を整数全体の集合、を以上の整数全体の集合とする。
導入
次のことが知られている。
とする。
個のボールをちょうど色で塗り分ける方法は通りある。したがって、包除原理から
が成り立つ。
この記事では、これを代数的な式変形によって証明する。
定義
はクロネッカーのデルタを用いてと書けるが、この記事ではこの性質を利用しない。
差分
関数に対し、その差分を以下で定義する。
また、をと書くことにする。
証明
いくつかの補題を示すことで行う。
証明:
証明は非常に単純な式変形なので割愛する。
単項式の差分
とし、とする。このとき、は次式であり、その次の項の係数はである。
証明:
多項式の高階差分
とし、
であるとする。このとき、任意のに対して次が成立する:
(1) であれば、である。
(2) であれば、は次式である。
(2) であれば、の最高次の項の係数はである。
証明: に関する数学的帰納法によって行う。
のとき、は次式であり、最高次の項の係数がであるから成り立つ。
で成り立つと仮定してのとき、3つに場合分けする。
のとき、仮定から(定数関数)であり、いかなるに対してもが成立するのでも成り立つ。
のとき、仮定から(定数関数)である。よって、の時と同様にが成り立つ。
のとき、と書ける。ただし、は整数であり、は次以下の多項式である。このとき、
である。ただし、は次以下の多項式である。
も次以下であるから、
よりのときも成り立つことが示された。
よって、数学的帰納法により題意が示された。
ここから元の定理を証明する。
証明.
(Q.E.D.)
あとがき
組み合わせに関する式を、包除原理を使わずに式変形だけで導出することができました。「補題1が包除原理なんじゃないか」「数学的帰納法は使っていいのか」「は解析学から盗んできたんじゃないのか」などと言われそうですが、主要な部分を式変形だけで解くことができて数学の優しさを感じました。