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現代数学解説
文献あり

Hirsch 微分トポロジーの問題2.1.2、2.1.3

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問題2.1.2

 関数列${f_n}$が、$g$$C^r_S(M,N),(r\geq 0)$の中で収束するとする。このとき、ある自然数$m$とコンパクト集合$K\subset M$で、任意の$n\geq m$と任意の$x\in M-K$$f_n(x)=g(x)$を満たすものが存在する。

 最初は、写像列が収束するだけで、ある外側の領域は完全に(十分大きい$n$で)一致するってめちゃくちゃ強い事言っていないか?と思いつつ。
 $C^r_S$の位相が、局所だけでなく無限遠に至るまでちゃんと$\varepsilon$の誤差で一致する事を要求している事を考えると、まあそれくらいは言えそうかもしれないと考え直すことに。

 背理法で示す。そのため、任意の$m$と任意のコンパクト集合$K\subset M$に対して、ある$n\geq m$とある$x\in M\backslash K$で、$f_n(x)\neq g(x)$なるものが存在すると仮定する。
 いま、$M$へのコンパクト増大列$\{C_i\}_i$をとる。仮定より、ある$n_1\geq 1$とある$x_1\in M\backslash C_1$で、$f_{n_1}(x_1)\neq g(x_1)$なるものが取れる。
これにより、以下帰納的に、各$i$に対して、ある$n_i\geq n_{i-1}+1(>n_{i-1})$とある$x_i\in M\backslash C_i$で、$f_{n_i}(x_i)\neq g(x_i)$なるものを取れる。
 (このとき$\{x_i\}$は、増大列$\{n_i\}$に対応するコンパクト増大列$\{C_i\}$の外側の点なので、任意に固定したコンパクト集合に対して、外側に逃げられる点列になっている事に注意をする。)

 ここで、各$i$に対して、十分小さい$x_i$の開近傍$W_i$を取れば、次を満たすように出来る:
1.$\overline W_i(=: K_i)$はコンパクト、
2.$K_i\cap K_j=\emptyset,(i\neq j)$
3.ある$M$のチャート$(\phi_i,U_i)$$K_i\subset U_i$なるものが存在。
 このようにして$K=\{K_i\},\Phi=\{(\phi_i,U_i)\}$を定める。特に必要であれば$W_i$$U_i$を縮めて、$\{U_i\}$が局所有限になるようにとる。
 また、各$i$に対して$f_{n_i}(x_i)\neq g(x_i)$より、$N$のHausdorff性から$g(x_i)\in V_i,f_{n_i}(x_i)\in V'_i$で、$V_i\cap V'_i=\emptyset$が成り立つように開近傍$V_i,V'_i$が取れる。とくに、$V_i$を必要であれば縮めることで、$g(x_i)$周りのチャート$(\psi_i,V_i)$が取れる。
 ここで$g$の連続性から、$U_i$を必要であれば縮めることで、$g(K_i)\subset V_i$を満たすように取れ、このようにして$\Psi=\{(\psi_i,V_i)\}$を定める。
 
 いま、$g$の座標近傍系$\mathcal N(g;\Phi,\Psi,K,\varepsilon)$を考える。($\varepsilon $には各$i$に対して適当に正の値を定めておく。($1$とかでよい。))

 このとき各$i$について、$f_{n_i}(U_i)\not\subset V_i$であるため$f_{n_i}\not\in\mathcal N(g;\Phi,\Psi,K,\varepsilon)$であり、これは$\{f_n\}$$g$に収束することと矛盾する。
 よって題意を得る。

問題2.1.3

 $n\geq 0$のとき、$C^{n+1}_W(\mathbb R,\mathbb R)$$C^{n+1}_S(\mathbb R,\mathbb R) $$ C^n_W(\mathbb R,\mathbb R) × \mathbb R $$C^n_S(\mathbb R,\mathbb R) ×\mathbb R $に、対応$f\mapsto (f',f(0))$でそれぞれ同相になるか?

