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自然数の逆数和に関する整数問題3選 その1

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【受験数学】自然数の逆数の和に関する整数問題3選

本記事はpart1です。

nを2以上の整数とするとき
$$Sn=\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{k}は整数値を取らないことを示せ。 $$

直感的には当たり前(?)かもしれないですが、示すのは一筋縄では行かないようです。色々実験してみましょう.
Snを既約分数で表す時、
$$ S4=\frac{25}{12}, S5=\frac{137}{60}, S6=\frac{147}{60}, S7=\frac{1099}{420}, S8=\frac{2303}{840} $$
となります.実験より、分子=奇数、分母=偶数ではないかと推測できそうです。

実際にこれらを証明していきます.
まず分母=偶数を示します。既約分数で表した時の分母は2〜nの最小公倍数ですから、この時点で分母=偶数であることが言えます。

さて本題ですが、分子=奇数であることを証明していきます。
2≦k≦nにおいて
$$ Tk=\frac{k}{L} $$
とおくとき、分子は

$$ 分子=1+\sum_{k=2}^{n}Tk $$
の形で表されます
Tkに関してもう少し深く実験を進めていくと、
n=4では Tkは順に6,4,3
n=5では Tkは順に30,20,15,12
n=6では Tkは順に30,20,15,12,10
n=7では Tkは順に210,140,105,84,70,60
n=8では Tkは順に420,280,210,168,140,120,105

どうでしょうか?1つだけ奇数で他は偶数になっていそうですよね。これが正しければ分子が奇数であることがわかるため、分母の偶奇性の違いにより題意が示されます。これを示しましょう! .

Tkはただ一つのkで奇数値を取り、その他の場合では偶数である。

上の実験で奇数になっている項は
n=4,5,6,7の時はk=4
n=8の時はk=8

kが2の冪乗の時にTkが奇数になることが予想できそうです。

2の素因数に注目すれば、最大公約数Lとkの2の素因数が等しくなる時はTkは奇数になりますよね.問題はそのようなkがただ一つしかないということです、これを示します.

nに対して、nを超えぬ最大の2の冪乗数は$$ 2^{m}とおけます。$$
$$ 2^{m}の定め方より、 $$$$ 2^{m}≦n ≦2^{m+1}$$が成立することになるが、これは補題の成立を意味します。$$2^{m}の倍数はいずれも$$$ 2^{m} 以外nより大きいためです。$

したがって補題は示され、これによって題意が成り立つことが言えます。

定石 整数問題の基本3原則

①因数分解
②不等式を立てて範囲を絞る
③余りや素因数に注目する

受験の整数問題は基本この3原則の組み合わせで解けることが多いはずです。今回は2の素因数に注目しました。

投稿日:202377

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y
y
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Mathlog始めました。OMC水。競技数学の記事を書けるだけの才は無いので基本受験数学の投稿が多くなるかと思います、よろしくお願いします!

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