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微分を拡張しよう 箱と玉の微分(1) はじめに

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はじめに

こんにちは。Kambing ゆっくんと申します(改名しました・・・)。数学は専門ではないので、間違いがあっても大目に見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

色の塗り分け問題を考えていたときに、箱と玉で微分を拡張できることに気づきました。どういうことかというと、箱に玉を入れることは、微分の積の法則と似ている、という気づきを得たのです。

箱と玉の微分

1階微分

1階微分はこんな感じです。
1個の玉 1個の玉
左辺は玉を箱に入れる前の状態で(AB)に相当します。右辺第一項は箱Aに玉が入っている状態でABに相当します。右辺第二項は箱Bに玉が入っている状態でABに相当します。
これを1(AB)=(1A)B+A(1B)と書きましょう。

2階微分

2階微分はこんな感じです。
2個の玉(異なる色) 2個の玉(異なる色)
右辺第一項は箱Aに2個の玉が入っている状態でABに相当します。右辺第二項は箱Aと箱Bにそれぞれ1個の玉が入っている状態で2ABに相当します。玉の入り方は2通りあるため、係数が2となります。右辺第三項は箱Bに2個の玉が入っている状態でABに相当します。
これを12(AB)=(12A)B+2(1A)(1B)+A(12B)と書きましょう。より高階の場合についても、箱と玉の微分と従来の微分の間には同様の類似が成り立ちます。箱と玉という、完全に離散的な構造にも、微分と同じような演算が存在するのです!!!そして箱と玉の微分には、従来の微分にはない、色という自由度を持ちます。つまり微分の拡張とみなせます。

同じ色の2階微分

では同じ色の玉を入れるとどうなるか。
2個の玉(同じ色) 2個の玉(同じ色)
こうなりますよね。右辺第二項は箱Aと箱Bにそれぞれ1個の玉が入っている状態ですが、玉の入り方は1通りしかないので係数が1となり、通常の2階微分とは異なるものとなります。
これを2(AB)=(2A)B+(1A)(1B)+A(2B)と書きましょう。箱と玉の微分の2階微分は二種類あるわけです。

ちゃんと定義しよう

ちゃんと定義しましょう。

箱と玉の定義

箱の可換則(和)A+B=B+A箱の可換則(積)AB=BA玉の可換則nm=mn恒等変換0A=Aスカラー倍n(kA)=k(nA)和の法則n(A+B)=nA+nB積の法則n(AB)=k=0n(kA)(nkB)

また従来の微分でxに相当するものとして、もっとも基本的な箱を定義します。

小箱の定義

npm={1n=m0それ以外
このpm大きさmの小箱と呼ぶこととします。

エクササイズ

ちょっとしたエクササイズをしてみましょう。まずnmのとき、
1np1m=m!(mn)!p1mn
となり、係数に順列が現れます。これは通常の微分の
dndxnxm=m!(mn)!xmn
と同じで、積の法則から簡単に分かります。区別できるm個の大きさ1の小箱p1に、区別できるn個の玉を入れる場合の数が係数に現れる、と解釈できます。では同じ色の玉の場合はどうなるでしょうか。積の法則から地道に計算すると次のようになります。
np1m=mCnp1mn
係数に二項係数が現れます。区別できるm個の大きさ1の小箱p1に、区別できないn個の玉を入れる場合の数が係数に現れる、と解釈できます。箱と玉の微分は組合せ論と相性がよさそうです。

今後考えたいこと

物理現象を微分方程式で記述できるように、組合せ論の問題も、箱と玉の微分方程式で記述して、いろいろと考察してみる、という記事を書く予定です。ところで箱と玉の微分には、どこまで従来の微分と同じような議論が展開できるのでしょうか?実は、箱と玉の微分にもテイラー級数展開や合成関数の微分公式の類似が存在するのです。だから場合の数を求めるという問題も、級数展開して求めたりできるというわけです。かなり筆遅になると思いますが、これについても後々の記事で説明していきたいと思います。よろしくお願いします。

投稿日:27日前
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東京で技術職の地方公務員をやっています。思いついたことを投稿します!

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