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級数の加速と微分幾何学1

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あいさつ

んちゃ!
この記事はシリーズものになります。
級数を微分幾何学により捉えなおし、級数の加速問題を最適化問題に置き換える事を試みます。
ただし筆者の思い付きにより書いていますので本当にこの目論見が到達できるかに関しては不明です。
それでは、興味を持って頂いた読者の皆様どうか応援のほどよろしくお願いいたします。

関数空間

ベクトル空間

F(D)={f:DC|f}とする。
この時、以下の様な演算を定める。
{f,gF(D):zD:(f+g)(z)=f(z)+g(z)cC:fF(D):(cf)(z)=cf(z)の様に定める。
するとこれはベクトル空間。

[1]結合法則:
f,g,hF(D):zD:(f+(g+h))(z)=f(z)+(g+h)(z)=f(z)+{g(z)+h(z)}={f(z)+g(z)}+h(z)=(f+g)(z)+h(z)=((f+g)+h)(z)
[2]可換性:
f,gF(D):zD:(f+g)(z)=f(z)+g(z)=g(z)+f(z)=(g+f)(z)
[3]零元:zC:0(z)=0を満たす0
[4]逆元:fF(D):zD:f(z)f(z)=0なのでfF(D)は逆元
[5]スカラーに関する分配法則:
ξ,ηC:fF(D):zD:((ξ+η)f)(z)=(ξ+η)f(z)=ξf(z)+ηf(z)=(ξf+ηf)(z)
[6]ベクトルに関する分配則:
ξC:f,gF(D):zD:(ξ(f+g))(z)=ξ(f(z)+g(z))=ξf(z)+ξg(z)=(ξf+ξg)(z)
[7]スカラー積の結合法則:
ξ,ηC:fF(D):zD:(ξ(ηf))(z)=ξ(ηf(z))=(ξη)f(z)=((ξη)f)(z)
[8]1の存在:fF(D):zD:(1f)(z)=1f(z)=f(z)

基本基底

関数空間F(D)について以下の様な関数を定める。
ew(z)={1(z=w)0(zw)
この様な関数を用いると複素数列{fw}wDCに対して以下の式が得られる。
f=wDfwew
この{ew}wDを関数空間F(D)の基本基底という。

内積

二項演算f,gF(D):<f,g>:=γf(z)g(z)d|z|を定義する。これは内積の性質を持つ。

[1]正値性:
fF(D):<f,f>=γf(z)f(z)d|z|=γ|f(z)|2d|z|0
[2]Hermite対称性:
f,gF(D):<f,g>=γf(z)g(z)d|z|=γg(z)f(z)d|z|=γg(z)f(z)d|z|=<g,f>
[3]双線形性:
ξ,ηC:f,g,hF(D):<f,αg+βh>=γf(z){ξg(z)+ηh(z)}d|z|=αγf(z)g(z)dz+βγf(z)h(z)dz=α<f,g>+β<f,h>

計量

基底{fw}wΓF(D)に対して、以下の様な内積を定める。
<fw1|fw2>=γfw1(z)fw2(z)d|z|=gw1,w2

f,gF(D):{ξw}wΓ,{ηw}wΓC s.t. f=wΓξγfγg=wΓηγfγ
<f|g>=w1,w2Γξw1gw1,w2ηw2

この計算見たことありませんか?
例えば微分幾何学とかね!
じゃあさー
微分幾何学で考え直せそうですよねー
例えば基底ってどうやって決めていたか思い出しましょう。
{ξw}wΓCによって定まる位置ベクトル:fについてξw方向の基底をfwとしますと、形式上は次の様にすればいいでしょうねー(棒)

fw=limδξw0δfδξw

ここで注意すべきなのはδf関数の変化分です。
うん。
意味わかんないよね。
だから具体例を提示します。
例えば基底{sin2nπz}nNで張られる部分空間EvenF(D)について考えてみましょう。
{f(z)=n=1ξnδfδξnδfδξn(z)=sin(2nπz)
この式の意味は次の様です。
貴方は、基本周波数2πの正弦波を重ね合わせ音を生成できるシンセサイザを持っています。
そして、鳴っている音が位置ベクトル、第n次高調波の振幅が成分。でっ...第n次高調波の振幅のみを連続的に変形する操作を行い音の変化分を見ると、それは基底sin2nπzとなるというわけです。
それだけです。

直交曲線座標系

基底{fw}wΓF(D)が以下の性質を持つとき直交曲線座標系と呼ぶ。
<fw1,fw2>=gw1δw1,w2(w1,w2Γ)

つまり直交曲線座標系{fw}wΓF(D)に対して以下の式が成り立ちます。
f,gF(D):{ξw}wΓ,{ηw}wΓC s.t. f=wΓξγfγg=wΓηγfγに対して、以下の式が得られますねー
<f,g>=wΓgwξwηwこの式どっかで見たことないですか?
感のいいガキは好きだよ!そう重みです!
重み関数は皆大好きベクトル解析に出てくる直交座標系の計量に対応しているのです。
ほへぇ...ちなみに,,×,Δも考える事が出来るのでは?
たぶんできる。
そこで、パンを食べる時に消化の仕組みを考えない様に、あまり細かい事は気にせずに無遠慮に定義してみる。
厳密性はその手の専門家にお任せしよう。

