32} = 5$
次に$dr(2^{6} \cdot n)$を計算します。
\begin{align}
dr(2^{6} \cdot n) &= dr(64n)\\
&= \dr{64n}\\
&= \dr{63n + n}\\
&= 1 + (((63n \ mod \ 9) + ((n-1) \ mod \ 9)) \ mod \ 9) (剰余演算の分配則より)\\
&= 1 + ((0 + ((n-1) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\
&= 1 + (((n-1) \ mod \ 9) \ mod \ 9)\\
&= \dr{n}\\
&= dr(n)
\end{align}
このことを繰り返し使うと
\begin{align}
dr(2^{6k} \cdot n) &= dr(2^{6} \cdot 2^{6(k-1)} \cdot n)\\
&= dr(2^{6(k-1)} \cdot n) = \cdots = dr(n)\\
\end{align}
すなわち$dr(2^{6k} \cdot n) = dr(n)$となります。
$k=0$の場合の計算結果と組み合わせると
$dr(2^{6k}) = dr(2^{6k} \cdot 2^{0}) = dr(2^{0}) = 1$
$dr(2^{6k+1}) = dr(2^{6k} \cdot 2^{1}) = dr(2^{1}) = 2$
$dr(2^{6k+2}) = dr(2^{6k} \cdot 2^{2}) = dr(2^{2}) = 4$
$dr(2^{6k+3}) = dr(2^{6k} \cdot 2^{3}) = dr(2^{3}) = 8$
$dr(2^{6k+4}) = dr(2^{6k} \cdot 2^{4}) = dr(2^{4}) = 7$
$dr(2^{6k+5}) = dr(2^{6k} \cdot 2^{5}) = dr(2^{5}) = 5$
よって「2のべき乗の数字根についての予想」が成り立つことを示すことができました。
2のべき乗の数字根は、上で求めたとおり$1,2,4,5,7,8$しか出現しないことが分かりました。それでは$3,6,9$のみろくはどこへ行ってしまっているのでしょうか?
自然界は二進法が適用されているということで、上では2の倍数を考えていったので2のべき乗の数字根を求めていました。「369の法則」では次に3に対して2倍していくことを考えていくのです。2のべき乗のときと同様に数字根を求めていきましょう。
$3$
$3 \cdot 2 = 6$
$3 \cdot 2^{2} = 12 \rightarrow 1 + 2 = 3$
$3 \cdot 2^{3} = 24 \rightarrow 2 + 4 = 6$
$3 \cdot 2^{4} = 48 \rightarrow 4 + 8 = 12 \rightarrow 1 + 2 = 3$
$3 \cdot 2^{5} = 96 \rightarrow 9 + 6 = 15 \rightarrow 1 + 5 = 6$
不思議なことに今度は$3,6$しか現れなくなりました。ですがこちらは2のべき乗より多少腑に落ちやすい感じもします。ある数字が3の倍数であることを確かめるためには、その数字の数字根が3の倍数であることを調べればよいということが分かっています(証明割愛)。上の結果から次のような予想ができます。
$k \in \mathbb{N}^0$(非負整数)
$dr(3 \cdot 2^{2k}) = 3$
$dr(3 \cdot 2^{2k+1}) = 6$
偶数乗の場合の結果が$3$、奇数乗の場合の結果が$6$なのが不思議な感覚ですね。
\begin{align} dr(3n) &= \dr{3n}\\ &= 1 + (((2 \ mod \ 9) + ((3n-3) \ mod \ 9)) \ mod \ 9) (剰余演算の分配則より)\\ &= 1 + ((2 + ((3(n-1)) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\ &= 1 + ((2 + (((3 \ mod \ 9)((n-1) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)) \ mod \ 9) (剰余演算の分配則より)\\ &= 1 + ((2 + ((3((n-1) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\ &= 1 + ((2 + ((3(-1 + \dr{n})) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\ &= 1 + ((2 + ((-3 + 3dr(n)) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\ \end{align}
2のべき乗の数字根の結果を利用すると、
\begin{align}
dr(3 \cdot 2^{6k}) &= 1 + ((2 + ((-3 + 3dr(2^{6k})) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\
&= 1 + ((2 + ((-3 + 3) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\
&= 3
\end{align}
\begin{align}
dr(3 \cdot 2^{6k+1}) &= 1 + ((2 + ((-3 + 3dr(2^{6k+1})) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\
&= 1 + ((2 + ((-3 + 6) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\
&= 6
\end{align}
\begin{align}
dr(3 \cdot 2^{6k+2}) &= 1 + ((2 + ((-3 + 3dr(2^{6k+2})) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\
&= 1 + ((2 + ((-3 + 12) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\
&= 3
\end{align}
\begin{align}
