こんにちは。krutrです。
今回は、ある組み合わせ対象の特殊なクラスの同型を除いた数え上げについて、解説します。
前提知識として、対称群の共役類に関する知識や、群作用の理論(バーンサイドの補題など)を仮定します。
また、説明が煩雑になりすぎないため、議論を省略することがあります。予めご了承ください。
まずは、今回数え上げを行う「結合構造」という組み合わせ対象の説明をしていきます。
結合構造(例)の図示
結合構造の同型(例)
2つの結合構造
ある2つの全単射
結合構造の双対(例)
結合構造
双対同型な結合構造(例)
結合構造
位数2の有限射影平面(左)と位数3の有限射影平面(右)の図示
有名な、双対同型な結合構造の例として、デザルグな有限射影平面があります。図はそれぞれ、位数が2,3の有限射影平面を表しています。それぞれの点の集合を
この記事では、互いに要素数
ここから先、
まず、計算に必要な諸概念を定義します。
とする。
とする。
次は重要です。
とし、さらに、
とする。
とし、さらに、
とする。
※これらは群作用ではない。ここでは作用の語を、「
演算
ある結合構造
を満たす時、
また、その全体を、
で表し、双対同型な結合構造のクラスという。
今回は、この
ここで、
証明はしませんが、ここでは双対同型な結合構造全体を考えていて、どちらの作用も結合構造を本質的に変えないので、直感的には明らかです。
次の補題が、今回の数え上げの肝です。
バーンサイドの補題より、
ここで、
左辺を
(ただし、は を満たす の元)
まず、
より、
また、
※
よって、
長かったですね。途中、やや特殊な計算を説明なしに行っています。
非常に申し訳ないのですが、ゆっくり行間を埋めればきちんと読めるようにはなっているはずですので、ここはこのまま進ませてください。
この計算によって、各
ここから先は、
まず、次のような考察をします。
また、
である。
直感的には、さほど難しい話ではないと思います。
証明はここも省きますが、具体的には、次の全単射を構成すればよいです。
ここから、
次の項目から、厳密性に欠いた定義が出てきます。
私の技術的な問題で、厳密さを重視すると冗長になってしまうためです。
直感的には難しくないと思います。自信のある方は、厳密で綺麗な定義に直して進んで下されば幸いです。
とする。(各
また、任意の
とする。
任意の
であり、さらに、
である。
一行目は明らかとしてよい。
さらに両辺に
これによって
次は、
と分解でき、それぞれの
固定点になっていることも、
次は、これらの二種類の固定点が、いくつの極小固定点に分解されるか、をそれぞれ観察します。
任意の
1.
2.
ある
ここで、
と書き直せる。新たに、
次の二つの集合
すると、
より、
このとき、
をみたす
それ以外の場合は自動的に
まず
ここで次の二つの集合
ある
明らかに
よって
すべての極小固定点の大きさは等しく、
よって、
大変でしたね、、、
しかし、とても興味深い観察だったと思います。
さて、詰めです。
とする。
これにて、証明終了となります。
この数列を
この数列自体について考察してみるのも面白いかもしれませんね。
最後に、気になっている関連問題について書かせてください。
さらに、
ここで疑問なのですが、「duarityを持つ結合構造
これはおそらく偽であると私は考えているのですが、いまだに証明できていません。
また、「
こちらは真な気がしていますが、まだ考え始めたばかりでなんとも言えません。
(※ある決まった程度の対称性をもった結合構造のこと。詳しくは、参考文献『群とデザイン』に解説されています。)
とても長く書きましたが、ここで終わります。
私の技術上、至らないところも多くあったと思います。
もし、お気付きの点や、改善点、疑問点などございましたら、ぜひ、コメントまでお願い致します。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。