holomorphic convexityの一般化にbundle convexityがある.以下それをまとめる.
以下,複素解析空間はreducedな物を考える.
Grauertは射影多様体における有理型領域を研究するために次の概念を導入した.
$X$を複素解析空間,$L$を$X$上の正則直線束とする.
$X$が$L$-convexであるとは,各コンパクト集合$K\subset X$に対しあるコンパクト近傍$K'\supset K$が存在し,任意の$x\in X\setminus K'$について次を満ことをいう:
Asserda,Pinneyは次の弱い定義をした.
$X$を複素解析空間,$L$を$X$上の正則直線束,$h$を$L$上のhermitian metricとする.
$X$が(sequentially)$L$-convexであるとは,任意の無限離散集合$\{x_n\}\subset X$に対し,切断$\sigma\in\Gamma(X,L)$が存在して,$\|\sigma(x_n)\|_h$が非有界となることをいう.
また,Vâjâituは次の定義を導入した.
$X$を複素解析空間,$L$を$X$上の正則直線束,$h$を$L$上のhermitian metricとする.
$X$が$(L,h)$-convex であるとは,任意のコンパクト集合$K\subset X$に対し,
$$ \widehat{K}_h:=\{x\in X\mid \|\sigma(x)\|_h \leq \max_{y\in K}\|\sigma(y)\|_h, \text{for all } \sigma\in\Gamma(X,L) \} $$
がコンパクトとなること.
簡単な考察で,(定義1)$\Longrightarrow$(定義2)$\Longrightarrow$(定義3) が分かる.
一方,その逆は成り立たない.V19Vâjâitu(2019)はその例を挙げた.
$M$をコンパクトな$n$次元複素多様体,$F$を$M$上の正則直線束とする.$A \subsetneq M$を有限個の切断$s_0,\dots,s_q\in \Gamma(M,F)$の零点集合で,余次元は$2$以上とする.$X:=M\setminus A$,$L:=F|_X$とおき,$v\in L_x$に対しmetricを次のように取る:
$$ \|v\|^2= \frac{|v|^2}{|s_0(x)|^2+\cdots+|s_q(x)|^2} $$
すると,$X$は(定義2)を満たすが,(定義1)を満たさない.これは$\Gamma(X,L)\cong\Gamma(M,F)$が有限次元であることから分かる.
$$ X_q= \left\{z\in \mathbb{P}^n\middle| \sum_{i=q+1}^{n}|z_i|^2<\sum_{i=0}^{q}|z_i|^2 \right\} ,\ q=2,3,\dots ,n $$
とおき,直線束を$L:=\mathcal{O}(1)|_{X_q}$とし,Fubini-Study metricから誘導されたmetricを入れる.すると,(定義3)を満たすが,(定義2)を満たさない.これは自然な写像$\pi:X_q\to \mathbb{P}^q$がlocally Steinでないため.
Stein spaceを一般化するものとしてBarletとSilvaが導入した次の概念がある.
$X$を複素解析空間,$\pi:X\to \mathbb{P}^{q-1} $を正則写像とする.$L=\pi^* \mathcal{O}_{\mathbb{P}^{q-1}}(1) $とおき,$L$上のhermitian metric $h_*$を$\mathbb{P}^{q-1}$上のFubini-Study metricを引き戻したものとする.
$q=1$のとき,$X$はSteinである.また,Stein空間にはexhaustiveなspsh関数が存在したが,$q$-Stein空間にも次のことが言える.
$q$-Stein空間はkählerかつ$q$-completeである.
$X$を複素解析空間,$L$を$X$上の正則直線束とする.
点$x\in X$が$\Gamma(X,L)$によって孤立している(isolated)とは,ある有限個の切断$\sigma_0,\dots,\sigma_N\in\Gamma(X,L)$と$x$の近傍$U$が存在して,$\sigma_0,\dots,\sigma_N$は$U$上同時に$0$にならず,写像$\theta:U\to \mathbb{P}^{N};x\mapsto (\sigma_0(x),\dots ,\sigma_N(x))$は$\theta^{-1}(\theta(x))=\{x\}$を満たす.
$L$が自明のとき,この条件は$K$-completeであることを指している.点$x\in X$が$\Gamma(X,L)$によって孤立しているとき,有限個の切断$\sigma_0,\dots,\sigma_N\in\Gamma(X,L)$が存在して,$x$は$\{x\in X\mid \sigma_0(x)=\cdots=\sigma_N(x)=0 \}$の孤立点になる.
$X$を$n$次元複素解析空間,$L$を$X$上の正則直線束とする.
各点$x\in X$が$\Gamma(X,L)$によって孤立しているとき,$X$上同時に$0$にならないある有限個の切断$\sigma_0,\dots,\sigma_k\in\Gamma(X,L)$が存在して,$\pi:X\to \mathbb{P}^{k};x\mapsto (\sigma_0(x),\dots ,\sigma_k(x))$は離散ファイバーを持つ.
$X,Y$を複素解析空間,$f:X\to Y$を離散ファイバーを持つ正則写像とする.もし$Y$がkählerならば,$X$もkählerである.
この定理を使うと次のことが直ちに分かる.
$X$を$n$次元複素解析空間,$L$を$X$上の正則直線束とする.各点$x\in X$が$\Gamma(X,L)$によって孤立しているとき,$X$はkählerである.
$X$を複素解析空間,$L$を$X$上の正則直線束,$h$を$L$上のhermitian metricとする.さらに,$X$は$(L,h)$-convexかつ$\Gamma(X,L)$によって孤立しているとする.
もし$L$がmetrically weakly $q$-concaveならば,$X$は$q$-completeである.