お久しぶりです!
相加相乗$n$個verにてお世話になりました.フラワです.
今回は作問の一つをご紹介したいと思います!
(2026年正月)
$n$を自然数,$p$は素数,$q$は半素数(素数二つの積),$a_{i}(i=1,2, \cdots ,n)$を実数定数とする.
また,$f_n(x)$は条件(イ),(ロ),(ハ),(ニ)を満たす.
(イ): $f_n(x)=0$は$q$を解にもち,その他($n-1$)個の解は正である.
(ロ): $f_{n}(x)=x^{n}-na_{1} x^{n-1}+a_{2} x^{n-2}$+ $\cdots+a_{i}x^{n-i}+ \cdots +a_{n-1}x+a_{n}$
(ハ):$f_{n}(0)=a_{1}^{n} \gt 0$
(ニ):$a_{p}=6840$
条件を満たす$(n,p,q)$を全て求めよ.
さて,中々見たことのない問題ではないでしょうか?
下にヒントと解答,解説を書きます.ノーヒントやヒントを得て自分で解きたい方はスクロール注意です!!!(ヒントは2つです)
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|以下ヒント1
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$f_{n}(x)$が本当に一般化されているわけではなく,$x^{n-1}$の係数に注目すると,なんか怪しくないですか?加えて係数に特殊な条件があるものは(ハ)という条件.
(もちろん(ニ)も特殊条件だが,特殊すぎるので一旦スルーしよう.)
そして方程式に係数の条件$\cdots$あるものが想起できそう?
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|以下ヒント2
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ヒント1で解と係数の関係を想起できたかな?
解が分からないので,$y_{1},y_{2}, \cdots,y_{n} $と置いてみると分かりやすいと思う.
ここまでで解の総和と総積が分かった.
ただ,$n$個文字があるのに総和と総積しかない,つまり2式しか立てられていない.
ならそれで解けるように設定されているとすると,かなり特殊な条件になっている?
和と積を結ぶような関係のものって何があるだろうか$\cdots$
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|以下解答
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$f_{n}(0)=a_{n}$,条件(ハ)から,$f_{n}(0)=a_{n}=a_{1}^{n} \gt0 $
$f_{n}(x)=0$の$n$個の正の解を$y_{1},y_{2}, \cdots y_{n} $とすると,解と係数の関係より,
$y_{1}+y_{2}+ \cdots +y_{n}=na_{1}$ , $y_{1}y_{2}$$\cdots y_{n}(-1)^{n}=a_{n}=a_{1}^{n}$
$y_{1}y_{2}$$\cdots y_{n}=a_{1}^{n}$で,$n$は偶数が必要.($\because a_{1}^{n} \gt 0$)
よってこれら解の相加平均は,$ \frac{1}{n} (y_{1}+y_{2}+ \cdots +y_{n})=a_{1}$
相乗平均は,$\sqrt[n]{y_{1}y_{2} \cdots y_{n}}$$=a_{1}$となるので,
$f_{n}(x)=0$の$n$個の正の解の相加平均と相乗平均はいずれも$a_{1}$で等しい.相加相乗平均の大小関係より等号成立条件から,
$y_{1}=y_{2}= \cdots =y_{n}$即ち,$f_{n}(x)=0$は$n$個の重解をもつ.
ここで条件(イ)より,この式は$q$を解にもち,$f_{n}(x)$の最高次係数は1であるから,$f_{n}(x)$は
$f_{n}(x)=(x-q)^{n}$と表せる.また,$a_{i}$は$x^{n-i}$の係数である.($i\geq2$)
よって,二項定理より,$a_{p}= {}_n \mathrm{ C }_p (-q)^{p} $であるから,条件(ニ)と合わせて,
$${}_n \mathrm{ C }_p(-q)^{p}=6840 $$ 任意の二項係数${}_n \mathrm{ C }_k$は$n$個から$k$個を選ぶ通り数,即ち自然数であるから,
${}_n \mathrm{ C }_p$は自然数,右辺は正の整数より,$p$は偶数である.
∴ $p=2$
$6840=2^{3} \cdot 3^{2} \cdot 5 \cdot 19$ と合わせて,
$$
{}_n \mathrm{ C }_2(-q)^{2}=2^{3} \cdot 3^{2} \cdot 5 \cdot 19$$
となり,$q$が半素数であることを合わせて,素因数分解の一意性から,
$q=6$が必要.代入して,
$$
{}_n \mathrm{ C }_2(-6)^{2}=2^{3} \cdot 3^{2} \cdot 5 \cdot 19
$$
即ち,${}_n \mathrm{ C }_2$ $=2\cdot 5 \cdot 19$$ =190$$\Longleftrightarrow$ $n(n-1)=2^{2} \cdot5 \cdot 19=19 \cdot 20 $
$∴n=20 $
以上より,$(n,p,q)=(20.2.6)$が必要であり逆にこのとき,条件をすべて満たす.
故に,求める全ての組$(n,p,q)$は,
$(n,p,q)=(20,2,6)$
$a_{k}(k=1,2,\cdots,n)$が全て$0$以上で$\displaystyle\frac{1}{n} \sum_{k=1}^{n}a_{k} \geq \sqrt[n]{\prod_{k=1}^{n}a_{k}}$であり
等号成立条件は,$a_{1}=a_{2}= \cdots =a_{n}$
今回証明は割愛させてもらうが,私の前回の記事で取り扱っている.
