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二項係数m飛ばしの和

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二項係数$m$飛ばしの和

(※)パソコン等の大きめの端末推奨

本題の前に

目次

1.本題の前に

$1-1$. ご挨拶と初めに
$1-2$. $4$飛ばしの和

2.本題 一般化へ($m$飛ばしの和)

$2-1$. 準備
$2-2$. 二項定理に適応
$2-3$. 確認

3.公式作ってみよう

$3-1$ $3$飛ばし和の公式を作ろう

$4.$最後に

$ $


ご挨拶と初めに

皆様ごきげんよう。フラワと申します。
まずは対象者として、本稿は複素数を扱いますのでそこまでは履修していて欲しいです。
高校範囲で完結させていますのでぜひともご覧ください。
では少し前書きとして、二項定理の展開式
$\displaystyle(1+x)^n=\sum_{j=0}^{n}{}_nC_jx^j $
において、$ x=1 $$x=-1 $を代入することで、
$\displaystyle\sum_{j=0}^{n}{}_nC_j=2^n, \qquad \sum_{j=0}^{n}(-1)^j{}_nC_j=0 $
などの公式が得られることはよく知られています。
一応軽く説明しておきましょうか。(わかる人は囲い枠のとこ飛ばしましょう)

$1.$ $x=1$を代入することで二項展開を合わせて
$\displaystyle(1+1)^{n}=\sum_{k=0}^{n}{}_n \mathrm{ C }_k=2^{n}$
$ $
$2.$$x=-1$を代入することで二項展開を合わせて
$\displaystyle(1-1)^{n}=\sum_{k=0}^{n}{}_n \mathrm{ C }_k(-1)^{k}={}_n \mathrm{ C }_0-{}_n \mathrm{ C }_1+ \cdots +(-1)^{n}{}_n \mathrm{ C }_n =0$
また、マイナスの項だけ移行して同値変形すると、
$\displaystyle {}_n \mathrm{ C }_0+{}_n \mathrm{ C }_2+{}_n \mathrm{ C }_4+ \cdots ={}_n \mathrm{ C }_1+{}_n \mathrm{ C }_3+{}_n \mathrm{ C }_5 +\cdots $
となり、偶数番目=奇数番目が成り立ちます。
$ $
$3.$さらに、上記で得た式を合わせて、
$\displaystyle {}_n \mathrm{ C }_0+{}_n \mathrm{ C }_2+{}_n \mathrm{ C }_4+ \cdots ={}_n \mathrm{ C }_1+{}_n \mathrm{ C }_3+{}_n \mathrm{ C }_5 +\cdots =2^{n-1}$
$ $

これに加えて実は$4$飛ばしの和
$\displaystyle {}_n \mathrm{ C }_0+{}_n \mathrm{ C }_4+{}_n \mathrm{ C }_8+ \cdots $
を求めることが可能なんです。
まずはこれについて見ていきましょう。

二項係数$4$飛ばしの和

先に少し言ってしまいましょうか、実は虚数($i,-i$)を用いるんですね。
二項定理に $x=i$ を代入すると、
$(1+i)^n={}_nC_0+{}_nC_1 i+{}_nC_2 i^2+{}_nC_3 i^3+\cdots $
となります。ここで、
$i^0=1,\quad i^1=i,\quad i^2=-1,\quad i^3=-i,\quad i^4=1$
であり、以降は周期 4 で繰り返します。
したがって、実部虚部で分けると、
$(1+i)^n=({}_nC_0-{}_nC_2+{}_nC_4-\cdots)+i({}_nC_1-{}_nC_3+{}_nC_5-\cdots)$
となります。
同様に、$-i$を代入し、
$(1-i)^n=({}_nC_0-{}_nC_2+{}_nC_4-\cdots)-i({}_nC_1-{}_nC_3+{}_nC_5-\cdots) $

を得られて、ここで両式を足すと、
$ (1+i)^n+(1-i)^n=2({}_nC_0-{}_nC_2+{}_nC_4-\cdots)$

となるので、
$\displaystyle{}_nC_0-{}_nC_2+{}_nC_4-\cdots=\frac{(1+i)^n+(1-i)^n}{2} \cdots ① $
を得る。

