こんにちは。ここでは、タイトルにある通りみんな大好き黄金比の常用対数について考えたいと思います。以下問題。
$\displaystyle0.206< \log_{10}\frac{1+\sqrt5}{2}<0.213$を示せ.
ただし、$\displaystyle 0.3010<\log_{10}2<0.3011,0.4771<\log_{10}3<0.4772,2.236<\sqrt5<2.237$である.
前提知識として今回与えたのは$2,3$の常用対数と$\sqrt5$の近似値ですが、これだけで示していきたいと思います。以下証明。
※できるだけわかりやすく説明しようと思っているので、ちょっと冗長なところもあるかもです。
まず、真数が和の形ではまともに評価できないので、積の形に直すことを目指します.
さらに、$\displaystyle \phi=\frac{1+\sqrt5}{2}$としておきます.
$\sqrt5m=\phi$を満たす実数$m$を求めると、$\displaystyle m=\frac{5+\sqrt5}{10}$であることがわかり、これを与えられた$\sqrt5$の値に従うと、
$$ 0.7236< m<0.7237$$
という不等式が導かれます.
ここで、与えられた常用対数の値が$2,3$であることを考えて、$7$や$11$などの素数がでないかつ、この不等式の値に近いものを探すと、$0.72$と$0.729$が候補に挙がります.
したがって、初めの等式から
$$ \frac{72\sqrt5}{100}<\phi<\frac{729\sqrt5}{1000}$$
が得られます.
ここで、常用対数を取ると、
$$ \log_{10}\frac{72\sqrt5}{100}<\log_{10}\phi<\log_{10}\frac{729\sqrt5}{1000}$$
となり、この不等式が題意を満たしていればいいわけです.
\begin{eqnarray}
\log_{10}\frac{72\sqrt5}{100}
&=& \log_{10}72+\log_{10}\sqrt5-\log_{10}100 \\
&=& 3\log_{10}2+2\log_{10}3+\frac{1}{2}(1-\log_{10}2)-2 \\
&=& \frac{5}{2}\log_{10}2+2\log_{10}3-\frac{3}{2}
\end{eqnarray}
したがって、
$$ \displaystyle 2.5×0.3010+2×0.4771-1.5<\log_{10}\frac{72\sqrt5}{100}<2.5×0.3011+2×0.4772-1.5$$
これを整理すると、
$$ 0.2067<\log_{10}\frac{72\sqrt5}{100}<0.20715$$
が得られます.
次に、$\displaystyle \log_{10}\frac{729\sqrt5}{1000}$についても同じように考えます.
$729=9^3=3^6$であることを覚えておけば計算できるでしょう.
\begin{eqnarray}
\log_{10}\frac{729\sqrt5}{1000}
&=& \log_{10}729+\log_{10}\sqrt5-\log_{10}1000 \\
&=& 6\log_{10}3+\frac{1}{2}(1-\log_{10}2)-3 \\
&=& 6\log_{10}3-\frac{1}{2}\log_{10}2-\frac{5}{2}
\end{eqnarray}
したがって、
$$6×0.4771-0.5×0.3010-2.5<\log_{10}\frac{729\sqrt5}{1000}<6×0.4772-0.5×0.3011-2.5$$
これを整理すると、
$$ 0.2121<\log_{10}\frac{729\sqrt5}{1000}<0.21265$$
よって、$\displaystyle 0.2067<\log_{10}\frac{1+\sqrt5}{2}<0.21265$であるから、
$$0.206< \log_{10}\frac{1+\sqrt5}{2}<0.213$$
となり、題意を示すことができました.
うまいこと高校数学の範囲で$\displaystyle \log_{10}\frac{1+\sqrt5}{2}$のおおよその値を求めることができました。
今回使った手法『和→積』というのは三角関数ではないですが、対数関数でも案外使えそうなことがわかりましたね。
このやり方がこの問題で通用したなら、ほかのさまざまな実数にも適用できそうです。そうなると、全実数の常用対数の近似値を求めるのも可能なのかもしれないですね。
その時間と労力があるかは別として...。
また、$0.206$から$0.213$という評価でしたが、積の形に直す際の$m$に近い有理数をより厳密に選べばもっと狭い範囲にできると思います。
ここでは、与えた常用対数の値や$\sqrt5$の値に制限があったのでここまでの評価にしましたが、興味がある方はこのやり方でもっと自由に近似してみてください。
以上黄金比の常用対数についてでした!
別解として、黄金比の性質$\phi^2=\phi+1$を利用して、$\phi^3$を近似する手法もあります。
近似値した後は、上記と同じようにその近似値に近い有理数を選んで不等式で挟む、といった流れになります。興味があったらこのやり方で解いてみてください。
あと、他にこんな解き方があるよ!という方はぜひコメントにて教えてください。
(大学数学の範囲でも全然かまわないですが、僕はそこまではわからないです....)
別記事で載せた問題があるのですが、それを今回のテーマに沿った形の問題にしてみました。
受験数学の難問を久しぶりに解きたい人は解いてみてください。
$n$を$6$で割ると$1$余る正整数とし、
$x>0$ のとき
$$ f(x)=
\frac{x^{2n}-x^n+1}{x^2+x+1}
+
\frac{x^{2n}+x^n+1}{x^2-x+1}$$
と定める.
さらに、$f(x)$を通分して得られる分子の多項式を$p(x)$とし、$p(x)$を$x^4+x^2+1$で割ったときの商を$q(x)$としたとき、
$$ g(x)=f(x)-q(x)$$
と定める.このとき各問いに答えてください. ただし、必要であれば以下の常用対数の値を用いてよい.
(1)$x$が正整数であるとき、$p(x)$の値が合成数であることを証明してください.
(2)$f(m)$の整数部分がちょうど$30$桁となる最小の正整数$m$およびそのときの$n$の値を求めてください.
(3)$g(x)$が整数値を取るような$x$の値をすべて求めてください.
(4) (3)で求めた値を$\alpha$とする.
$\alpha$の整数部分がちょうど$30$桁となるような正整数$n$が存在するか.
存在するならその値も求めよ. ただし、$2.236<\sqrt5<2.237$ である。
$$ 0.3010<\log_{10}2<0.3011$$
$$ 0.4771<\log_{10}3<0.4772$$
$$ 0.8450<\log_{10}7<0.8451 $$