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薄い圏の考察(12).一般の圏における普遍的対象を求める問題を(豊穣化されたモノイダル)薄圏における最適化問題に置き換える。

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「薄い圏の考察(1)」の例5にならって、非負実数および無限大 $\infty$ を対象とし、通常の大小関係 $\geq$ (ただし任意の非負実数 $r$ に対して $\infty \geq r$ かつ $\infty \geq \infty$ とする)を射とする薄い圏 $C([0,\infty],\geq)$ を考える。

ここで、局所的小圏 $\mathcal{C}$ から薄い圏 $C([0,\infty],\geq)$ への関手 $T$ を考える。各対象 $i, j \in \mathrm{Ob}(\mathcal{C})$ に対し、射 $T(i) \geq T(j)$ の評価値(距離) $d_{T(i)T(j)}\in [0,\infty]$ が一意に定まり、以下の条件を満たすものとする。
1.$d_{T(i)T(j)} < \infty.$$\mathrm{hom}_{\mathcal{C}}(i,j) \neq \emptyset$ のとき)
2.$d_{T(i)T(j)} = \infty.$$\mathrm{hom}_{\mathcal{C}}(i,j) = \emptyset$ のとき)
3.$d_{T(i)T(i)} = 0.$
4.$\mathcal{C}$ における射の合成($T(i) \geq T(j)$$T(j) \geq T(k)$に対する$T(i) \geq T(k)$)に対し、対応する値は $d_{T(i)T(j)} + d_{T(j)T(k)} \geq d_{T(i)T(k)}$ を満たす。

特に $\mathcal{C}$ が小圏(Ob($\mathcal{C})$が集合)のとき、この関手Tによって構成される薄い圏 $C(\mathrm{Ob}(\mathcal{C}), \{\geq_{T(i)T(j)}\}_{i, j \in \mathrm{Ob}(\mathcal{C})})$ は、Lawvereの一般距離空間(Generalized Metric Space)の構造を持つ。

ここでさらに、$\mathcal{C}$の対象を恒等写像で写し、射を上記の(距離をもつ)関係に写す関手 $T': \mathcal{C} \to C(\mathrm{Ob}(\mathcal{C}), \{\geq_{T(i)T(j)}\}_{i, j \in \mathrm{Ob}(\mathcal{C})})$ を定義する。$T'$ が関手となることは「薄い圏の考察(3)」の命題1よりわかる。$T'$ は対象について全射な写像なので、関手として本質的に全射となり「薄い圏の考察(3)」(での普遍的対象をあつかった命題)により、$\mathcal{C}$ における普遍的対象(始対象・終対象など)は $T'$ によって移された先でも普遍的対象となる。($T'$$\mathcal{C}$における射の有無を、距離が有限か無限かという形で判断できることを注意しておく。)

薄い圏における普遍的対象を求めることは、順序関係における上限・下限、すなわち「最大距離・最小距離を与える対象」を求める問題に帰着されるので、圏 $\mathcal{C}$ における抽象的な普遍性問題を、距離空間における最適化問題へと遷移させることが可能となる。

 この議論は、$C([0, \infty], \leq)$に対しても同様に展開できる。ただし上記の条件4.が

4'.$\mathcal{C}$ における射の合成($T(i) \leq T(j)$$T(j) \leq T(k)$に対する$T(i) \leq T(k)$)に対し、対応する値は $min\{ d_{T(i)T(j)},d_{T(j)T(k)}\} \leq d_{T(i)T(k)}$ を満たす。

となる。いずれにせよ最短経路や最大流・最大容量を求める問題になる。

また、上議論の亜種として、局所的小圏 $\mathcal{C}$ から薄い圏 $C([0,1],\geq)$ への関手 $T$ を考える。各対象 $i, j \in \mathrm{Ob}(\mathcal{C})$ に対し、射 $T(i) \geq T(j)$ の評価値(確率)を $p_{T(i)T(j)}\in [0,1]$ と表すとき、これは以下の条件を満たすものとする。
1.$p_{T(i)T(j)}>0.$$\mathrm{hom}_{\mathcal{C}}(i,j) \neq \emptyset$ のとき)
2.$p_{T(i)T(j)} =0.$$\mathrm{hom}_{\mathcal{C}}(i,j) = \emptyset$ のとき)
3.$p_{T(i)T(i)} =1.$
4.$\mathcal{C}$ における射の合成($T(i) \geq T(j)$$T(j) \geq T(k)$に対する$T(i) \geq T(k)$)に対し、対応する値は $p_{T(i)T(j)}\cdot p_{T(j)T(k)} \leq p_{T(i)T(k)}$ を満たす。(ここで$\cdot$は通常の積演算を表す)

この設定で薄い圏$C(\mathrm{Ob}(\mathcal{C}), \{\geq_{T(i)T(j)}\}_{i, j \in \mathrm{Ob}(\mathcal{C})})$ を定義して、そこでの上限下限を考えることもできる。これは確率の圏における極値問題(通信やシステムの信頼性・維持可能性の最大最小化など)になる。

上記の方法は、$T'(i)$$T'(\mathcal{C})$における普遍的対象であってもiが$\mathcal{C}$において普遍的対象になるとは限らないので、あくまで普遍的対象の候補を挙げられるだけだが、うまく$T'$をとることが出来たら実用に耐える。

 ラグランジェの未定係数法にしろ、ホモロジーの計算にしろ、この$T'$をうまくとろうとする人間の工夫の歴史的成果といえる。

 人間そしてAiも、ぶあつい圏をそのまま扱うことは一般にできないので、最終的には扱いやすい薄い圏に写してから演算を行うしかない。

投稿日:13日前
更新日:10日前
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書き足しや書き直しを始終してます。  数学は修士修了のアマチュアです。  圏論において、射を高々一つしか持たない薄い圏(thin category)を、対象の二項演算(広義)を射として持つ圏として捉え直し(1)、そのアイデアに基づいて薄い圏やその部分圏をいくつか例示(1)(2)したうえで、局所的小圏から薄い圏への関手(薄化関手)の性質を調べてみました(3)。また括射関手というものを定義してその性質について述べました(4)。(5)(6)では実際に局所的小圏から薄い圏を構成する方法をいくつか述べました。(7)では関手を薄くするということを考えました。(8)では薄化の応用方法をAiに考えて(予想して)もらいました。  圏論は完全独学の素人なので、論理に根本的な間違いがあるかもしれません。その際はご教示いただけますとありがたいです。The English version is on facebook.

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