こんにちは。東京大学理学部物理学科による有志団体 Physics Lab. 2026の実験班班長のメラゾーマです。
今回はPhysics Lab. 2026のアドベントカレンダーの記事として、実験班の紹介をしていきたいと思います。
ここでは、物理学において実験がどういう立ち位置にあるかを述べたいと思います。人によって答えは様々でしょうから、あくまで一個人の考えであることを先に述べておきます。
どんな分野も、理論家は既存の現象をうまく説明する理論を作ったり、見つけてきたりします。既存の現象をバチッと説明する理論があれば、それだけでもその理論は魅力的ですが、理論のさらに魅力的だと思うところは、新物理の予言ができうることです。今までの理論や実験事実、つまり既存の物理の枠を超えた理論を作ると、「もしその理論が正しければこういった現象がある」と予言できます。
しかし、いくら様々な予言があったとしても、その理論が物理の理論として成立するためには、実験で整合性の取れる結果が得られなくてはいけません。そのための実験は、一つの本質を捉えたものかもしれないし、複数の分野にまたがりながら大掛かりで実証するものであるかもしれません。いずれにせよ、実験事実が全て物を言います。自然現象がそうだといったものが正しくて、首を横に振ったものは間違っているのです。このように、物理学における実験は、その仕事が物理という学問において本質的なものになります。
さらに実験の真髄は、既存の理論で説明できないのはおろか、そもそも今まで考えられてきたどの理論でも予測されなかった物理現象を見つけることにあると思います。そのようなブレイクスルーが起こることは、どの分野においても常に期待したいですし、期待されるべきだと思います。
もしそのような現象が見つかったら、今度はそれを説明するための理論を作り上げることに力が注げられるでしょう。そしたら上記の繰り返しです。このように、実験と理論は互いに相補的に発展していくもので、また、そう発展していくのが健全だと思います。
さて、ここからは私たち実験班の活動を紹介します。
実験班は、来年の5月祭に向けて、いくつかの班に分かれて活動を行っています。二次元物質の光学応答をみる、座席の埋まり方を調べる、さまざまな方法で光速を測定する、オーロラを作る、コロイドを用いたアクティブマター実験、サイクロトロン製作などです。物性、宇宙、素粒子、生物物理、計算物理など、どの分野にもつながる内容になっています。現状は実験をするための計画を立てたりご協力くださる研究室にご相談したり機材を確保している段階です。
また、来年の5月祭は、事前実験の内容をポスターにまとめるのに加えて、当日の演示実験も豊富に用意できればと考えています。ぜひ楽しみにしていてください!!
物理学実験は、理学部物理学科の学生は必修で行う学生実験の授業のことです。今回のPhysics Lab.の活動とは無関係ですが、実験班ということで少し触れておきます。無関係というのは言い過ぎで、真空•低温技術やエレクトロニクス•光学系など様々な基礎的な技術が学生実験で身につきますし、学生実験でお世話になった先生方がPhysics Lab.の実験にご協力くださっていたりします。学生実験は、月水木の午後にだいたい2-3週に1週のペースで実験します。
いつ実験があるかは人によるのですが、私の場合はやや変則的で、12月の今週からは毎週実験をすることになっています。クリスマスイブとクリスマスも例外ではありません。遺憾です。これを伝えるためにこのセクションを書きました。
話題が逸れてしまいましたが、実験班は今後も精力的に活動していきます(宣言)。
それでは、良いクリスマスを!!🎄