ちなみに以下では、直交座標系を前提に考えます。
まず、次の定義を考えます。

スカラー場

関数L:F(D)fL(f)CF(D)上で定義されたスカラー場と呼ぶ。

ベクトル場

関数列Aμ:F(D)fAμ(f)C(μΓ)F(D)上で定義されたベクトル場と呼ぶ。

勾配

F(D)上で定義されたスカラー場Lに対して(L)を以下の様に定める。
(L)=wΓδL(f)gwδξwfw

まず、超立体μΓ[ξμ,ξμ+δμ]を考え、以下の様なfμ0方向に直交する面に対する発散を求めてみましょうか。これは簡単な考察から
Aμ(...,ξν+δν,...)νΓ{μ}gν(...,ξμ+δν,...)δνAμ(...,ξν,...)νΓ{μ}gν(...,ξμ,...)δν=1gμ(δAμδξμ+Aμν12gνδgνδξμ)νΓgνδν+o(δ2)

発散

F(D)上で定義されたベクトル場A(f)=μΓAμ(f)fμに対してAを以下の様に定める。
A:=μΓ1gμ(δAμδξμ+AμνΓ{μ}12gνδgνδξμ)=1νΓgνμΓδδξμ(AμνΓ{μ}gν)

ラプラシアン

F(D)上で定義されたスカラー場Lに対してΔ(L)を以下の様に定める。
Δ(L):=1νΓgνμΓδδξμ(δLgμδξμνΓ{μ}gν)

回転部分については下記の様な計算を行う事で定義します。
Aμ(...,ξν,...)gμ(...,ξν,...)δμ+Aν(...,ξμ+δμ,...)gν(...,ξμ+δμ,...)δνAμ(...,ξμ+δμ,...,ξν+δν,...)gμ(...,ξμ+δμ,...,ξν+δν,...)δμAν(...,ξν+δν,...)gμ(...,ξν+δν,...)δν=(δAνδξμ+12gνδgνδξμAν)gνδμδν(δAμδξν+12gμδgμδξνAν)gμδμδν+o(max(δμ2,δν2))

回転

F(D)上で定義されたベクトル場A(f)=μΓAμ(f)fμに対して×Aを以下の様に定める。
(×A)μν:=(δAνδξμ+12gνδgνδξμAν)1gμ(δAμδξν+12gμδgμδξνAμ)1gν=1gμgν{δ(gνAν)δξμδ(gμAμ)δξν}
三次元であれば、ベクトルとして解釈しなおす事が出来ます。

はい...
一応この式自体は、例えば次の文献こちらの文献:Electromagnetic Theoryに既に書いてある既出のものです。
ですが、これ関数に関する微分なので注意が必要です。
因みに、この話をもっと深めていけば物理学では定番の最小作用の原理や機械学習などにおける最適化問題の話に繋げる事も可能でしょう。
ただ、今回は級数の加速を幾何学的に捉える事が目的ですからこの様な話に進んでいくのはやめましょう。

級数の加速と微分幾何学

以下N0={0}Nという記号を定めます。
まず、数列{an}nN0に対して定まる級数S=nN0anを加速したい場合を考えましょう。
この時、重要なのは何か上手い直交座標系{ϕn}nN0F(D)を与えられている場合を考える。
gnδm,n=γϕm(z)ϕn(z)d|z|
この時、関数以下の様な関数を定めると
f(z)=nN0angnϕn(z)
次式が得られる。
S=<nN0ϕn,f>
という事は、あるかどうかはともかく、ユニタリー変換Uが適当に定義出来ればとりあえず別の直交基底系{ϕ^n}nN0が存在して以下の様に書けます。
Uϕn=mN0ϕm^unmゆえに、以下の式を得る。
S=<UnN0ϕn,Uf>=<m,nN0ϕm^unm,m,nN0angnϕ^munm>=m1,m2,n1,n2N0un1m1un2m2an2gn2<ϕ^m1,ϕ^m2>=m1,m2,n1,n2N0un1m1un2m2an2gn2δm1,m2=m,n1,n2N0un1mun2man2gn2=n2N0(m,n1N0un1mun2mgn2)an2
これでは...いけませんね!
ではなんか知らんけどいい感じのスカラー場J(f)が存在して、このJ(f)が最小になるfを定める事でSの収束が最も早くなるとしましょうか。
この場合Lagrangeの未定乗数法を使用すればいいですねー
Lg(f)=J(f)+λ|S<f,g>|
それで、さっき定義した勾配を用いて下記の極値問題を解けば良さそうです。
(Lg)n=δgμδξn(J(f)+λ|S<f,g>|)=0
つまり、正体不明のJ(f)が存在して上述の計算が出来さえすれば(👈ここ重要)級数の加速と微分幾何学との繋がりが明確になりますねー

最後に

今回はとりあえず思いついた事を書きました。
突拍子のないトンでも理論かもしれませんが、この理論が面白いと思って頂けた方引き続き読んで頂けると嬉しいです。
このシリーズは不定期で更新していきます。

投稿日:430
更新日:430
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