ここでは東工大数学の2024−5の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
整数$(a,b)$で、$2$次多項式$f(x)=x^2+ax+b$の全ての根が$1$の巾根であるようなものを全て求めなさい。
まず$f$の根が実数であるとき、$(a,b)=(0,-1),(2,1),(-2,1)$である。以下虚数根を持つ場合を考える。この根を$\alpha,\overline{\alpha}$とすると、
$$
b=\alpha\overline{\alpha}=\sqrt[n]{\alpha^n\overline{\alpha}^n}=\sqrt[n]{1}=1
$$
である。ここで$f$は虚数根を持つから、$a^2-4<0$である。よって$a=0,\pm1$である。$a=0$のとき$f$の根は$\pm \sqrt{-1}$、$a=1$のとき$f$の根は$\frac{-1\pm \sqrt{-3}}{2}$、$a=-1$のとき$f$の根は$\frac{1\pm \sqrt{-3}}{2}$であるからいずれも条件を満たしている。よって$(a,b)=\color{red}(0,\pm1),(\pm2,1),(\pm1,1)$である。