こんにちは、はじめまして。krutrです。
今回は、ある特殊な有限級数の等式と、その双曲線関数の入った無限級数への応用について、解説します。
主に極限に関する議論について、説明を欠く部分があります。予めご了承ください。
早速ですが、次の定理が成り立ちます。
有限複素数列
を満たすとき、
ただし、
式が複雑で、何を示しているのか分かりづらいので、
数列が条件を満たすとします。(この二条件は、定理中の総積部分がうまく定義されるためのものなので、あまり気にする必要はありません。)
まず、
となります。
・
・
となり、成立します。
・
となり、こちらも成立します。
例を確認して、成立しそうなのが確認できたところで、証明に移りましょう。
準備として、次の補題を示します。
有限複素数列
を満たすとき、
この等式は関数としての等式であり、
また、
この証明も、少しイメージしづらいので、
ようやく、本題の定理1の証明に入りましょう。
今回は、
補題2で
よって、
移項して等式を整理すると、
左辺を等比級数により展開すると、
さて、ここからは、この定理の応用についてお話ししていきます。
この等式は、都合の良い場合に、
複素数列
を満たし、さらに、各nに対し、
が絶対収束するならば、
ただし、
定理1において、
これを用いて、次のように、双曲線関数の入った無限級数の値を求めることができます。
数列
です。(この計算は本筋ではないので、ここでは解説しません。)
よって、
が分かります。
これ以外にも、数列を
など、様々な値が出てきます。(いずれも
三つめの式は、より一般の式
で、
さらに、例えば、数列を、
などの結果も出てきます。
双曲線関数の級数などの、一見非自明な級数が、このように単純なステップで導出できるのは、とても興味深く感じます。
これからの個人的な課題としては、
この記事は以上になります。最後までお読みいただきありがとうございました。