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IMO201702の解説

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ここでは国際数学オリンピック2017(2)、関数等式の問題を解説していきます。解答に当たっては難しい箇所がいくつかあり、 こちらのサイト を大いに参照させていただきました。特におそらくこの問題のいちばんのハイライトであろう$f$の単射性を示すパートは殆ど丸パクリの状態になっています。なのでオリジナリティのない内容になってしまいましたが、個人的な備忘録として存在を許していただけると幸いです。

IMO201702

関数$f:\mathbb{R}\to\mathbb{R}$で、任意の$x,y\in\mathbb{R}$について等式
$$ f(f(x)f(y))+f(x+y)=f(xy) $$
を満たすものを全て挙げなさい。

関数決定の常套手段の一つに「とりあえず良さげな値を代入してみる」というのがあります。そこでまず$y=0$を代入すると
$$ f(f(x)f(0))+f(x)=f(0) $$
がわかり、次に$x=0$を代入してみると
$$ f(f(0)^2)=0 $$
がわかります。さてここで「$f(0)=0$であって欲しい」と感じるのが人間です(定義)。しかし$f(0)=0$を第一の式に代入すると任意の$x$に対して$f(x)=0$になってしまいます。なので$f=0$$f(0)\neq0$のどちらかが満たされていることがわかります。以下$f(0)\neq0$なものを見つけていきましょう。

さて関数決定の常套手段の一つとして「$f(a)=0$なる$a$を探す」というものがあります。特に今回は$f(0)\neq0$なことがわかったばかりなので、「じゃあ$f(a)=0$なる$a$は何なのか?(そもそも存在するか)」と考えるのは自然なことです。$f(a)=0$なる$a$を(とりあえず存在するとして)とり、$x=a$を代入すると
$$ f(0)+f(a+y)=f(ay) $$
が成り立ちます。一見これがわかったからなんなんだと思いますが、$f(0)\neq 0$なことと$y$が任意だったことを思い出しましょう。ここで
$$ y=\frac{a}{a-1} $$
を代入すると$f(0)=0$が従いまい矛盾します。なので矛盾を避けるには$a=1$の場合しかありません。ここから$f(a)=0$なる$a$は(存在するなら)$a=1$のみなことがわかります。さて初めの段階で$f(f(0)^2)=0$なことを言っていたので、これによって
$$ f(0)=\pm1 $$
$$ f(1)=0 $$
なことがわかりました。まず$f(0)=1$を満たすものを考えていきます。条件式に$y=1$を代入することで
$$ -1=-f(0)=-f(f(x)f(1))=f(x+1)-f(x) $$
がわかります。

ここで関数等式の常套手段「とりあえず良さげな値を代入」を使っていきます。$y=-x$を代入し、上で求めた式と合わせて
$$ f(f(x)f(-x))=f(-x^2)-f(0)=f(-x^2)-1=f(1-x^2) $$
がえられます。さてここでもし「$f$が単射である」ことがわかっていたとします。このとき上の式から
$$ f(x)f(-x)=1-x^2 $$
がわかります。また$y=1-x$を代入すると
$$ f(f(x)f(1-x))=f(x(1-x))-f(1)=f(x(1-x)) $$
であり、いま「$f$は単射である」ことがわかっている体で話をしていたので
$$ -f(x)+(1-x^2)=f(x)(-1+f(-x))=f(x)f(1-x)=x(1-x) $$
がわかります。以上から$f(0)=1$なる解は$f(x)=1-x$なことがわかりました。さて$f(0)=-1$なる解は、$-1$を掛けると$0\mapsto1$を満たす解になることを考慮すれば、$f(x)=x-1$なことがわかります。

さてラスボスは$f$の単射性です。これを示すために何ができるか考えていきましょう。まず$f$の単射性は$f(0)=1$の場合で示せばよかったですが、問題の式に$y=1$を代入すると
$$ f(x+1)=f(x)-1 $$
がわかります。なので今から示すのは$f(a)=f(b)$ならば$a=b$であることですが、上記の漸化式によって$a<1$として大丈夫です。ここで$2$次方程式
$$ X^2-bX+(a-1)=0 $$
を考えます。$a<1$の仮定からこの方程式は相異なる実数解$r,s$を持ち、これらは
$$ r+s=b $$
$$ rs=a-1 $$
を満たしています。元々の式に$(x,y)=(r,s)$を代入すると上の漸化式と合わせて
$$ f(f(r)f(s))=-f(b)+f(a-1)=1 $$
が従い、ここから$f(r)f(s)=0$が従い、前半の議論から$r=1$ないし$s=1$のいずれかが満たされています。このとき
$$ a=rs+1=r+s=b $$
が従い、以上で$f$の単射性が示せました。

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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント

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