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ポッホハマー記号と階乗の関係

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はじめに

 この記事ではポッホハマー記号
(x)n=x(x+1)(x+2)(x+n1)
と階乗の関係について簡単にまとめていきます。

本題

(1m)n(2m)n(mm)n=(mn)!mmn

(1m)n(2m)n(mm)n=1m2mmm×m+1mm+2m2mm×(n1)m+1mnmm=(mn)!mmn
とわかる。

l=1gcd(m,l)=1m(lm)n=dm((dn)!ddn)μ(m/d)
ただしμ(n)はメビウス関数とした。

 上の左辺をamとおくと
dmad=l=1m(lm)n=(mn)!mmn
が成り立つので、これにメビウスの反転公式
g(n)=dnf(d)f(n)=dng(d)μ(n/d)
を適用することで主張を得る。

(1)n=n!(12)n=(2n)!22n1n!(13)n(23)n=(3n)!33n1n!(14)n(34)n=(4n)!44n22n(2n)!n!=143nn!(4n)!(2n)!(16)n(56)n=(6n)!66n33n(3n)!22n(2n)!n!=1432nn!(6n)!(2n)!(3n)!(18)n(38)n(58)n(78)n=(8n)!88n44n(4n)!=1216n(8n)!(4n)!(112)n(512)n(712)n(1112)n=(12n)!1212n66n(6n)!44n(4n)!(2n)!22n=1126n(2n)!(12n)!(4n)!(6n)!

余談

 ちなみに同様の議論によってガンマ関数の特殊値に関する次のような等式も導けます。

k=1nΓ(kn)=(2π)n12n

 倍数公式
Γ(nz)=nnz12(2π)n12k=0n1Γ(z+kn)
においてz=1/nとすることでわかる。

k=1gcd(n,k)=1nΓ(kn)={(2π)φ(n)2/pn=pe(2π)φ(n)2otherwise.
ただしφ(n)はオイラーのトーシェント関数とした。

 上の左辺の対数を取り、それをanとおくと
dnad=k=1nlogΓ(kn)=n12log2π12logn
が成り立つのでメビウスの反転公式より
an=d|nμ(nd)(d12log2π12logd)
と表せる。
 また
d|nμ(d)=0(n>1)d|nμ(nd)d=φ(n)
およびフォン・マンゴルト関数
Λ(n)={logpn=pe0otherwise.
に対し
dnΛ(n)=logn
つまり
dnμ(nd)logd=Λ(n)
が成り立つことに注意すると
an=φ(n)2log2π12Λ(n)
を得る。

k=1n112πΓ(kn)=1nk=1gcd(n,k)=1n12πΓ(kn)={1pn=pe1otherwise.

Γ(1)=1Γ(12)=πΓ(13)Γ(23)=2π3Γ(14)Γ(34)=2πΓ(16)Γ(56)=2πΓ(18)Γ(38)Γ(58)Γ(78)=22π2Γ(112)Γ(512)Γ(712)Γ(1112)=4π2

投稿日:2024428
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投稿者

子葉
子葉
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主に複素解析、代数学、数論を学んでおります。 私の経験上、その証明が簡単に探しても見つからない、英語の文献を漁らないと載ってない、なんて定理の解説を主にやっていきます。 同じ経験をしている人の助けになれば。最近は自分用のノートになっている節があります。

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