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現代数学解説
文献あり

Baileyによる有限和の3F2の和公式

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まず, 3F2の和公式として, 次のWatsonの和公式が知られている.
3F2[a,b,ca+b+12,2c;1]=Γ(12)Γ(12+c)Γ(1+a+b2)Γ(1ab2+c)Γ(1+a2)Γ(1+b2)Γ(1a2+c)Γ(1b2+c)

ここで, 左辺のcnと極限を考えたとき, 2n<kに対しては
limcn(c)k(2c)k0
なので, それは
k=0n(a,b,n)kk!(a+b+12,2n)k
に一致しない. それを閉形式で表すことができるのが次の公式である.

Bailey(1953)

正整数nに対して,
k=0n(a,b,n)kk!(a+b+12,2n)k=(a+12,b+12)n(12,a+b+12)n
が成り立つ.

Pfaffの変換公式
(1x)d+n12F1[a,bc;x]=(1x)d+nb12F1[ca,bc;xx1]
xnの係数を比較して得られる等式
3F2[a,b,nc,d;1]=(db)n(d)n3F2[ca,b,nc,1+bdn;1]
において, c=a+b+12,d=2nとすると,
k=0n(a,b,n)kk!(a+b+12,2n)k=(2nb)n(2n)n3F2[ba+12,b,na+b+12,1+b+n;1]
ここで, Dixonの和公式より,
3F2[ba+12,b,na+b+12,1+b+n;1]=(1+b,1+a2)n(1+b2,1+a+b2)n
であるから,
k=0n(a,b,n)kk!(a+b+12,2n)k=(2nb)n(2n)n(1+b,1+a2)n(1+b2,1+a+b2)n=n!(1+b)2n(2n)!(1+a2)n(1+b2,1+a+b2)n=(1+a2,1+b2)n(12,1+a+b2)n
となって示される.

参考文献

[1]
W. N. Bailey, On the sum of a terminating 3F2(1), The Quarterly Journal of Mathematics, 1953
投稿日:2024511
更新日:22
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Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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