他にも多くの証明があるので気になる人はぜひ調べてみたり自力で証明してみたりするのもいいだろう.
重要なことはいくつかあるが,ここでおさえてほしいのは,相加相乗平均の大小関係は,単なる最大,最小値や,不等式を示す道具であるととらえず,
総和と総積をつなぐ鍵であるということ.
ある$n$次の係数が$1$の$n$次方程式$f_{n}(x)=0$の$n$個の正の解を$ y_{1},y_{2}, \cdots y_{n}$とすると,
$f_{n}(x)=(x-y_1)(x-y_2) \cdots (x-y_n)$で表される.($x$に$y_1,y_2, \cdots ,y_n$を代入したら$0$になる方程式だから.)
これを分配法則を利用して展開していくことを考えると,$x^{n-1}$の係数は,$ -(y_1+y_2+, \cdots ,+y_n)$ となる.
$x$がかかっていない定数の部分は$(-y_1)(-y_2)(-y_n)$ つまり
$(-1)^ny_1y_2y_n$となる.
↑詳しくは数Ⅱの二項定理,解と係数の関係,のあたりを勉強してほしい.
もちろん$x^{n-2}$なども考えることはできるが,上記の係数より大変で,増してそれ以降の係数は圧倒的に負担が大きい.
よって出題頻度は低めといえる.ただ題材となることはあると思うのでそこは個人で学んでほしい.
ここで何が言いたいかというと,この解の総和,総積さえわかれば$x^{n-1}$の係数,定数項の係数は容易にわかる.
逆もしかり.つまり,
解の総和と$x^{n-1}$の係数,解の総積と定数項は密接である.
以下,解と係数の関係は解と係数,相加相乗平均の関係は相加相乗という.
この問題の面白いところは相加相乗を普段の使い方とは逆に使うようにすることによって$n$個の重解であることを示す点だといえる.なかなか経験はなかっただろう.
しかしそこが最大の難所であり,解答だけ見てもなぜ突然解と係数の関係と相加相乗平均の関係を使う発想になるのか疑問に思うかもしれない.
ヒントを見ればその発想の所以もわかるかもしれないが今一度説明する.
まず,$f_{n}(0)$は定数項であることはしっかり意識しよう.($0$を代入するだけ.)
つまり,(ニ)を除くと,$x^{n-1}$の係数と定数項に特殊な条件があることが分かる.
前提で説明をしたことを踏まえると,解と係数を考えることは想像に難くない.では,その後の相加相乗についてだ.
$y_1+y_2++y_n=na_1 \cdots (A)$ , $y_1y_2y_n=a_n=a_1^n \cdots (B) $
この二つの関係$(A),(B)$が分かったが,
この連立方程式は未知数に対してどう考えても式の数が足りないことが分かる.
連立方程式において基本的に(未知数の数)$\leq$(式の数)となっていなければ,その未知数は求まらず,
範囲を求めても意味がなさそうであるから,求めなければ話が進まなそうである.
要するに情報が足りないのだ.ではこの問題は解けないのだろうか.
ここで一つ例を見てほしい.
(例) $x^{2}+y^{2}-2x+4y+5=0 $ ($x,y$は実数)
この(例)の式は当然未知数は$2$個に対し式は$1$個.しかしながら
$(x-1)^{2}+(y+2)^{2}=0$と式変形でき,二乗で0以上ならいずれも0であるほかなく,$x=1,y=-2$が分かる.
基本的には値が求まらないはずの式と未知数の数でも,偶々特殊な形だから出すことができたのである.
つまりは本問題もこのように何か特殊なタイプになっていることが分かるのだ.
今回であるならどのような状態が考えられるだろうか.
それぞれの解に関係があるのでは?
もっというと$n$重解の可能性もあるのか?
だってそうなってないと解けないことと,問題は解けるようにできてるから
↑ここまで俯瞰できていたら中々見通しは変わってくるはずだ.
そこで改めてみてみる.
$(A),(B)$の式はそれぞれ和の式,積の式となっていることに気付くだろうか.その関係をつなぐような式といえば相加相乗なのだ.
改めて繰り返すが,
相加相乗は単に最小値や最大値を見つける道具として見ず,
相加相乗は和と積をつなぐものである.と強く意識しよう.
また,全ての解が正という条件もさりげないがかなりのヒントであったことも分かるだろう.
ここまでくればあとはただの整数問題に帰着するというわけである.
まとめると本問題は見たことのない問題に対し,突飛な発想に見えてもいかにして突飛ではない発想の積み重ねによって自身の思考パターンや知識に落とし込めるかが重要となる問題だ.
一般に出会わないタイプの問題であり,中々の難問だったといえるだろう.
$n,p,q$を並べて$2026$となる作問でした!遅れましたがあけましておめでとうございます!!!
いかがでしたか?
mathlogに自作問題を投稿するのは初ですが楽しんでもらえたら幸いです.
またいつか気が向いたら投稿しようかなって思います!
今年という年がこの記事を読んでくださった皆様にとって良い一年であることを心より祈っております.
それではまた!