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高校数学解説
文献あり

Bernoulliの不等式を用いた相加・相乗平均の不等式の証明

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相加・相乗平均の不等式(以下,AM-GM不等式と略)とは,次のようなものでした.

nを任意の正整数とする.n項の正実数列(a1,a2,,an)に対し,その相加平均An(Arithmetic-Mean)と相乗平均Gn(Geometric-Mean)を
An:=a1+a2++ann,Gn:=(a1a2an)1n
と定めたとき,不等式AnGnが成り立つ.なお,等号成立条件はa1=a2==an

この不等式の証明には様々な方法が知られていますが,ここではBernoulliの不等式を用いた比較的簡潔な方法を紹介したいと思います.

Step1

まず,証明に用いるBernoulliの不等式を紹介します.

任意の正整数nと実数x1に対し,不等式
(1+x)n1+nx
が成り立つ.なお,等号成立条件はx=0

証明は簡単(受験数学的には差を取って微分か,数学的帰納法がパッと思いつきますが,どちらも教科書レベルの証明になります)なのでスルーします.

Step2

AM-GM不等式の証明に入ります.Bernoulliの不等式においてx(An/An11)に置き換えれば,
(AnAn1)n1+n(AnAn11)=nAn(n1)An1An1=anAn1
となって,(An)nan(An1)n1を得ます.これを再帰的に用いれば,A1=a1にも注意して
(An)nanan1a1がわかるので,結局AnGnが言えます.
また,等号成立条件は
AnAn11=An1An21==A2A11=0A1=A2==Ana1=a2==an

参考文献

[1]
Martin Aigner, Günter M. Ziegler, Proofs from THE BOOK - Fifth Edition
投稿日:2023510
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