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現代数学解説
文献あり

Hirsch 微分トポロジーの問題1.3.15、1.3.16 P^nのS^2nへの埋め込み

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問題1.3.15

 $P^2$$\mathbb R^4$へ埋め込める。

 この問題には、Möbiusの帯と円盤を張り合わせできる事から幾何学的に分かる、というようなヒントがあったのですが……

 ???????

 となったので、Whitneyの埋め込み定理(閉多様体バージョン)を使ってこの問題は苦難をしのごうと思います。
 もし$4$次元人がいたら、コメントで埋め込み方を教えてください。

 $P^2$は2次元閉多様体なので、Whitneyの埋め込み定理により$\mathbb R^4$へ埋め込める。

 以下の問題は、結局線形代数なんだよなと思えるようなものですね。

問題1.3.16

 $P^n$$S^{n+k}$への埋め込みは、次のように与えられる。
 $h:\mathbb R^{n+1}×\mathbb R^{n+1}\to \mathbb R^{n+k+1}$を、$x\neq 0,y\neq 0$のとき$h(x,y)\neq 0$である対称双一次写像とし、$g:S^n\to S^{n+k}$に対して$g(x)=h(x,x)/|h(x,x)|$とする。
(a)$g(x)=g(y)$$x=\pm y$と同じである。
(b)$g$から自然な方法で誘導される$\tilde g:P^n\to S^{n+k}$は、実解析的埋め込みである。
(c)$P^n$はどんな$n$に対しても$S^{2n}$に埋め込める。

 (c)にはヒントがあって、$h(x_0,…,x_n,y_0,…,y_n)=(z_0,…,z_{2n})$で、$z_k=\Sigma_{i+j=k}x_iy_j$なるものを考えよというものがあります。
 明らかに、これが問題の条件を満たす$h$である事を言えという誘導なので、それに従って解いていきます。
 なお、対称双一次形式のままでもいいのですが、ちょっと扱いにくいので、線型写像に変換して考えます。  

 利便性のため$q(x)=h(x,x)$とおく。(この時、$g(x)=q(x)/|q(x)|$となる。)
 また、対称双一次形式の普遍性により、一意な線型写像$L:\mathrm{Sym}^2(\mathbb R^{n+1})\to \mathbb R^{n+k+1}$で、$h(x,y)=L(x\odot y)$なるものが存在する。($\odot$は対称テンソル積。)
 このとき、$q(x)=L(x\odot x)$であり、$h$の条件「$x\neq 0,y\neq 0$のとき$h(x,y)\neq 0$」は$L$の条件「$x\neq 0,y\neq 0$のとき$L(x\odot y)\neq 0$」に書き換えられる。

(a)$x=\pm y$なら$g(x)=g(y)$$L$の線形性により自明。よって逆を確認する。
 いま、$g(x)=g(y)$より、ある正の実数$t$を用いて$q(x)=tq(y)$と表せる。
 $L$でこれを書き直すと、その線形性から$L(x\odot x -ty\odot y)=0$、すなわち$L((x+\sqrt{t}y)\odot (x-\sqrt{t}y))=0$である。
 $L$の条件から、これは$x+\sqrt{t}y=0$または$x-\sqrt{t}y=0$である。
 ところで、$x,y\in S^n$であるから、その大きさは$1$である。よって、直前の式の大きさを考えるとどちらの場合であっても$t=1$であり、よって$x=\pm y$を得る。

(b)$\tilde g$が実解析的であることは、任意の$x\in S^n$に対して$q(x)\neq 0$である事と$L$が線型写像であることから従う。
 また、単射である事は(a)の同値性からすぐに従う。
 よって、微分が$0$にならない事を示す。
 まず、$g$の微分を計算する。$dq_x(v)=2L(x\odot v)$かつ、ベクトルの単位化$w/|w|$の微分は$w^\bot$への射影$\Pi_{w^\bot}$を用いて$(1/|w|)\Pi_{w^\bot}$であるから、
$Dg_x(v)=(2/|q(x)|)\Pi_{q(x)^\bot}(L(x\odot v))$
となる。
 いま、$Dg_x(v)=0$とすると、$\Pi_{q(x)^\bot}(L(x\odot v))=0$より$q(x)^\bot$成分が0、すなわち$L(x\odot v)\in \mathrm{span}(q(x))=\mathrm{span}(L(x\odot x))$を意味し、よってある実数$t$を用いて$L(x\odot v)=tL(x\odot x)$が成り立つ。
 $L$の線形性から$L(x\odot (v-tx))=0$であり、$x\neq 0$かつ$L$の条件から$v-tx=0$。つまり$v=tx$
 しかし、$v$$v\in T_xS^n$すなわち$v\bot x$なので$t=0$、すなわち$v=0$しかあり得ない。
 よって$g$の微分の核は自明であり、すなわち$\tilde g$の微分の核も自明である。
 故に$\tilde g$はimmersionである。
 ところで、$P^n$はコンパクト多様体であり$S^{n+k}$はHausdorff、かつ$\tilde g$は実解析的単射immersionであるから、それは実解析的埋め込みである。

(c)$h:\mathbb R^{n+1}×\mathbb R^{n+1}\to \mathbb R^{2n+1}$を、$h(x_0,…,x_n,y_0,…,y_n)=(z_0,…,z_{2n})$で、$z_k=\Sigma_{i+j=k}x_iy_j$なるものとして与えると、これは問の条件を満たす$h$になっている。
 実際、これが対称双一次形式になっていることは構成から自明であるから、$x\neq 0,y\neq 0$のとき$h(x,y)\neq 0$である事を確認する。
 いま、多項式$X(t)=\Sigma_{i=0}^n x_it^i,Y(t)=\Sigma_{j=0}^n y_jt^j$を考えると$X(t)Y(t)$$t^k$の係数はちょうど$h$$z_k$と一致する。よって、$h(x,y)=0$である事と$X(t)Y(t)\equiv 0$は同値になる。
 ところで、$x\neq 0$かつ$y\neq 0$のとき、$X(t)\not\equiv 0$かつ$Y(t)\not\equiv 0$であり、$\mathbb R[t]$は整域なので、その積は$X(t)Y(t)\not\equiv 0$となる。
 よって同値性から、$h(x,y)\neq 0$である。
 これより、$h$は問題の条件を全て満たすため、(a),(b)が成り立ち、よってこの$h$により構成される$g$が誘導する$\tilde g$によって、$P^n$$S^{2n}$に埋め込めることがわかる。

 ちなみに、(c)の$h$による具体的な構成はVeronese型構成と呼ばれる有名な構成方法らしいです。

参考文献

[1]
M.W.Hirsch(松本堯生(訳)), 微分トポロジー, p34
投稿日:13日前
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