dr(3 \cdot 2^{6k+3}) &= 1 + ((2 + ((-3 + 3dr(2^{6k+3})) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\
&= 1 + ((2 + ((-3 + 24) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\
&= 6
\end{align}
\begin{align}
dr(3 \cdot 2^{6k+4}) &= 1 + ((2 + ((-3 + 3dr(2^{6k+4})) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\
&= 1 + ((2 + ((-3 + 48) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\
&= 3
\end{align}
\begin{align}
dr(3 \cdot 2^{6k+5}) &= 1 + ((2 + ((-3 + 3dr(2^{6k+5})) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\
&= 1 + ((2 + ((-3 + 96) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\
&= 6
\end{align}
この結果を整理すると下のようにまとめることができます。
$dr(3 \cdot 2^{2k}) = 3$
$dr(3 \cdot 2^{2k+1}) = 6$
よって「3を2倍ずつしていった数の数字根についての予想」が成り立つことを示すことができました。
残る数字は9となります。これまでの流れからいくと今度は9を2倍ずつしていくということになります。
$9$
$9 \cdot 2 = 18 \rightarrow 1 + 8 = 9$
$9 \cdot 2^{2} = 36 \rightarrow 3 + 6 = 9$
$9 \cdot 2^{3} = 72 \rightarrow 7 + 2 = 9$
$9 \cdot 2^{4} = 144 \rightarrow 1 + 4 + 4 = 9$
$9 \cdot 2^{5} = 288 \rightarrow 2 + 8 + 8 = 18 \rightarrow 1 + 8 = 9$
9の場合ではどれだけ2倍ずつしていっても、数字根は9ということになりそうです。これが最もイメージしやすそうな結果のように感じます。9の倍数なのだから数字根が9になるのは分かり切ったことではないかと考える方もいるかもしれないですね。
$k \in \mathbb{N}^0$(非負整数)
$dr(9 \cdot 2^{k}) = 9$
\begin{align} dr(9n) &= \dr{9n}\\ &= 1 + (((8 \ mod \ 9) + ((9n-9) \ mod \ 9)) \ mod \ 9) (剰余演算の分配則より)\\ &= 1 + ((8 + 0) \ mod \ 9)\\ &= 9\\ \end{align}
任意の$n$に対して$9n$の数字根は$9$となることを示すことができました。
よって「9を2倍ずつしていった数の数字根についての予想」が成り立つことを示すことができました。
さて、この9という数字は宇宙を意味しているということであり、「すべて」という意味合いになるようです。しかし「すべて」の意味を持ちながら「無」という意味も持つようです。どういうことかというと、どんな数字に9を足しても数字根はもとの数字の数字根と同じになります。私たちは普段の生活において十進法を使っていますが、十進法における0と同じ役割を持っているようなイメージです。十進法で0を足しても変化がないのと同様で、9を足しても数字根に変化がありません。
\begin{align} dr(9+n) &= \dr{9+n}\\ &= 1 + (((9 \ mod \ 9) + ((n-1) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\ &= 1 + ((0 + ((n-1) \ mod \ 9)) \ mod \ 9)\\ &= \dr{n}\\ &= dr(n)\\ \end{align}
上記では2倍ずつしていくという計算を使った結果に対して数字根を求めていました。しかし2倍ではなく$\frac{1}{2}$倍に置き換えても同様の結果となることが分かっています。上記の条件でいえば、非負整数という条件から整数という条件に拡張できるということになります。ここでは証明を省きます。(後々追記をしたいです。)
参考:$1609.344マイル/m$
光の速さ:$186,282マイル/s \rightarrow dr(186282) = 9$
地球の直径:$792,000マイル \rightarrow dr(792000) = 9$
太陽の直径:$864,000マイル \rightarrow dr(864000) = 9$
月の直径:$216,000マイル \rightarrow dr(216000) = 9$
それぞれの半径も数字根は9となります。
これは四捨五入する位置にもよるのですごいのかというところは疑問が残ります。
なぜマイルなんだろうというのも気になります。。
1時間:$3600s \rightarrow dr(3600) = 9$
1日:$86400s \rightarrow dr(86400) = 9$
1週間:$604800s \rightarrow dr(604800) = 9$
1か月(30日):$2592000s \rightarrow dr(2592000) = 9$
1年:$31536000s \rightarrow dr(31536000) = 9$
1日:$1440min \rightarrow dr(1440) = 9$
1週間:$10080min \rightarrow dr(10080) = 9$
1か月(30日):$43200min \rightarrow dr(43200) = 9$
1年:$525600min \rightarrow dr(525600) = 9$
時間を数字だけで見てみると不思議そうに見える結果です。しかし$3600$も$1440$も数字根が$9$となるので、上で示したことを考えると明らかですね。
本記事ではニコラ・テスラの発見の1つ「369の法則」を数学的に考えてみました。主に数字根に関して示していくことで、根拠を持って「369の法則」が成り立つということを確認することができました。この法則を見ているとあらためて数字には何か惹きつける力があり、不思議さや神秘さを感じます。
最後までお読みいただきありがとうございました。