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現代数学解説
文献あり

Hirsch 微分トポロジーの問題1.1.13 ANR

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問題1.1.13 絶対近傍レトラクト

 パラコンパクトHausdorff多様体はANR(絶対近傍レトラクト)である。

 前提として、ANRとは次のような性質のことである。

絶対近傍レトラクト

 距離化可能空間$X$が、任意の距離化可能空間$Z$に閉集合として埋め込まれているとき、$X$$Z$におけるある近傍$U$が、$X$へのレトラクト(変位、retract)になるときANR(絶対近傍レトラクト)という。

 (実は元の問題にはHausdorff性が仮定されていないが、この定義を見れば分かるように明らかにHausdorff性の仮定が必要のため、本記事ではそれを仮定している。)
 このレトラクトというのはホモトピー論で頻出の概念で、なんか良い感じに曲面を潰せるという、そういう概念である。

レトラクト

 位相空間$X$の部分集合$A$に対して、$X$から$A$への連続写像$r: X → A$で、$A $上では恒等写像になるものをレトラクトという。

 さて、実はANRについて、以下の定理が知られている。

局所コンパクトパラコンパクトHausdorff空間は、ANRである。

 よってこれを認めれば、多様体が局所コンパクトである事は各点近傍チャートを小さく取ればすぐに示せるため、一行で証明が終わる。
 ただ、この知られている定理を証明しようといろいろ調べたところ、普通に難しすぎたのでここには書けず…。
 気が向いたらその証明を追加しようと思いますが、少なくとも十年くらいは気が向かないと思います。未来の私に託します。
リ:(タイムパラドックス…!!)

 一応、証明の概略は以下のような形です。
 パラコンパクト・ハウスドルフ空間では任意の開被覆に従属する 1 の分割が存在する。次に、局所コンパクトハウスドルフ性から、各点の小近傍をその内側へ「押し込む」近傍変形が構成できる。これらを貼り合わせて、閉集合上の写像を近傍へ拡張する。

 気持ち的には、各点で小さい開近傍をとってそれに従属する1の分割を全部足し合わせた写像は、もとの多様体の上では1になって、その多様体を離れると0に滑らかに写るものなので、あとは多様体からはみ出してしまった1になる部分を多様体の形にそってキュッと縮めればそれが求めるレトラクトですよねという、そういう感じです。

参考文献

[1]
M.W.Hirsch(松本堯生(訳)), 微分トポロジー, p17
投稿日:13日前
更新日:5日前
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