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ベータ関数の逆数の積分表示を複素積分なしで示す。 おまけにn次差分を含む級数

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ベータ関数の逆数の積分表示

1B(x,y)=2x+yxπ0π2cosx+y1θcos((xy+1)θ)dθ

を、示す。

複素積分で証明できるのは有名。ベータ関数の定義の積分表示に対し、いい感じの経路で積分すると出てくる。

途中で文字、関数にまぁまぁ制約をつけてしまったので、完全な証明では全くもってない。

今回の定理を使えば、おまけにいい感じの級数も得られる。

本題

差分が効くメリン変換

メリン変換っぽい積分を考える。

F(s)=f(t)(12+it)sdt

複素数入った積分やんけ、と思ったかもしれないが、周回積分はしないので大目に見てください

これに前進差分を適用すると

ΔF(s)=f(t)(12+it)1+sdtf(t)(12+it)sdt=1(12+it)(12+it)1+sf(t)dt=12it(12+it)1+sf(t)dt

ということで、

ΔnF(s)=(12it)n(12+it)n+sf(t)dt

よって、

Δn|s=0F(s)=(12it12+it)nf(t)dt=14ππ(1itan(θ2)1+itan(θ2))nf(12tan(θ2))sec2(θ2)dθ(t=12tan(θ2))=14ππeniθf(12tan(θ2))sec2(θ2)dθ

この変形気持ちいい。

フーリエ級数

この式をみると、フーリエ級数につっこみたくて仕方ないので、する。

が、単純に入れるだけでは、そうは問屋が卸さねぇ。Δnが定義できないのでf(s)は実関数に限ることにしておいて、
逆に積分によって左辺を定義する。
Δn|s=0F(s)=Δn|s=0F(s)
と、なる。

これでフーリエ級数に入れる。  

積分の中身が出てくる。

2πk=ekitΔk|s=0F(s)=f(12tan(x2))sec2(x2)

で、左辺は結局虚部がなくなるので

2F(0)π+4πRk=1ekitΔk|s=0F(s)=f(12tan(x2))sec2(x2)

なんとf(x)のメリン変換(っぽいもの)を用いて、f(x)を復元できた。

これを使って、もう一度f(x)をメリン変換(っぽいもの)する。

x2arctan(2x)に置き換えて、整理。

f(x)=4π(1+4x2)(F(0)2+Rk=1e2kiarctan(2x)Δk|s=0F(s))

両辺メリン変換(っぽいもの)

F(s)=4π1(12+it)s(1+4t2)(F(0)2+Rk=1e2kiarctan(2t)Δk|s=0F(s))dt

置換t=12tan(θ2)
なんか、くどいような気がするけど。

=1πππ2s(1+itan(θ2))s(F(0)2+Rk=1ekiθΔk|s=0F(s))dθ=2sπππcoss(θ2)(cos(θ2)+isin(θ2))s(F(0)2+Rk=1ekiθΔk|s=0F(s))dθ=2sπππcoss(θ2)es2iθ(F(0)2+Rk=1ekiθΔk|s=0F(s))dθ

これでいい感じ

F(s)=2sπππcoss(θ2)es2iθ(F(0)2+Rk=0ekiθΔk|s=0F(s))dθ

これまでの変形を見てると、F(s)にメリン逆変換(っぽいもの)が存在して、それが実関数である必要がある。が、実はもうちょっと緩くていい。    

差分のフーリエのメリンが元に戻る

この定理、ラマヌジャンマスター定理っぽい?

じゃあ結構すごくね、と思いたいが、今回の本題が示されることによって、そうでも無いなぁ、と思ってくる。    

二項係数

F(s)=(sn)を持ってくる。(nZ0)

なぜかと言うと、これは

Δm|s=0F(s)=δn,m

を満たすから。(クロネッカーデルタ)
よって、これをフーリエ級数に入れるとk=nの部分、eniθのみ生き残る。

(sn)=2sπππcoss(θ2)es2iθcos(nθ)dθ

やったーー。    

ほぼ完成

θを2倍に置換、左辺はsが実数なら明らかに実数なので、右辺の指数関数は実部だけでいい。

(sn)=2s+1ππ2π2cossθcos(sθ)cos(2nθ)dθ

積和の公式

(sn)=2sππ2π2cossθ(cos((s2n)θ)cos((s+2n)θ))dθ

ここで、括弧の中の二項目について、cossθのフーリエ級数展開のcos((s+2n)θ)の成分を取り出す積分になっている。
しかし、s<s+2nなので、そんな項は無いと言える。よって0。
ここが曖昧なとこ。sが自然数なら、倍角の公式を想像すれば良いと思うが、sが実数の時もいえるんか、?と、思ってる。

取り敢えず認める。  

(sn)=2sππ2π2cossθcos((s2n)θ)dθ=2s+1π0π2cossθcos((s2n)θ)dθ

二項係数はベータ関数の逆数で書ける。

1B(sn,n+1)(sn)=21+sπ0π2cossθcos((s2n)θ)dθ

s=x+y1,n=y1とすれば、

1B(x,y)=2x+yxπ0π2cosx+y1θcos((xy+1)θ)dθ

完成!

なんやかんや制限つけたけど、この式は知られた通り、複素数x,yで成り立つ。

で、ここまで書いてて思ったのが、cossθのフーリエ級数展開が二項係数でかけることを示せばいいので、この文字制限の精度なら、それでよくね。

と、いうことで、逃げの級数紹介。

得られる級数

途中で

2F(0)π+4πRk=1ekixΔk|s=0F(s)=f(12tan(x2))sec2(x2)

を得た。

f(x)=sech(πx)とすると、F(s)=2η(s)(ディリクレイータ)なので、

k=1cos(kx)Δk|s=0η(s)=π8sech(π2tan(x2))sec2(x2)14

うおお。

f(x)=cos(x)14+x2とするとF(s)=πe12(1+k=0s1k!)になるので、

k=1cos(kx)Δk1|s=01(s+1)!=e12cos(12tan(x2))1

以上、間違いあれば指摘ください。
見てくれてありがとうございました!

投稿日:72
更新日:72
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投稿者

kanaly
kanaly
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2004
ゼータ関数周辺が好き

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