10

ラマヌジャンの公式は全て証明されたのか

1848
0
$$\newcommand{a}[0]{\alpha} \newcommand{Aut}[0]{\operatorname{Aut}} \newcommand{b}[0]{\beta} \newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{d}[0]{\delta} \newcommand{dis}[0]{\displaystyle} \newcommand{e}[0]{\varepsilon} \newcommand{F}[4]{{}_2F_1\left(\begin{matrix}#1,#2\\#3\end{matrix};#4\right)} \newcommand{farc}[2]{\frac{#1}{#2}} \newcommand{G}[0]{\Gamma} \newcommand{g}[0]{\gamma} \newcommand{Gal}[0]{\operatorname{Gal}} \newcommand{H}[0]{\mathbb{H}} \newcommand{id}[0]{\operatorname{id}} \newcommand{Im}[0]{\operatorname{Im}} \newcommand{Ker}[0]{\operatorname{Ker}} \newcommand{l}[0]{\left} \newcommand{L}[0]{\Lambda} \newcommand{la}[0]{\lambda} \newcommand{La}[0]{\Lambda} \newcommand{Li}[0]{\operatorname{Li}} \newcommand{li}[0]{\operatorname{li}} \newcommand{M}[4]{\begin{pmatrix}#1& #2\\#3& #4\end{pmatrix}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{o}[0]{\omega} \newcommand{O}[0]{\Omega} \newcommand{ol}[1]{\overline{#1}} \newcommand{ord}[0]{\operatorname{ord}} \newcommand{P}[0]{\mathfrak{P}} \newcommand{p}[0]{\mathfrak{p}} \newcommand{q}[0]{\mathfrak{q}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{r}[0]{\right} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Re}[0]{\operatorname{Re}} \newcommand{s}[0]{\sigma} \newcommand{t}[0]{\theta} \newcommand{ul}[1]{\underline{#1}} \newcommand{vp}[0]{\varphi} \newcommand{vt}[0]{\vartheta} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} \newcommand{z}[0]{\zeta} \newcommand{ZZ}[1]{\mathbb{Z}/#1\mathbb{Z}} \newcommand{ZZt}[1]{(\mathbb{Z}/#1\mathbb{Z})^\times} $$

 よく知られているように稀代の数学者ラマヌジャンは4000にも及ぶ不可解な公式を遺しましたが、Wikipediaなどによると「彼の何千もの結果のうち、1, 2ダース分を除いて、すべてが正しいことが現在証明されている」とされています。
 実際少し調べてみると次のような話が見つかりました。
The unproved formulas of Ramanujan - MathOverflow
これは数学版の知恵袋的なサイトであり、この質問者は「ラマヌジャンの残した数式でまだ証明も反証もされていないものはありますか?」と聞いています。これに対して次のような回答がなされています。

 George AndrewsとBruce BerndtはRamanujan's lost notebookに関する5本の書籍を出版しました。そして2019年にBerndtは残された最後の等式に関する論文 "The final problem: an identity from Ramanujan's lost notebook"を出版しました。
 また他の回答者の助言に従ってBerndtに直接コンタクトを取り、未だ未解決の公式はないのかと聞いてみたところ彼は「私の知る限り、未解決の主張や予想は残されていない。意味の通った解釈を付けることのできなかった主張はいくつか残されている。」と答えました。
 私はその言及がlost notebook以外も含めたラマヌジャンのアウトプット全てに対するものであるかと確認すると、彼はyesと答えました。

 ちなみにBerndtは"Ramanujan's Notebooks (Part I-V)"および"Ramanujan's Lost Notebook (Part I-V)"の計10冊に渡ってラマヌジャンの遺したノートにある主張やそれに関する論文の数々を分析しまとめあげています。最初の出版が1985年で、最後の出版が2018年、上の論文が出たのが2019年と長い年月をかけてラマヌジャンの業績と向き合い続けたからこそ言える「全ての問題は解決されたことを私は確認した」というセリフには圧倒されるものがありますね。

投稿日:20231215

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

子葉
子葉
977
221005
主に複素解析、代数学、数論を学んでおります。 私の経験上、その証明が簡単に探しても見つからない、英語の文献を漁らないと載ってない、なんて定理の解説を主にやっていきます。 同じ経験をしている人の助けになれば。最近は自分用のノートになっている節があります。

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中