$ (1+1)^n+(1-1)^n={}_nC_0+{}_nC_2+{}_nC_4+\cdots=2^{n-1} \cdots ②$

$ A={}_nC_0+{}_nC_4+{}_nC_8+\cdots$
$B={}_nC_2+{}_nC_6+{}_nC_{10}+\cdots$
とおくと、(求めるものは$A$)
$A+B=2^{n-1} \quad(∵②)$
$\displaystyle A-B=\frac{(1+i)^n+(1-i)^n}{2}   \quad (∵①)$
となるので、これらを足し合わせて、
$\displaystyle 2A=2^{n-1}+\frac{(1+i)^n+(1-i)^n}{2}$
より、両辺$2$で割って
$\boxed{{}_nC_0+{}_nC_4+{}_nC_8+\cdots=2^{n-2}+\frac{(1+i)^n+(1-i)^{n}}{4}}$
を得る。
さて、これは複素数だから当然極形式(三角関数)で表現できる。

三角関数で表現する

複素数平面で考えると、
$\displaystyle1+i=\sqrt2\left(\cos\frac{\pi}{4}+i\sin\frac{\pi}{4}\right) $
ド・モアブルの定理より、
$\displaystyle(1+i)^n=(\sqrt2)^n\left(\cos\frac{n\pi}{4}+i\sin\frac{n\pi}{4}\right) $
同様に、
$\displaystyle(1-i)^n=(\sqrt2)^n\left(\cos\frac{n\pi}{4}-i\sin\frac{n\pi}{4}\right)$
となる。したがって、
$\displaystyle(1+i)^n+(1-i)^n=2(\sqrt2)^n\cos\frac{n\pi}{4} $
を得る。
$\boxed{{}_nC_0+{}_nC_4+{}_nC_8+\cdots=2^{n-2}+2^{\frac n2-1}\cos\frac{n\pi}{4}}$
が成り立つ。

このように$4$つとばしの和を求めることができる。

本題 一般化へ($m$飛ばしの和)

$ {}_nC_0+{}_nC_m+{}_nC_{2m}+\cdots$
のような「$m$飛ばしの和」は、どのように求めればよいのでしょうか。
恐らく$(1+x)^{n}$を利用していくだろうことが分かりますね。
そこで一見すると、特定の項だけを取り出すのは難しそうに見えます。
しかし、先ほどの$4$のとき用いたのは$1,-1,i,-i$でしたね。
これ、どこか$4$との関わり見覚えありませんか?
そうです、$1$$4$乗根ですね。
実は複素数平面における「$1$$m$乗根」を利用すると、必要な項だけを綺麗に抽出することができます。
本記事では、その一般公式を高校数学の範囲で導出します。

使用記号
$a\mid b,a \nmid b$

$a\mid b・$$a$$b$を割り切るつまりは$b$$a$の倍数($a$$b$の約数)
$a \nmid b・$上とは逆に割り切らないと考えればよい。
(どっちがどっちか混乱する人は、縦線を割り切ると読み、左から順に$a$$b$を割り切ると読もう。)

$1$. 準備: $1$$m$ 乗根について

$ z^m=1$の解を考えます。
ド・モアブルの定理より、その$m$個の解$\omega_k (k=0,1,\dots,m-1)$は、
$\displaystyle \omega_k= \cos\frac{2k\pi}{m} +i\sin\frac{2k\pi}{m} \qquad (k=0,1,\dots,m-1)$
で与えられます。
これらについて、次の補題が成り立ちます。

整数 $j$ に対して、
$\omega_0^j+\omega_1^j+\cdots+\omega_{m-1}^j = \begin{cases} m &(m\mid j)\\ 0 &(m\nmid j) \end{cases} $
が成り立つ。

$m\mid j $ のとき
$ j=mq$ ($q \in \mathbb{Z} $)と書けるので、
$\omega_k^j = (\omega_k^m)^q = 1 $
である。
したがって、$\omega_0^j+\omega_1^j+\cdots+\omega_{m-1}^j = m $となる。

$m\nmid j $のとき
$ \omega_k=(\omega_1)^k$より、$\cdots(※)$$\omega_0^j+\omega_1^j+\cdots+\omega_{m-1}^j = 1+\omega_1^j+(\omega_1^j)^2+\cdots+(\omega_1^j)^{m-1} $
となり、これは初項 $1$、公比 $\omega_1^j\neq1 $ の等比数列であるから、
(与式)$\displaystyle= \frac{(\omega_1^j)^m-1}{\omega_1^j-1} $
となる。
$ (\omega_1^j)^m = (\omega_1^m)^j = 1$
より、$\omega_0^j+\omega_1^j+\cdots+\omega_{m-1}^j = 0 $
が従う。
$ \cdots ■ $

(※)$ \omega_k=(\omega_1)^k$について
$\displaystyle \omega_k= \cos\frac{2k\pi}{m} +i\sin\frac{2k\pi}{m} \qquad (k=0,1,\dots,m-1)$
にド・モアブルの定理を合わせる、または
$k$回転して戻ってきたと考えてもどちらでも考えてわかります。

