未知または新しい結果を主張する記事ではありません。
定義を発見的に試みる思考の過程を記述することを記録したノートです。
√2 乗よりマシそうなやつ pic.twitter.com/lqM7SC0CIq
— りーるる (@hypergeriruru07) January 13, 2026
問い
$2^i$を計算せよ、ではなく、定義せよ、という問いです。
最初に思いつくのはこのあたりかと思います。
すなわち、実数$a, b\in\mathbb{R}$と任意の複素数$z, w\in\mathbb{C}$について、
以上の1.から4.が成り立つような計算規則を複素数乗と定義する、という考え方です。
そんな数があるのかという疑問が当然立ちますが、これは
$x^2=-1$が成り立つような数$x$を虚数$i$と定義する
のと同じことです。
それがwell-definedであるかを検証すれば良いわけですね。
さて、このように定義した$2^i$について、定義からどこまでのことがわかるでしょうか。
言い換えれば、
$2^i=a+bi$の$a, b$または、
$2^i=r(\cos\theta+i\sin\theta)$の$r, \theta$をどこまで限定できるでしょうか。
どちらの形式でもいいのですが、今回は極形式で半径$r$と位相$\theta$を求めることを考えます。
$2^i$の複素共役$\overline{2^i}=r(\cos\theta-i\sin\theta)$を用いて、
$$2^i\overline{2^i}=|2^i|^2=r^2$$
他方、定義のために拡張した指数法則により、
$$2^i 2^{-i}=2^{i+(-i)}=2^0=1$$
ここで、以下の追加の要請を考えます。
複素数乗について、複素共役と指数は交換可能である:$\overline{2^i}=2^\overline{i}=2^{-i}$.
このとき、$r^2=1 \Rightarrow r=1$が成り立ちます。
しかし、複素共役は実数に存在しない概念のため、この追加要請は実数の累乗の自然なアナロジーを逸脱しており、自然と考えてよいかどうかは議論の余地の分かれるところです。
$x\in\mathbb{R}$に関する2つの関数$f(x)=2^x$と$g(x)=2^{ix}$を考えます。
まず$g(x)=2^{ix}$を考えてよいのかという疑問が立ちますが、$2^x\in\mathbb{R}$であることから拡張した指数法則が適用できて$2^{ix}=(2^x)^i\in\mathbb{C}$であり、最初に定義した複素数乗を逸脱するものではありません。
ここで更に、以下の追加の要請を考えます。
関数$g(x)=2^{ix}$の原点$x=0$における微分係数は$f(x)=2^x$の微分係数と絶対値が一致する純虚数である:$g'(0)=if'(0)=i\log2$.
このとき、任意の実数$h\in\mathbb{R}$に対して、拡張された指数法則により $$g(x+h)=2^{i(x+h)}=2^{ix}2^{ih}=g(x)g(h)$$
が成り立つことに注意すると、
\begin{eqnarray} g'(x) &=& \lim_{h \rightarrow 0} \frac{g(x+h) - g(x)}{h} \\ &=& g(x)\lim_{h \rightarrow 0} \frac{g(h) - 1}{h} \\ &=& cg(x) ~~~ \Big( c:=\lim_{h \rightarrow 0}\frac{g(h)-1}{h} \Big) \\ \therefore g'(0) &=& c(\cos0+i\sin0) \\ &=& if'(0) \\ \therefore c &=& i\log2 \end{eqnarray}
他方、$2^{ix}$は$2^i$と全く同様の議論で半径が1である($|2^{ix}|=1$)であることから、極座標表示によって
\begin{eqnarray} g'(x) &=& (\cos\theta(x)+i\sin\theta(x))' \\ &=& \theta'(x)(-\sin\theta(x)+i\cos\theta(x)) \\ &=& \theta'(x)ig(x)\\ &=& cg(x) \\ \therefore \theta'(x) &=& \log2 \Rightarrow \theta(x) = x\log2 \end{eqnarray}
以上より$\theta=\theta(1)=\log2$が導かれます。
ただし、この追加要請は多変数関数論に片足突っ込んでいるので、正直言って高校生には辛い領域になるかと思います。
$x^i \perp (x^i)' $