初めまして、張る㌠です。
Twitterのbioには「関東」とだけ書いてありますが、東京都立大学数理科学科に所属している2回生です。(2026年2月19日現在)
春休みに入って時間もできたので今までの大学生活を振り返って、また後輩のために記録として、どの教科書を使って勉強してきたのかを残しておこうかなと思います。(とはいっても、ちょっと見たけど特に勉強はしてない教科書などがたくさんあるので、載せる基準としては1章以上読んだものとしています。)
特に幾何系に進もうと思っている後輩は、私の読んできた本を参考にすれば幾何系の授業で困ることは特にないんじゃないかなと思います。
それじゃ~早速、本文行ってみよ~。
1年生の間は大学数学と高校数学のギャップになれていなかったこともあり、基本的には授業で使用した教科書のみになります
この授業では""理工系の微分積分学/吹田 信之,新保 経彦""を使って勉強していました。
、、、と言いたいところなのですが、入学早々に5回の欠席カードを使い果たしてしまったので、前期の微分積分は全くと言って良いほど勉強はしていません。
その代償として未だに微分積分が疎かですべてに対して足を引っ張っているので全力で勉強することをオススメします。
(ちなみに、先生は5回欠席したら単位は出さないと言っていますが、テストで満点を取れば単位は降ってくるので、テストには行きましょう。大パチです)
真剣な話をすると、数学科の学生がこの教科書だけで微分積分学の知識が足りるか、と言われると足りないです。
ただ、前期の大学数学にも慣れていない段階から難しい教科書に手を出す必要もないと思うので、この教科書を読んで演習問題をしっかりと解いていれば単位は降ってきます。(高校数学が強ければゴリ押しもできる)
この授業では""線形代数・講義と演習/小林 正典,寺尾 宏明""を使って勉強しました。
この教科書は線形代数の基礎的な部分がしっかりと載っていて、ページ数も各章同じページで非常に勉強しやすい教科書になっています。
演習の授業で配られる問題をこの教科書を読みながら解いていけば線形代数の基礎的な部分は身につくはずです。
同期のできる人たちは""線形代数学入門/斎藤正彦""などを読んでいた印象があります。
また後述しますが""線形代数の世界/斎藤毅""は難しすぎるので、初学には向いていないです。「斎藤線形が良いよ」と友人に言われて図書館でこれを開いたときにひっくり返って頭に地面をぶつけた記憶があります。
1年後期は前期に2つしか数学の授業が無かったのに比べて「微分積分II」「線形代数II」「集合と論理」の3つになるので少し大変になるかなと思います。
私はそれに加えて2年次の「代数学序論」も先に履修していたので、前期に比べると単純計算で2倍の授業になりました。(「確率統計」を先に履修している同期もいた)
ですが、大学数学にも慣れてきていたので特段しんどいということはありませんでした。
この授業でも引き続き""理工系の微分積分学/吹田 信之,新保 経彦""を使って勉強していました。
この教科書は大学数学の入門書としてはピッタリなのですが、数学科が使う教科書としては足りない部分もあるので""解析入門I/杉浦光夫""などを使っている同期も多かったです。(ただこの本はしっかり読むと疲れる)
演習の授業の問題は良い問題が多いので、この教科書を見ながら解いて勉強をしていました。
この授業でも引き続き""線形代数・講義と演習/小林 正典,寺尾 宏明""を使って勉強していました。
、、、と言いたいところなのですが、不手際で紛失してしまったためインターネットで知識を補填しながら演習問題を解くと言った勉強をしていました。
この授業では""例題で学ぶ集合と論理/鈴木 登志雄""を使って勉強していました。
とは言いますが、私はそこまでこの教科書を使って勉強した記憶がありません。レポート提出の前に勉強して、あとは演習問題を解いていればある程度集合論の基礎的な技能は身に付きます。
集合論に関しては1年の春休みに勉強し直しているのでそちらを参考にしてください。
この授業では""群・環・体入門/新妻 弘,木村 哲三""を使って勉強していました。
授業のレジュメが詳しかったのでそちらを見る機会が多かったですが、テスト前の演習問題などはこの教科書のものを解いていました。
1年の春休みは先輩1人に見てもらいながら、同期4人と集合論と位相空間論のゼミをしていました。
