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関数の双対性とa-Hermite多項式

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まず, 数列anの双対数列bn
bn:=k=0n(1)k(nk)ak
によって定義される. 名前の通り, 双対数列の双対数列はもとの数列に一致する. つまり,
an=k=0n(1)k(nk)bk
が成り立つ. 定義式の両辺の母関数を考えると, 等式
0nbnxn=11x0nan(xx1)n
を得る. よって, 母関数の間の関係を一般化して
g(x):=11xf(xx1)
と定義されるgfの双対関数ということにする. これを拡張して, fa双対関数を
(1x)af(xx1)
によって定義することにする. 定義より, a双対のa双対はもとの関数に戻ることが分かる. ここから数列に対して, その母関数のa双対の係数として, 数列のa双対を定めることができる.

a-Hermite多項式

前の記事において, a-Hermite多項式として,
n(a)(x)=[a]nk=0n(n)kk!(a)kxk
を導入した([a]n:=(a)nn!). その母関数を考えてみると,
0nn(a)(x)tn=0n(a)ntnk=0n1k!(nk)!(a)k(x)k=0n,k(a)n+kk!n!(a)k(xt)ktn=(1t)a0n1k!(xt1t)k=(1t)aextt1
よって, a-Hermite多項式は多項式列xnn!a双対であると解釈できる.

第1種完全楕円積分

a類似においてa=12a=1は特別であると考えているが, a=12の場合の具体例として第1種完全楕円積分を考えてみる. 以降, 12双対を単に双対ということにする.

βn:=(12)nn!として, 第1種完全楕円積分の変換,
0nβn2xn=11x0nβn2(xx1)n
は双対の例で, そのa類似は
0n[a]n2xn=(1x)a0n[a]n[1a]n(xx1)n
となり, a双対の具体例を与える. この例からも分かるように, a=12の場合はa=1aであることによって自己双対になっているので特別である. Hermite多項式によって展開される関数,
f(x)=0nβnn(x)
を考える. この級数の収束性を示すのはかなり難しいので, ここでは収束性の問題は考えず, 形式的な計算を行うことにする. 直交性によって,
1π0f(x)n(x)exdxx=βn2
が成り立つ. ここから, Hermite多項式がxnn!の双対だったことと, βn2が自己双対だったことを思い出すと,
1n!π0f(x)xnexdxx=βn2
が成り立つことが分かるので, 適当な条件の元Mellin逆変換などを用いてこの表示からf(x)を具体的に調べることができる. 一般にa-Hermite多項式とa双対の関係はかなり応用が効きそうなので, q類似についても考えてみたいと思った.

投稿日:2024319
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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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