二つの数の平均を求める方法には、算術平均、調和平均、幾何平均などがあります。
この中で算術平均は相加平均、幾何平均は相乗平均とも呼ばれ、この2つの平均には大小関係が成り立ちます。
相加平均は一般に平均といわれて思い浮かべる足し算を使った平均の求め方ですね。
$$ \frac{a+b}{2} $$
$$ \sqrt{ab}\ (ただしa\geq0,b\geq0) $$
$$ \frac{a+b}{2}\geq\sqrt{ab}\ (ただしa\geq0,b\geq0) $$
相加相乗平均の大小関係の式は式変形などをすることで証明できます。
しかし円を用いることによって、図形の中でその大小関係を確認することができます。
どのような円を考えるかというと$a+b$を直径とする円です。
(下半分は使わないので、ここでは$y\geq0$となる部分の半円としています。)
下図では、$AP=a$、$BP=b$となるように$点P$をおいています。
直径は$a+b$なので、半径は$\frac{a+b}{2}$です。($OC=\frac{a+b}{2}$、青い線分)
ここで$点Q$を円と$点P$を通るx軸に垂直な線との交点とします。
急に$点Q$が現れてきました。
$$
確認しようとしていた式は\frac{a+b}{2}\geq\sqrt{ab}です。
$$
$$
そして半径の値が\frac{a+b}{2}であることが分かっています。(青い線分OC)
$$
$$
このことから緑の線分PQは\sqrt{ab}になるのではと予想できそうです。
$$
線分$AB$は直径なので$\angle AQB=90^{\circ}$です。
すると$\angle AQP=90^{\circ} -\angle BQP=\angle QBP$となります。
($\because\triangle QBP$の内角の和より$\angle BQP=180^{\circ} -90^{\circ} -\angle QBP=90^{\circ} -\angle QBP$)
これより$\triangle AQP$と$\triangle QBP$は2組の角が等しいことが分かったので$\triangle AQP \backsim \triangle QBP$です。
$\triangle AQP \backsim \triangle QBP$より各辺の比は等しいので$AP:QP=QP:BP$です。
求めたい線分$PQ=x$とおくと$AP:QP=QP:BP \Rightarrow a:x=x:b$となります。
$x^2=ab \Rightarrow x=\sqrt{ab}$、すなわち$PQ=\sqrt{ab}$です。
予想のとおり、線分$PQ$は$\sqrt{ab}$、つまり線分$PQ$の値が相乗平均であることが分かりました。
点$Q$は円弧$\stackrel{\huge\frown}{AB}$上を動きますが、点$C$より上に動くことはありません。
このように図にすることで、相加相乗平均の大小関係$\frac{a+b}{2}\geq\sqrt{ab}$が一目瞭然になります。