$2$. 二項定理に適用する

$ (1+x)^n = {}_nC_0 + {}_nC_1x + {}_nC_2x^2 +\cdots + {}_nC_nx^n$
ここで$x=\omega_0,\omega_1,\dots,\omega_{m-1}$
をそれぞれ代入すると、
$(1+\omega_0)^n = {}_nC_0 + {}_nC_1\omega_0 + {}_nC_2\omega_0^2 +\cdots$
$ (1+\omega_1)^n = {}_nC_0 + {}_nC_1\omega_1 + {}_nC_2\omega_1^2 +\cdots$

$\vdots $
$(1+\omega_{m-1})^n = {}_nC_0 + {}_nC_1\omega_{m-1} + {}_nC_2\omega_{m-1}^2 +\cdots $
となる。
これらを縦に足し合わせる。
すると、 ${}_nC_j $の係数は$ \omega_0^j+\omega_1^j+\cdots+\omega_{m-1}^j$
となる。
ここで補題より、$j $$m$ の倍数なら係数は $m$
それ以外なら係数は $0$となるので、$m$の倍数番目の項だけが残る。
したがって、
$(1+\omega_0)^n +(1+\omega_1)^n +\cdots +(1+\omega_{m-1})^n = m \left( {}_nC_0 + {}_nC_m + {}_nC_{2m} +\cdots \right) $
を得る。
故に

$\boxed{ {}_nC_0+{}_nC_m+{}_nC_{2m}+\cdots = \frac1m \sum_{k=0}^{m-1}(1+\omega_k)^n }$

が成り立つ。これが「$m$飛ばしの和」の一般公式である。
$\displaystyle {}_nC_0+{}_nC_m+{}_nC_{2m}+\cdots=\frac1m\sum_{k=0}^{m-1}(1+\omega_k)^n $

確認

$m=2$ を確かめる
一般公式が本当に正しいか、まずはよく知られた$m=2$ の場合を確かめてみる。
$1$$2$乗根は
$1,\ -1 $であるから、
$ {}_nC_0+{}_nC_2+{}_nC_4+\cdots = \frac12 \left( (1+1)^n+(1-1)^n \right)$
となるので、
${}_nC_0+{}_nC_2+{}_nC_4+\cdots = 2^{n-1} $
を得る。
偶数番目の二項係数の和は $2^{n-1} $という有名な結果と一致しましたね。

$3$飛ばし和の公式を作ろう

$ m=3$の場合を考える。
$1$$3$乗根を$ 1,\ \omega,\ \omega^2$とする。
$\displaystyle1+\omega= \cos\frac{\pi}{3} +i\sin\frac{\pi}{3} $(計算略$\cdots$ちなみに$0,1,\omega,1+\omega$を結ぶと面白いよ)
である。よって、ド・モアブルの定理より、
$\displaystyle(1+\omega)^n = \cos\frac{n\pi}{3}+i\sin\frac{n\pi}{3} $
となる。
同様に、
$\displaystyle(1+\omega^2)^n = \cos\frac{n\pi}{3} -i\sin\frac{n\pi}{3}$
であるから、
$\displaystyle {}_nC_0+{}_nC_3+{}_nC_6+\cdots = \frac13 \left( 2^n + (1+\omega)^n + (1+\omega^2)^n \right) = \frac13 \left( 2^n + 2\cos\frac{n\pi}{3} \right)$
を得る。故に、
$\boxed{ {}_nC_0+{}_nC_3+{}_nC_6+\cdots = \frac13 \left( 2^n+2\cos\frac{n\pi}{3} \right) }$
が成り立つ。

おわりに

改めて定理という形で結論をまとめておきましょうか。

二項係数$m$飛ばしの和

$z^m=1$$m$個の解を$\omega_k (k=0,1,\dots,m-1)$と置くと、
二項係数の$m$飛ばしの和は
$\boxed{ {}_nC_0+{}_nC_m+{}_nC_{2m}+\cdots = \frac1m \sum_{k=0}^{m-1}(1+\omega_k)^n }$
で表される。

です。
いかがだったでしょうか。
中々見たことのない和だったと思います。
二項係数は様々な活用があるので是非色々調べたり実験してみたりしてください。
改めて、最後までお読みいただきありがとうございました。
皆さんの日常に良き数学の彩のあらんことを。それでは、ごきげんよう。

追記
ところで恐らく整数解法シリーズの1章にて、恐らく二項係数の知識としてのところでこの記事を紹介してると思うのだけれど、
そこから戻ってきた方もいらっしゃるのかな?
(これ書いてる当初は完成してないのでまだ確実に居ないけど)

投稿日:3時間前
更新日:1時間前
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