それと並行しながら、2年前期の数理科学総論で使用する教科書も読んでいました。
このゼミでは""集合・位相入門/松坂 和夫""を使用していました。
この教科書は集合論パートは整列集合、順序数、選択公理やツォルンの補題などの後々必要になってくる知識が載っています。位相空間論パートは必要なものは全て載っているので、これを読んでおけばまず間違いは無いと思います。ネットやフィルターについては内容が薄いので他の教科書を読む必要はありますが、そんなもの当分使わないので松坂でいいです。
この授業では""具体例から学ぶ多様体/藤岡敦""を使用していました。
数理科学総論は半期の教員とのゼミで、前期と後期のどちらかで開講されます。私の場合は前期に開講だったので春休みから準備をしていました。
この教科書は題名の通り具体例に触れながら色々と学んでいく教科書で、前半は微分積分や位相空間論の復習、後半は多様体論をざっと眺めていくといったものです。
私はこの教科書が好きなのですが、独学には向いていないと思います。
というのも、前半の復習パートは個別にその分野の本を読めばよく、後半の多様体論パートは最初の方こそ可微分多様体の基礎をやりますが、途中から雲行きが怪しくなり全速力で複素、シンプレクティック、ケーラーを駆け抜ける悪魔の構成になっているからです。
発展的な多様体がどのようなものなのかを軽く学ぶにはいい本なのですが、しっかり学ぼうとするとこの教科書では省略しすぎています。
私はこの教科書を教員と読むことができたので、補足をしてもらいながら読み進めることができ、とてもいいゼミができたと感じています。
多様体論(特に複素多様体)に興味がある方は、軽く目を通してみることをオススメします。
2年前期は2年次の授業としては「微分積分III」「線形代数III」「位相空間論」「解析入門I」「離散数学入門」「数理科学総論」、3年次の授業としては「幾何学A」「解析学C」を履修していました。(「代数学A」を履修している同期は多かったが、1年前期で微積を落としているので取れなかった;;)
2年になってくると、それぞれの科目もなかなかにハードになってくるので勉強量も増えてきました。ですから、長期休みのうちに一科目くらいを先に勉強しておくと学期中楽になるのでオススメです。
この授業では""解析入門II/杉浦光夫""を使って勉強していました。
1年の頃に使っていた理工系の~にもベクトル解析は載っていたのですが、内容が薄かったので、この教科書に変更しました。
解析入門Iを持っていなかったので、前巻を参照する必要が出た時は友人に見せて貰ったり、図書館に言ったりしましたがそれを除けば名著だと思います。
また、数理科学総論で多様体論をやっていたので、ストークスの定理などはそちらで理解していました。
この授業では""線形代数の世界/斎藤毅""を使って勉強していました。
実は春休みにこの教科書もやろうと思っていたのですが、あまりの難しさに一度挫折し、授業に沿ってこの教科書を読み進めました。
やはりこの教科書は難しいですし、まだ全部を読み切れたわけではないですが、読むと確実に力はつくのでオススメです。
また、ジョルダン標準形は単因子論ではなく、広義固有空間を用いて説明されているので、代数系に行きたい方は別の斎藤線形を読んだ方が良いのかもしれません(私は代数系ではないのでわからない)
春休みに勉強したので、前期の間は何もしていません。
演習の授業で配られる課題をインターネットで調べながら解いていたので、教科書は使用していません。
この授業では理論的なことはやらずに計算方法だけを学ぶのでそこまで問題ではなかったです。
パズルです。ユーチューブで数学の動画を見ていれば単位は出ます。
この授業では""多様体の基礎/松本 幸夫""を使って勉強していました。
この教科書は"読むラノベ"といわれることもあるくらい親切に書いてあるので、あまり躓くことはないと思います。(とはいえ多様体論は抽象度が高いので、理解するのには時間がかかりますが、、、)
数理科学総論で多様体論をやっていたこともあり、この授業のために勉強は特にしていませんでした。
同期の間では、この教科書か"トゥー 多様体/Loring W. Tu"で勉強している人が多かったです。トゥーはde Rhamコホモロジーまで載っているので、幾何学Bまでこの本でやれるのが利点かなと思います。
