はじめに
まずは以下の問題をご覧ください.
2025 早稲田大(教育)
を自然数とする.からまでの数字がもれなく一つずつ記入された枚の赤色のカードと,からまでの数字がもれなく一つずつ記入された枚の白色のカードがある.この枚のカードの中から同時に枚を取り出し,カードに記入された数字を確認した後にもとに戻す,という試行を回行う.次の問いに答えよ.
- 回目に取り出した2枚のカードに記入された数字が同じであり,かつ回目に取り出した枚のカードに記入された数字と回目に取り出した枚のカードに記入された数字の間に共通の数字が存在しない取り出し方の総数をを用いて表せ.
- 回目に取り出した2枚のカードに記入された数字が異なり,かつ回目に取り出した枚のカードに記入された数字と回目に取り出した枚のカードに記入された数字の間に共通の数字が存在しない取り出し方の総数をを用いて表せ.
- 回目に取り出した枚のカードに記入された数字と回目に取り出した枚のカードに記入された数字の間に共通の数字が存在する確率をを用いて表せ.
どうでしょうか?特に(1)(2)の問題文での表現:回目に取り出した枚のカードに記入された数字と回目に取り出した枚のカードに記入された数字の間に共通の数字が存在しないをどう解釈しましたか?
この一文には,以下の2つの解釈があると思います.1回目に引いたカードの数を,2回目に引いたカードの数をとして
- 1回目および2回目でのカード(合計4枚)の全ての組み合わせを考えて,これらが同じ数になることがない.
- 1回目および2回目でのカードから1枚ずつ取り出した全ての組み合わせを考えて,これらが同じ数になることがない.
どちらだと思いますか?
とりあえず解いてみる
まず,解釈(i)で考えてみましょう.
解釈(i)での解答
- 1回目のカードの取り出し方は通り.2回目は,1回目で出た数とは異なり,互いに異なる数を取り出すから,のとき通り.これはでも整合するから,求めるものは通り.
- 1回の試行におけるカードの取り出し方は全部で通り.よって1回目のカードの取り出し方は,余事象を考えて通り.2回目は,1回目で出た数とは異なり,互いに異なる数を取り出すから,のとき通り.よってにおいて通り.これはでも整合するから,求めるものは通り.
- 1回目と2回目のカードの間に共通の数字が存在しない取り出し方は通り.余事象を考えると求める確率は.
解釈(ii)での解答
次に,解釈(ii)で考えてみます.
- 1回目のカードの取り出し方は通り.2回目は,1回目で出た数とは異なる数を取り出すから,のとき通り.これはでも整合するから,求めるものは通り.
- 1回の試行におけるカードの取り出し方は全部で通り.よって1回目のカードの取り出し方は,余事象を考えて通り.2回目は,1回目で出た数とは異なる数を取り出すから,のとき通り.よってにおいて通り.これはでも整合するから,求めるものは通り.
- 1回目と2回目のカードの間に共通の数字が存在しない取り出し方は通り.余事象を考えると求める確率は.
分析と結論
正直,う~ん………という感じです.日本語的には(i)(ii)どちらの解釈もあり得ると思います.また,もし解釈(i)(ii)間の難易度に大きな差があれば例年の問題難易度と比較して,どちらが適当か測れると思いましたが,どちらでも難易度は大して変わらない気がします.あえて解釈に幅をもたせ,受験生がどちらで解いても採点ができるようにした,という挑戦的な問題である可能性もあります.しかし出題ミスが十八番みたいなところがある天下の早稲田大学がそのようなことをする意味がないです.採点も大変ですし.
月並みな結論ですが,どちらの解釈でも解けるようにしておくことが重要だと思います.皆さんはどちらの解釈でしたか?