 日本語文献では対応関係の条件がなく、単に同相になるか?という意味の問題でしたが、弱位相のほうはともかくとして、強位相の方はどうあがいても何も出来なかったので、この条件を付加しました。(英語版のerrataに、このような条件を付加することが書いてあったので、これが本来の問題の意図だと思います。)
 もし、強位相の方で同相が言えるかを知っている人がいれば教えてください。飛んで話を聞きにいきます(?)

 一般的に、この対応を$F$とする。(位相しか違わないので、同じ記号を使う。)
 逆は$(g,c)\mapsto c+\int^x_0g(x)dx$で与えられ、これを$G$とする。(well-defindである事は、一般的な微積分の問題なので省略する。)よって以下、$F,G$の連続性について述べれば十分である。

(弱位相について)
 $F$の連続性として、第一成分への連続性は定義より自明。第二成分への連続性は、点$f\in C^r_W(\mathbb R,\mathbb R)$を取って$\varepsilon-\delta$論法をすれば、定義によりすぐに従う。
 よって$G$の連続性についてのべる。
 任意に$(g,c)\in C^n_W(\mathbb R,\mathbb R)×\mathbb R$をとり、任意に$G(g,c)(=:f)$の開基$W$をとる。特に基底の形から、この$W$に含まれる$f$の基底$\mathcal N(f;(\phi,U),(\psi,V),K,\varepsilon)$が存在する。
 $K$はコンパクトなので、ある$R>0$で、$K\subset [-R,R]$とできることに注意する。
 いま、$\delta=\varepsilon/(2(R+1))$とおき、$(g,c)$の近傍として

$\mathcal M=\mathcal N(g;(\phi,U),(\psi,V),K,\delta)\times (c-\varepsilon/2,c+\varepsilon/2)$

をとる。
 このとき、任意の$(h,e)\in \mathcal M$に対して$G(h,e)=e+\int^x_0h(x)dx$であり、$k> 0$に対して

$\left|f^{(k)}(x)-G(h,e)^{(k)}(x)\right|=\left|g^{(k-1)}(x)-h^{(k-1)}(x)\right|<\delta<\varepsilon$

かつ$k=0$に対して

$\left|f(x)-G(h,e)(x)\right|\leq\left|c-e\right|+\left|\int^x_0g(x)-h(x)dx\right|\leq \left|c-e\right|+R\sup_{t\in[-R,R]}\left|g(t)-h(t)\right| <\varepsilon/2 + R\delta<\varepsilon$

であるから、$G(h,e)\in\mathcal N(f;(\phi,U),(\psi,V),K,\varepsilon)\subset W $となる。
 故に、$G$は連続である。

(強位相について)
 問題の対応では同相にはならない。実際、次の理由により$G$は点$(0,0)$で不連続になる。

 $G(0,0)=0$の近傍として、$K_i=[i,i+1],\varepsilon_i=1/(|i|+1),(i\in\mathbb Z)$で構成される$\mathcal N(0;\Phi,\Psi,K,\varepsilon)$を考える。(チャートは、局所有限で、かつ$K$に整合的なものを適当にとっておく。)
 点$(0,0)$の任意の近傍は、少なくとも$W\times (-\delta,\delta)$という形を含んでいるので、この形において不連続性を示せばよいことに注意する。
 このとき、十分大きな$i_0\in \mathbb Z$を用いると、$c:=\varepsilon_{i_0}/2<\delta$となる値が考えられ、$(0,c)\in W\times (-\delta,\delta)$である。
 しかし、この像$G(0,c)=c$(定数関数)は$\mathcal N(0;\Phi,\Psi,K,\varepsilon)$の元にはならない。
 実際、$c$$\mathbb R$上全域で定数なので、$i$を十分大きく取れば$\varepsilon_i< c$となる$i$が取れる。
 したがって、どんな$(0,0)$の近傍に対しても、その$G$による像が$\mathcal N(0;\Phi,\Psi,K,\varepsilon)$に入らない事が分かり、よって$G$は不連続である。  

参考文献

[1]
M.W.Hirsch(松本堯生(訳)), 微分トポロジー, p49-50
投稿日:19時間前
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