この授業では""ルベーグ積分入門/伊藤 清三""を使って勉強していました。
この本は淡々と必要なことを積み重ねる本で、行間もあまりなくスラスラ読めたイメージがあります。
授業はルベーグ積分を定義して終わりなので、後半の関数解析パートについては何もわかりません。
この授業では""具体例から学ぶ多様体/藤岡敦""を中心にわからない部分などは""多様体の基礎/松本 幸夫,複素多様体論/小平 邦彦""を参考にしていました。
数理科学総論は教員とゼミができる貴重な機会なので、履修を迷ってるなら履修した方が良いと思います。ただ、ゼミによって難易度にばらつきがありすぎるので興味や自分の状況を見て決めた方が良いです。
2年の夏休みは多様体論の復習をしていました。本当はホモロジー論もやろうと思っていたのですが、思ったよりも忙しく手を付けることができませんでした
夏休みは""多様体入門/坪井俊""を読んでいました。
この教科書は多様体論の発展的なところまで載っていて、微分幾何に進むなら読んでいた方が良いと思います。
ただ、初学でこれを読もうとするのは苦労すると思うので一度別の本で勉強してから、その知識を整理するのに使った方が良いと思います。
発展的な内容も多く含まれていて、読んでいて楽しかったです。
2年後期は3年の科目も先に取ってしまおうと思い、ありえない量の授業があったのですが、頑張れば何とかなりました。(執筆時はまだ成績が発表されていないので、何とかなったと思いたいです。)
履修した授業としては、2年次の授業が「解析入門II」「応用数理概論I」「確率統計」「幾何学序論」、3年次の授業が「代数学B」「代数学C
」「幾何学B」「幾何学C」、4年次の授業が「幾何学特別講義III」になっています。
また、自主ゼミとして「代数幾何」「グレブナー基底」をやり始めました。そこで使用している教科書も挙げていこうと思います。
いま振り返って考えたらありえない量ですし、生き急いでいると思います。けど死ななかったので大丈夫だと思います。
この授業では""複素解析概論/野口 潤次郎""を使って勉強していました。
この本は行間が殆どなく、線積分に関してはありえないくらい厳密に定義していてドン引きしました。
載ってる内容も一変数複素解析の内容はほとんど載っているので、この本を一冊持っていれば複素解析は大丈夫だと思います。
ただし、ホモトピーの議論を多用するのでどこかでホモロジー論は触れていた方が良いかなと思います。(私の場合は幾何学Cを同時に履修していたので理解が深まった)
この授業では""フーリエ解析とその応用/洲之内 源一郎""を使って勉強しました。
ただ先生が変わっていなければ、授業に出てノートを取っていさえすれば教科書はいらないと思います。
教科書は使用しておらず、テスト前に演習問題を解く以外何もしていません。ルベーグ積分を使わない確率統計なので、高校数学のノリでできます。
この授業でも教科書は使用していません。
基本的に多様体論への橋渡しの授業だとは思うのですが、先に多様体論をやってしまったため、特に勉強はしていません。
曲線曲面論特有のフレネフレームだったり、第一基本形式、第二基本形式だったりの定義をネットで見て、演習の授業の問題を解いていました。
この授業では""代数学/津村博文""を使って勉強しました。
この本は絶版なのですが、図書館にあったものを借りていました。
この教科書は群論、環論(加群論)、体論(ガロア理論)がコンパクトにまとまっていて、必要な部分を軽く学習するのには便利でした。
ただ、代数系に進む人はこの教科書では足りないと思うので、""代数学2 環と体とガロア理論/雪江 明彦""などを最初から読むか、後から読んで補完することをオススメします。
私はそこまでガッツリ代数をする予定はないので、津村先生の教科書で十分でした。
この授業では教科書はあまり使わずにレジュメと板書を見て勉強していました。
先生が変わっていなければガロアの基本定理まで一直線に進んでいくはずなので、復習と予習をしていけば大丈夫でした。
また、ガロアの基本定理などの部分は学習院大学の中野伸先生のpdfを見ながら勉強していました。
この授業では""微分形式/坪井俊""を使って勉強していました。
授業で配られるレジュメが詳しく書かれていたので、授業のノートと見比べながら読むと詰まることは特にないと思います。
