1

複2次式の因数分解の解き方を間違えてみた

46
0

注意

この記事には受験生の閲覧に不適切な内容が含まれます。ご注意ください。

不適切な内容: 複素数に対する根号

序文

まずはこちらをご覧ください。

x4+4x2+4を実数の範囲で因数分解せよ。

解答

x4+4x2+4=(x2)2+4(x2)+4=(x2+2)2

x4+5x2+4を実数の範囲で因数分解せよ。

解答

x4+5x2+4=(x2)2+5(x2)+4=(x2+1)(x2+4)

x4+3x2+4を実数の範囲で因数分解せよ。

解答

x4+3x2+4=(x4+4x2+4)(x2)=(x2+2)2(x)2=(x2+x+2)(x2x+2)

本題

問題2と問題3では解き方が違いますね。では、間違った解き方を選択したらどうなるでしょうか?

準備

複素数に関する性質をいくつか確認します。

0でない複素数zに対し、w2=zとなる複素数wであって、偏角がπ2<argwπ2であるものが唯一つ存在するので、これをzと書くことにする。また、0=0とする。

これは実数の平方根と整合性があります。

平方根

wを複素数とするとき、複素数zに関する方程式z2=wの解は、z=±wと表せる。

z=0の時は明らか。z0のときはド・モアブルの定理から容易に従う。

2次方程式の解の公式

a,b,cを複素数とするとき、a0でなければ、複素数xに関する方程式ax2+bx+c=0の解は、x=b±b24ac2aと表せる。

実数のときと同じ見た目ですが、係数が複素数なのであらためて証明する必要があります。

ax2+bx+c=0
を変形することで
(x+b2a)2=b24ac(2a)2
となる。後で扱いやすいように
(2ax+b)2=b24ac
としておく。この式に補題1を適用すると、これは
2ax+b=±b24ac
と変形できるから、これをxについて解くことで
x=b±b24ac2a
が得られる。

因数分解

では、これを使って実際に因数分解を行っていきたいと思います。

問題2

問題2(再掲)

x4+5x2+4を実数の範囲で因数分解せよ。

解答

x4+5x2+4=(x4+4x2+4)(x2)=(x2+2)2(ix)2=(x2+ix+2)(x2ix+2)

本来の解き方と違う答えである上に、虚数まで出てきました。しかし、数学的にはどの行も間違っていないはずです。何が起こっているのでしょう?
実はこの解答は、不完全なのです。ここからさらに計算を続けることで、実数の範囲での因数分解を得ることができます。それでは、続きをご覧ください。

解答の続き

方程式x2+ix+2=0を複素数の範囲で解くと、

x=i±182=i±3i2よってx=i,2i

方程式x2ix+2=0を複素数の範囲で解くと、

x=i±182=i±3i2よってx=2i,i

であるから、x4+5x2+4は複素数の範囲で

(xi)(x+2i)(x2i)(x+i)

と因数分解できる。定数項が共役な対をまとめることで

x4+5x2+4=(x2+4)(x2+1)

が得られる。

ずいぶん遠回りですが、つまりはこういうことです。

x4+5x2+4(x2+1)(x2+4)(x2+ix+2)(x2ix+2)(xi)(x+2i)(x2i)(x+i)

いったん複素数での素因数分解を経由して、それから実数での因数分解に「戻して」います。この方法は虚数の平方根の扱いが面倒だったり答案が長くなったりして単に遠回りなだけですが、問題によっては最初に複素数を考えるのが正攻法の場合もあります。

問題3

最初にx2を1つの文字とみなして因数分解をします。

問題3(再掲)

x4+3x2+4を実数の範囲で因数分解せよ。

解答

x4+3x2+4=(x23+7i2)(x237i2)
ところで、
3+7i2=6+7i4=(7i2+12)2=7i2+12
同様に
37i2=7i2+12
(偏角が±π2に入るように記号を定義したことに注意)
であるから、複素数の範囲で
x4+3x2+4=(x(7i2+12))(x(7i212))(x(7i2+12))(x(7i212))
と因数分解できる。定数項が共役な対をまとめることで
x4+3x2+4=(x2+x+2)(x2x+2)
が得られる。

解き方をこのように間違えると、途中で虚数の二重根号を外す必要があるのが難点です。

まとめとあとがき

複2次式には大きく2つの解き方があり、「x2を一塊とみて2次式の因数分解をする」あるいは「(px2+q)2(rx)2の形にする」のどちらかで解くことができます。しかし、選択を間違えるとこのように虚数の計算が発生してしまいます。
実は「正しい」解き方は計算で求めることができ、因数分解するべき式をax4+bx2+cとおき、D=b24acとおくと、

  • D=0のときは、(px2+q)2の形になりどちらでも同じ結果
  • D>0のときは、x2を一塊とみて2次式の因数分解をする
  • D<0のときは、(px2+q)2(rx)2の形にする

と実数の範囲で計算が終わります。証明は読者への演習問題とします(ヒント: b24acという形はどこかで見たことがありませんか? どうして私はこれを表すのにDという記号にしたのでしょう?)。

注意

複2次式は因数分解が(2次式)×(2次式)で終わりになるとは限りません。試しにx48x29を因数分解してみてください。

投稿日:20241230
更新日:111
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

nayuta_ito
108
34843

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. 注意
  2. 序文
  3. 本題
  4. 準備
  5. 因数分解
  6. まとめとあとがき
  7. 注意