微分形式の定義から、微分形式の積分、de Rhamコホモロジーまで簡潔に書かれていて、非常に読みやすかったです。
ただ、坪井先生の""多様体入門、ホモロジー入門""から参照されることがあるのでそこだけ注意してください。
この授業では""ホモロジー入門/坪井俊""を使って勉強していました。
この授業の前半は閉曲面の分類定理を証明したのですが、そこだけは授業の板書を読み返して理解しました。
後半のホモロジー論に入ってからはレポート問題を教科書を見ながら解いて勉強していました。
基本群などはこの授業ではやらないですし、ホモロジー公理などもやらないので、この本を全部読みたいなら授業以外の時間も割く必要があると思います。
この授業では""微分幾何学/今野宏""を使って勉強しました。
オムニバス形式の授業で何回かで内容が変わるので対応する部分をぱらぱらとめくって読んでいました。
この教科書は春休みに腰を据えて読んでいるのでそちらを参照してください。
このゼミでは""Algebraic Geometry/R.Hartshorne""を使用しています。
この本は代数幾何学の教科書としては一般的で和訳もあります。
しかし、代数幾何学がそもそも「代数と幾何両方の性質を併せ持つ♠」ものですから難しいですし、行間もありますし演習問題を当たり前のように使ってくるので、進めるのは中々に苦労します。
また、私は複素幾何学のために代数幾何学を学んでいる立場であるため、この教科書で使う環論の知識は大方認めてしまっています。
ですから、基本的にはこの教科書を読む前に最低でも青幸江、一般にはアティマクや松村を読んでおいた方が良いと思います。
このゼミでは""グレブナー基底と代数多様体入門/D.コックス,J.リトル,D.オシー""を使っています。
このゼミは基本的に先輩が発表してくださっているので、私は聞いてるだけなのですがこの教科書に沿って進んでいます。
ですから、行間が実際にどれくらいあるのかなどは分かりませんが、面白い教科書なので読んでみるのもいいと思います。
2年の春休みは複素幾何、代数幾何、グレブナー基底、測度論のゼミと、個人的に微分幾何を勉強しています。
このゼミでは""Complex Geometry/Daniel Huybrechts""を使っています。
この本は1章に多変数複素解析、複素ベクトル空間の一般論、微分形式の話が載っていて、2章に複素多様体、3章にケーラー多様体の話が載っています。
まだ全然読み進めてはないのですが、丁寧に書かれていて1章を読み終わっただけでも中々に面白かったです。
ただ途中で$\mathfrak{sl}(2)$の表現論の話が出てきたり、代数幾何の知識だったりと、必ずしも必要ではないのですが、あったほうが見通しが良くなる知識は多いなと感じました。
2年後期に引き続き同じ教科書を読んでいます。
2年後期に引き続き同じ教科書を読んでいます。
このゼミでも""ルベーグ積分入門/伊藤 清三""を使っています。
個人的な勉強として""微分幾何学/今野宏""を使って微分幾何学を勉強しています。
まだ2章までしか読んでいないのですが、多様体論はある程度勉強している前提で書かれており、ベクトル束のあたりから詳しく載っています(とはいえベクトル束の章も飛ばし気味ではある)
3章からリーマン幾何や多様体上での関数解析などが始まるのですが、この本を読めば微分幾何の大抵の知識は付くと思います(これは先輩からの受け売りです。)
いかがでしたか?
今回は私が1年次、2年次に読んだ教科書などをまとめてみました。
今回紹介した本以外にも""粗幾何学入門/深谷友宏,Fractal Geometry/Kenneth Falconer""などをヒマな時間にパラパラと読んだりしていましたが、ちゃんと勉強はしておらずいつか読みたいなと思っています。
学部4年間も折り返しに来てしまいましたが、また2年後に学部後半の記事も書こうかなと思っています。
3年次、4年次はリーマン幾何や代数トポロジー、複素幾何、測度距離空間の収束理論などの幾何系を中心にを学んでいく予定なのでそのあたりの教科書が増えるかなと思います。
では、ここまで読んでいただき
まどか、さやか、マミ、京子、ほむら、俺「皆さんありがとうございました!」
終
まどか、さやか、マミ、京子、ほむら「って、なんで俺くんが!?改めまして、ありがとうございました!」
本当の本当に終わり